生成AI活用の幼児向け新サービス「AIしまじろう」が登場 ベネッセとソフトバンクが共同開発した理由は(3/3 ページ)
「AIしまじろう」は、スマートフォンと専用アプリ、スマホを取り付けられるしまじろうのぬいぐるみを組み合わせて使うサービスだ。
「雑な言葉」ではなく「きれいな日本語」を覚えるきっかけに
体験のために招かれたジャングルポケットの太田博久さん、ファッションモデル・タレントの近藤千尋さんは、家の中での子供たちとの時間について言及した。
「家事をしているときに話しかけられると、いけないと思いつつ、ちょっと待ってねと言ってしまう。話したい気持ちを削いでしまっているようで、悪いなと思う」と近藤さんが言えば、「長女は6歳なので言いたいことを言葉で伝えられるけれど、4歳の次女は言いたいことがうまく伝えられなくてフラストレーションがたまっているように感じる」と、太田さんも子供の言葉の成長について触れた。
ステージ上で行われたデモでは、AIしまじろうが問いかけに対する答えを見つけられない場面もあった。しかし、子供が別の質問で切り返すと即座にモードが切り替わり、AIしまじろうがその質問への回答。その様子に「本当に会話できているね」と大人たちは感心していた。
体験会を終えて近藤さんは「親だとつい雑な言葉を投げかけてしまうことがあるけれど、(AIしまじろうは)ていねいな日本語を教えてくれる。ごっこ遊びは相手がいないとできないが、AIしまじろうがいれば、親が近くにいなくても知育につながる」と感想を述べた。
太田さんも、「(デモを行った子供の様子を見て)本当に楽しんでいることが伝わってきた。子供の年齢に合わせてくれるので、楽しんで会話しながら言葉の勉強ができるし、言葉やものに子供が興味をもつきっかけになるのではと期待できる」と話した。
生成AIを利用しているサービスに共通していえる心配事としては、「子供との会話内容が外部に漏れないか、ChatGPTに学習させる材料となってしまわないか」ということもあるが、蓮見氏によれば「外部に漏れないよう徹底的に保護しており、ChatGPTにも学習させない。会話に活用するためにのみ発音の聞き取り内容などを学ばせる」と説明している。
今回の無料モニターでは、スマホを取り付けられるしまじろうのぬいぐるみを使用するが、正式サービス提供時にどのような形態になるかは未定だという。
「幼児の発達しきっていない発音で会話する、という難しいところにチャレンジしているが、1万人のモニターからの協力で、文脈から推察する、あるいは親のように適切なタイミングで聞き返すなどができるようチューニングの精度を上げていきたい。お客さまと一緒に作り上げ、磨き上げていくサービスにしていきたい」(橋本氏)
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