日本最大の教育展示会「EDIX 東京」に大盛りランチパック!? GIGAスクール構想のその先を見てきた(3/5 ページ)
5月8日から10日にかけて、東京ビッグサイトで開催されている日本最大級の教育向け展示会「EDIX 東京」。NEXT GIGA(GIGAスクール構想第2フェーズ)に向け、さまざまなソリューションが展示されていた。ここでは先生の業務効率化、児童生徒の学校生活の質を上げるであろうソリューションを紹介する。
見えづらい子どものSOSを早期発見──NECネッツエスアイ
NECネッツエスアイでは、学校運営に関わるさまざまなソリューションを展示していたが、とりわけ目を引いたのはemol社が提供しているアプリケーション「emol」(エモル)を利用した生徒エンゲージメント可視化サービスの展示だ。
小中学校時代、担任の先生や保護者に言えない悩みを抱えていたという人は少なからずいることだろう。話したくてもどう思われるかが気になる、自分への見方が変わってしまうのではないかという不安があるからだ。そんなときに相談に乗ってくれたのは、保健室の先生(養護教諭)、あるいは担当する学年の異なる、校内で顔見知りになった先生だったかもしれない。
生徒エンゲージメント可視化サービスでは、emolの画面に表示される癒やし系のAIキャラクターに向けて悩み事や今の気持ちを入力し、会話することで心の負担を軽減できる。
入力された言葉からemolが心の状態を数値化、グラフ化したものを教師側で確認して、児童の心の変化の兆候を素早くキャッチできる。見えづらい「教室で起きていること」を可視化すれば、クラス運営にかかる時間などを削減して業務負荷を軽減できるという。2022年12月12日に津山市立東小学校(岡山県津山市)で実証を始め、2023年度に本サービスとして実用化している。
その他、マイクに向かって話した言葉がほぼ正確にリアルタイムでテキスト化する「AI議事録取れる君」のデモ展示もあった。「企業向けソリューションでは?」と思ったのだが、AI議事録取れる君にある要約機能を使えば、授業に参加できなかった生徒が短時間で内容をチェックするのに役立つ。
教師の立場であれば、録音した自分の授業の要約から、重要な部分を強調できているかの振り返りにもなる。他の教師(ときには教育委員会の人)に授業をレビューしてもらわずとも、自分で確認できるのだ。
AI議事録取れる君では、リアルタイムテキスト化以外にも、リアルタイム翻訳機能、アップロードファイルからのテキスト化や翻訳といった機能もある。リンクでの共有も可能なので、学内にとどまることのない活用が可能だ。
紙とペンのような手書きを実現──MetaMoJiブース
MetaMoJiブースでは、リアルタイム学習支援アプリ「MetaMoJi ClassRoom」の展示と体験セミナーを行っていた。
MetaMoJi ClassRoomアプリは、まるで紙とペンのようにディスプレイに自由に書き込めるソリューションだ。タブレットにスタイラスペンなどで書いた手書き文字をテキスト変換する同社の開発システム「mazec」(マゼック)を利用して、キーボードなしにテキスト入力を行うことも可能だ。
手書きは「学習の基礎」と考えられていることと、デジタル機器(特にキーボード入力)になじみづらい傾向にあるベテランの教職員からの高評価もあり、福島市や熊本市の小中学校、その他高校や大学などでも導入されているという。
これまで使っていた教材をPDFとして取り込み、児童生徒へ配布したり、そこに書き込んだり、教師が書き込んでいる画面を児童生徒の端末にリアルタイムで共有したりすることもできる。事情があり、教室内で参加できない児童生徒の端末にも共有できるため、学びを止めることはない。
興味深かったのは、MetaMoJiでは「正しい文字」で学習することを重視しており、教科書フォントを搭載しているということ。大人であると多少簡略化された漢字でも「そういうものだ」と認識できるが、文字を学習中の児童生徒に対しては「正しい字体の文字を見せる、使わせる」ことが大切になってくるという。OSを問わず、教科書フォントを使えるのがMetaMoJiの強みだといえるだろう。
MetaMoJiでは、手書きと手書きテキスト化を明確に分けているが、下のような乱筆でも上のように手書き文字認識するのがmazecの力だ。教科書フォントは文字を学習中の子どもたちに正しい文字の形を教えるのに役立つ
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