インタビュー

テクノロジーだけに頼らず人の力を使う! TOKIUMの導入企業数がうなぎ登りなワケIT産業のトレンドリーダーに聞く!(3/3 ページ)

ポストコロナ時代に入り、業界を取り巻く環境の変化スピードが、1段上がった。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。各社の責任者に話を聞いた。ここでは、大河原克行氏による経営者インタビュー連載のTOKIUM 後編をお届けする。

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支出管理プラットフォームに市民権を そして「時間メーカー」に

―― TOKIUMが必要とする社員はどんな人ですか。

黒崎 現在、当社の正社員は約200人ですが、面接のときには私が全員に会っています。ですから社員のことは全員知っています。当社が必要としている社員の特性は、仲間思いであること、自分で解決する力を持っていることの2点です。

 私は企業がサービスを終了する理由として最も多いことは、競合に負けるというよりも、仲間割れが原因で終了せざるを得なくなったケースだと思っています。これは、ビジネスだけに留まりません。世界や日本の過去の歴史のあらゆる出来事が、仲間割れでおかしくなってしまうといったことが繰り返されてきました。

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 ですから、当社では仲間意識を持ち、長期的視点で仕事をしたいと考えている人を採用したいと思っています。そして、自分で解決する力を持っていることも大切です。私たちがやっている仕事の多くが、これまでに経験をしたことがないものばかりです。新しいことに挑戦しなくてはならない環境にありますから、降りかかってくる課題を自分で解決し、乗り越えていかなくてはなりません。

―― 今後、TOKIUMはどんな会社にしたいと考えていますか。

黒崎 今後数年の目標は、支出管理プラットフォームを完成させて、会計ソフトや営業管理ソフトと同じ市民権を持つカテゴリーに育てることです。企業が成長したら、会計ソフトや営業管理ソフトに加えて、支出管理プラットフォームを入れないと経営が成り立たない。そのスタンダードになりたいと思っています。

 また、働く人がTOKIUMのIDを持ち、経費精算や請求書手続きといった日々の業務を行うことでデータが蓄積されますから、将来的にはそのデータを活用することで、TOKIUMに問いかければ答えが返ってきたり、アドバイスをくれたりといった環境も構築したいですね。

 契約書を元に、サプライチェーンに参加している企業の平均値よりも高い契約内容になっているものを抽出し、そこからコスト削減の余地があることを提案したり、ネットでの風評が悪い場合には調達先を複線化した方が事業リスクを減らせたりといった提案により、経営支援もできるようになります。

 さらに、データに基づいた取引先とのコスト削減交渉などは、TOKIUMが代行して行うといったサービスが提供できるかもしれません。面倒な仕事は全てTOKIUMがやりますという提案がここでも可能になります。先進のテクノロジーだけに頼らず、人の力を使うところにTOKIUMの特徴があり、ビジネスチャンスがあります。

 ペーパーレス化がますます進んでいけば、TOKIUMが今行っている領収書をスキャンして、紙の原本を保管するという仕事はなくなるでしょう。しかし、新たな困りごとが出てくることは明らかです。そこに当社のビジネスチャンスがあります。

―― 黒崎社長が描いているTOKIUMの将来の姿を教えてください。

黒崎 自動車メーカーや家電メーカー、食品メーカーという言い方がありますが、当社は、日本初の「時間メーカー」だと言われたいですね。祖業としては、支出管理プラットフォームを社会インフラとして普及させた会社だが、それを作った仲間たちが次のチャレンジとして、全く別のアプローチで豊かな時間を生むための事業を行い、時間メーカーという観点から見ると節操がなく、手段を選ばずにソフトウェアもハードウェアも人の力も活用しながら、さまざまなことに取り組む会社になりたいと思っています。

 「時間をたくさん生んでくれる会社だな」と言われたいですね。目指しているのは、時価総額で2兆円以上の企業です。日本には100社程度しかありません。60歳までにそれを達成するならば、あと20年ありますから、その目標に向けてがんばります(笑)。

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