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実売4千円台でパン/チルトに対応 3COINSから登場した「ベージュ色」ネットワークカメラを試して分かったこと(3/4 ページ)

手頃な価格のネットワークカメラが複数登場しているが、今回は3COINSで発売中の「スマートカメラ」を実際に購入して試した。

上下方向の可動範囲が狭い点は要注意

 さて、本製品の売りの1つに、自動追尾機能がある。カメラの前を被写体が横切ると、それを見失わないよう画角を変えて追尾するという、パン/チルトカメラではおなじみの機能だ。本製品は屋内用ということで、部屋の中に入ってきた人物の他、室内で飼っているペットの動きを追うのが、主用途になると考えられる。

 ただし実際に使ってみた限り、機能は最小限といったところだ。被写体がいったんカメラの前に現れて静止し、そこから人間がゆっくり歩く程度のスピードで移動する程度の動きならばしっかりと追従するが、カメラから距離が近すぎる場合や、止まらずに小走りで横切るなどの素早い動きだと、反応すらしないこともしばしばだ。

 また同等の機能を持ったWebカメラの中には、追従しきれずに被写体をロストすると左右に首を振って探すような製品もあるが、本製品はロストして動きを止めるとそれっきりだ。こうなると、室内で走り回っているペットを観察するような用途では、期待したような映像は得られない可能性が高い。

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 一方で被写体をロストした場合、数十秒経つとカメラはホームポジションの位置へと戻るので、自動追尾を常時オンにしておいても支障はない。とはいえあまり過剰な期待はせず、手動操作を併用する前提で考えておいた方が良いだろう。


自動追尾機能をオンにしていると、被写体を追跡してパン/チルトが行われる。このように、ほぼ背後を振り向くほどの角度まで可動する。ただし競合製品と比較しても、速い動きにはあまり強くない印象だ

自動追尾をオンにするには機能一覧の中にある「自動追尾」をアクティブにする(左)。左右へのパンはかなり自由度が高い(中央)。一方で上下のチルトはかなり角度が制限される(右)

 これに関連して気になったのは、上下方向の可動範囲の狭さだ。真上を向けられないのは実用上それほど支障がないのだが、水平方向から下に向けることもほぼ不可能なので、戸棚の上に設置して部屋全体を俯瞰(ふかん)で撮影するといった使い方はできない。ちなみに、仕様上は上40度、下15度となっている。

 そのため、例えば床面に置いたペットのケージを撮影したければ、それと水平の位置、つまり床の上か、少なくとも床から数十センチ低い位置に置く必要がある。置き場所の選定は慎重に行った方がいいだろう。


ATOM Cam Swing(右)と比較した場合、上下のチルトの角度にはかなり制限がある

左が本製品、右がATOM Cam Swingでの上方向の視界。真上まで見えるATOM Cam Swingに対し、本製品は若干見上げた程度が限界だ

左が本製品、右がATOM Cam Swingでの下方向の視界。本製品は水平よりわずかに下が限界で、ATOM Cam Swingのように床面まで映すことはできない

左が本製品、右がATOM Cam Swingでの視野角の比較。本製品はATOM Cam Swing(右)に比べると、映せる範囲がかなり狭いことが分かる

 一般的にパン/チルト対応のカメラで下方向の撮影をメインに行いたい場合、天地を逆にして天井に取り付ける方法がよく用いられるが、本製品は天井に固定する方法が用意されていないので、こうした使い方も不可能だ。天井設置用のオプションパーツが付属する競合製品に比べると不利なポイントだ。


本製品の底面。天井取り付け用のオプションパーツがありそうな形状だが、製品には付属しない

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