日本HPの「OmniBook Ultra Flip 14」は、GPT-4を実質無料で使えるCore Ultra 200V採用のAI PCだ! 20万円切りのQualcomm搭載モデルも追加:Spectre後継のコンバーティブル型2in1(2/3 ページ)
米国で発表されたばかりのHPの「OmniBook Ultra Flip 14」が、日本でも発売される。価格は25万円弱からだ。Snapdragon X搭載の「HP OmniBook X 14」にもエントリーモデルとメモリ増量モデルが追加される。
GPT-4が実質無料で使える「HP AI Companion」
HP OmniBook Ultra Flip 14には、本製品を含むHP製Copilot+ PC共通の独自AIアプリ「HP AI Companion」がプリインストールされている。
このアプリはAIによって日々のタスクの質を高めることをコンセプトとしており、大きく「Discover」「Analyze」「Perform」の3機能を備えている。
Discover
Discover機能では、OpenAIが開発した言語モデル「GPT-4o」を活用して、「情報の検索」「コンテンツの生成/要約」「AI関連情報の提供」などを行う。ChatGPTのような対話型インタフェースを備えており、ユーザーは文章で質問すると、それに回答してくれる。
HP製品の使い方の質問の他、一般的な質問にも対応している。文章制作の補助や企画のアイデア出しのような用途にも活用可能だ。
Analyze
Analyze機能では、本製品に保存されているユーザーの個人ファイルやドキュメントを効率的に分析し、有用な情報を抽出する。テキスト/PDF/Word(docx)ファイルに対応しており、最大5つのカスタムライブラリーを作成可能だ(容量は1つ当たり最大100MBまで)。
この機能を使うと、「長文レポートの要約作成」「複数文書の比較分析」「重要ポイントの自動抽出」「大量データからの特定情報のフィルタリング」などが行える。例えば、20ページの市場調査レポートを1ページに凝縮したり、異なる部署の予算案を比較して共通点や相違点を自動的にハイライトしたりできる。
ユーザーは自身のデータセットに対してAI分析機能を適用し、業務や学習の生産性を向上させることができる。
Perform
Perform機能は、AIを活用してPCのパフォーマンスを最適化する機能だ。デバイスドライバ、UEFI(BIOS)を始めとする各種ファームウェアを常に最新かつ適切に維持し、常にPCをベストパフォーマンスで利用するための手助けをしてくれる。
これを実現すべく、本製品では「パフォーマンスアシスタント」がバックグラウンドで動作しており、最新構成に更新しようとする際はアプリが通知するようになっている。
また、チャット形式のインタフェースを通じて、PCに関する技術的な質問やトラブルシューティングも行える。
上記の機能を利用する際のプライバシーだが、ユーザーが入力したプロンプトの内容はモデルトレーニングに使用されないようになっている。ただし、一部の機能ではデータを解析するためにクラウド上にアップロードする必要がある。
現在、HP AI Companionは「HPアカウント」の作成/ログインをすれば無料で利用できる。本機を購入したユーザーは、高度なAI機能を追加コストなしで活用できる環境を手に入れられる。
NPUを活用した「Poly Camera Pro」
先述の通り、本製品にはNPUを活用したカメラ画質改善機能としてPoly Camera Proが搭載される。
その名の通り、この機能は会議ツールの開発を担う「Poly(ポリ)」部門の協力のもとに開発されている。主な機能として「光量/フォーカスの自動調整」「背景ぼかし/バーチャル背景の追加」「補正フィルターのリアルタイム適用」オートフレーミング」などに対応している。
処理にNPUを使うことで、CPUやGPUへの負荷を軽減し、消費電力を削減できるため、長時間のビデオ会議でもPCの性能低下やバッテリー持続時間への影響を最小限に抑えられる。本機能は基本的にアプリに依存しないため、「Zoom」「Microsoft Teams」「Skype」「Google Meet」など、さまざまなコミュニケーションアプリで有効だ。
最近のコミュニケーションアプリは、ビデオ会議(通話)時にGPUを積極的に使う傾向にある。Poly Camera Proでは各種処理にNPUを利用するため、GPUのリソースをコミュニケーションアプリ側に割けることが大きなメリットだ
法人向けモデル並みの高度なセキュリティ機能を搭載
OmniBook Ultra Flip 14では、HPの個人向けPCとしては初めて「HP Wolf Security for Consumer」を搭載している。名前で分かる人もいるかもしれないが、これは同社の法人向けPCに搭載されていたセキュリティソリューション「HP Wolf Security」を個人向けにアレンジしたものだ。
その“源”となるのが「HP Endpoint Security Controller(ESC)」だ。これは物理的に隔離され、暗号で保護されたハードウェアベースのマイクロコントローラーで、OSの下位レイヤーに位置している。
このESCを使って提供される「HP Sure Start」は、UEFIに改ざんがないかどうかをハードウェアベースでチェックする。もしも改ざん(不正な状態)が検出された場合は、自動的に正常なUEFIを書き戻すようになっている。
HPは、AI機能の普及に伴って個人データの活用が進むことで、個人向けPCにおいてもセキュリティとプライバシー保護の重要性が増すと考えているという。そのニーズに応える形で、コンシューマーモデルにもWolf Securityを搭載することにしたという。
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