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映像を生成AIでテキスト化! ネットワークカメラ「ATOM Cam GPT」を試して分かった実用性山口真弘のスマートスピーカー暮らし(2/5 ページ)

スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする本連載。今回は、斬新なコンセプトを提示したアトムテックの新型ネットワークカメラ「ATOM Cam GPT」を試した。

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画角の狭さも要注意

 本製品を詳しく知るには、同じパンチルトタイプの既存モデルであるATOM Cam Swingと比較するのが手っ取り早い。そうすれば、本製品がATOM Cam Swingの上位モデルでないことも明確に理解できる。順に見ていこう。

 まず外観については、カメラ上部を開いた状態ではほぼ同じサイズで、未使用時は本製品の方がコンパクトになる。「今は撮影していません」というのを外観から判別しやすいという意味では、本製品の方が上だ。家族と共有する場合などには便利だろう。

 パンチルトの可動範囲については前述の通りで、水平方向は互角、垂直方向は真上が見られないぶん本製品の方が不利だ。もっとも真上を頻繁に撮影する機会がそう多いとは思えないので、致命的というわけではない。どちらも優秀という評価で差し支えないはずだ。

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既存のパンチルトモデルであるATOM Cam Swing(右)との比較。背丈はほぼ同じだ

横から見たところ。本体部分のサイズはほぼ同様であることが分かる

上を向いたところ。本製品はヒンジが後方にあるため、のけぞるような格好になる

カメラをオフにした状態。本製品は完全にたたまれるので見た目にも撮影不可能であることが分かりやすい

底面には両製品ともネジ穴を装備する。USBポートは従来は底面だったのが、本製品は背後へと移動している

 カメラ機能における最大の違いは画角だ。ATOM Cam Swingは、パンチルトタイプでありながら120度という広い画角が売りだったが、本製品は視野角が非常に狭い。そのぶん画質は最大1080pから2Kへと向上しているが、これまでATOM Cam Swingを使っていた場所に本製品を設置して同じように使おうとすると、一度に見られる範囲のあまりの狭さに驚く。


左が本製品、右がATOM Cam Swing。画角の違いは一目瞭然だ。ちなみに製品ページの仕様欄から「画角」という項目自体が抹消されているのは、たまたまなのか意図的なのかは不明だが、あまり感心しない

 またパンチルトのコントロールがしづらいのも困りものだ。従来のATOM Cam Swingも決して百発百中ではなかったが、スマホアプリ画面右下に表示される仮想ジョイスティックを使って目的の方向に動かし、行き過ぎたら戻すという操作を何度か繰り返せば、そのたびに発生する角度のズレを積み重ねて、意図した角度にカメラを向けることはできた。

 ところが本製品でこれと同じ操作をすると、仮想ジョイスティックの上下/左右キーを押している時間と、移動する角度が比例しないせいで、ちょっと押しただけなのに大きくオーバーランしたり、その逆が発生したりする。この他にも正しい方向に移動する前に、指定したのと反対の向きに一瞬移動するというバグらしき挙動も見られる。


カメラの向きを変えたい場合、まずライブ画面右下のアイコンを長押しする(左)。仮想ジョイスティックが拡大表示される。以前は何もしなくともこのサイズで表示されていたので、操作のステップが増えたことになる(中央)。仮想ジョイスティックを押さえたまま上下/左右に指を滑らせるとカメラがその方向へと移動するが、旧アプリに比べて明らかにレスポンスは遅い(右)

 これら操作性の悪さは、本製品と同時にリリースされた新アプリのUIも関係しているが、ATOM Cam Swingは比較的きびきび動く一方で本製品はもっさりしていることからして、純粋に本製品のパフォーマンスが低いように思える。画面上で何らかの操作をしてから実際にカメラが反応するまでのタイムラグも、本製品の方が明らかに長い。

 またこのアプリは、起動から映像表示までの時間がかかるのも困りものだ。こういったライブ機能を備えたカメラでは、思い立った時にどれだけ早く映像を見られるかが生命線だが、本製品はルーターが至近距離にある環境で10秒も20秒も待たされるのはざらで、タイムアウトも頻繁に発生する。さらに通知からアプリを開いた場合、本来ならばイベント(過去の録画)に飛ぶはずがライブに飛ぶといった、バグらしき挙動もまれに見られる。


左が新アプリ、右が旧アプリ。本製品は画面のアスペクト比が正方形に近いため、新アプリの方が画面を有効に使えているが、動作はもっさりしていてストレスがたまる。なお、本稿執筆時点では旧アプリでも本製品の映像を表示できるが、機能が制限される

ライブ映像を開こうとすると、まず前回のプレビューとともに「接続中」と表示される。うまく行く時はこのまますんなりつながる(左)。つながらずに再試行が行われる頻度は旧アプリよりも高い(中央)。最終的につながらずやり直しになることもしばしばだ(右)

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