約60万円の「Apple Vision Pro」が日本でも発売! 買うかどうか迷っている人に知っておいてほしいこと:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)
ついに「Apple Vision Pro」が日本で発売された。米国で発売日に買った筆者だからこそ、日本で買おうかどうか迷っている人に伝えたいことがある。
米国において2月に発売された「Apple Vision Pro」が、いよいよ日本でも発売される。ハードウェアとしての機能や性能に関しては、筆者のものを含めて、既に多くのレポート記事が掲載されている。
- →Apple Vision Proは日本でも買えた! そのプロセスで感じられた語り尽くせない驚きの理由
- →Apple Vision Proは「極めて未来的なiPad」――あえて渡米してでも買うべきだと感じたワケを改めて語ろう
- →試して分かった「Apple Vision Pro」の体験価値、可能性、そして課題
- →「Apple Vision Pro」発売から1カ月 新しい驚きの「プラス」と「マイナス」を考える
発売を前に、改めてこのハードウェアをどのように評価すべきなのか、考えてみることにした。
次世代ヘッドマウントディスプレイがもたらす体験を知らしめた
筆者は2月、米カリフォルニア州シアトルまで赴いてApple Vision Proを購入し、5カ月弱使ってきた。
その上で、現時点の本デバイスが果たす役割として、次世代のヘッドマウントディスプレイ(HMD)がもたらす体験を、クリエイターやプログラマー、一般の消費者に知らしめる役割は大きいと感じる。
多くの人にこの製品を体験してもらったが、VRデバイスの未経験者はもちろん、体験したことのある人も映像体験の質の高さに驚いていた。「59万9800円から」という価格からして、本製品がカジュアルに購入できないものであることには変わりはない。しかし、口コミであれ実体験であれ、まず世の中でより多くの人がこの製品に接することによって、どのような体験が得られるのかを知ることの意味は大きい。
例え購入しなかったとしても、このジャンルに未来を見ている人たちの“ビジョン”を感じることはできるからだ。
私事だが、実は筆者はXRに関連する会社を立ち上げた。この会社では、放送業界、広告業界、電機メーカー、通信サービス事業者、 自動車部品メーカー、ゲーム開発者、デジタルクリエイター、視覚映像を研究してきた学者など、多様な属性の人たちを幅広く集めて、未来のXR事業やコンテンツについてディスカッションする場を設けている。
ディスカッションで出てくる話題は、必ずしもApple Vision Proに限らないのだが、この製品がもたらした異質といえるほど高いレベルの体験によって、テクノロジーからやや遠い位置にある人たちも、この世界に未来を感じる人が増えていると肌で感じている。
Apple Vision Proの発売について、Apple社内でも「時期尚早だ」とする声があったという。しかし、同社のティム・クックCEOが発売を強く推進したという話が漏れ伝わっている。
ある意味で体験型の製品であるApple Vision Proを立ち上げるには、多大なコストをかけてでもグローバルでの認知を広げる他ないと、クックCEOは考えたのかもしれない。
もちろん、それだけであれば、一般的なユーザーは本製品を購入する必要はない。 筆者が発売日にこの製品を購入した主な理由は、10年後に世の中が変化した時に「コンピュータの歴史を変えた“節目の製品”」を所有していたいという、実に個人的な思いからだ。
すなわち、現時点におけるApple Vision Proは、極めて趣味的な製品だ。特に個人ユーザーが実用性の面で購入すべき製品とは私は思わない。しかし、少しでも未来を実感したいと人にとっては大きな意味があるだろう。
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