「iPhone 16e」が“iPhoneの価値”を再定義する製品だと考えられる、4つのデザイン視点(2/3 ページ)
Appleから、これからの「スタンダードiPhone」を意味する「iPhone 16e」が発表され、28日は販売がスタートする。林信行氏が、改めてこの新モデルの立ち位置や魅力をまとめた。
iPhone 16シリーズに近づいた外観デザイン
外観上の印象は、iPhone 16に近くなっている。何といっても大きいのは、16や16 Proと同じ6.1型のディスプレイを搭載し、画面が本体の縁近くまで広がった。
そしてホームボタンがなくなり、アクションボタンやUSB Type-C端子を備えたという点でも他のiPhone 16シリーズに近づいている。
たまにiPhone SEの小さいサイズが良かったという声も聞くが、実際に調査をしてみると、大きな画面を望んでいるユーザーの方が多いことが分かっている。Appleとしても、限られたユーザーの要望に応えるために小さい画面をバリエーションとして残し、OSアップデートやアプリ開発でもそこに配慮し続けなければならない制約をいつまでも続けるよりも、少なくとも5年後の2030年頃までには全てのiPhoneの画面サイズを6.1型以上でそろえることが大事と判断したのだろう。
外装は、エアロスペースグレードのアルミ(航空機にも使われる高強度のアルミニウム)になり、iPhone SEシリーズよりもはるかに高い耐久性を実現している。
一方、外観については単体で見ても分からないが、カラーバリエーションがなくなったのは少し残念といえよう。これまでiPhone SEでも、ミッドナイトとスターライトに加えて(PRODUCT)REDの赤モデルが選べた。
とはいえ、これまでのiPhoneを見てもエイズ基金応援の意味もある(PRODUCT)REDモデルは、製品発表から半年後くらいに追加されることも多いので、今回も製品の売り上げにブーストをかけるために、しばらくしてから追加される可能性はある。
カラーバリエーションの少なさをカバーしてくれるのが、5色の純正シリコンケースだ。色は深い緑色レイグリーン、少し紫味の入った深い紅のフクシア、ウィンターブルー、ホワイト、ブラックのバリエーションが用意されている
長時間のバッテリー動作を重視で大幅に再設計された内部デザイン
iPhone 16eで、一番大胆に進化したのは内部の設計かもしれない。より安定した5G通信を、従来のQualcomm製モデムよりも省電力で実現する新開発のApple C1を搭載したこともそうだが、それに加えてカメラモジュールが1個になったことなどを組み合わせて、とにかくバッテリーの持ちの良さを売りにしようと考えたのだろう。
バッテリーを中心に、それ以外の要素がバッテリーを囲むように内部構造をシンプル化した。これがバッテリー長時間化だけでなく、頑丈さの向上や修理のしやすさ(特に修理時のバックパネルの交換のしやすさ)にもつながっているようだ。
Apple製品は外観が全く同じiPhoneでも、常に内部コンポーネントの配置を見直しているが、動画で見る限りiPhone 16eではコンポーネント配置がさらに整理され、部品間の重なりを減らしているように見える。
これは、修理時に各部品へのアクセスが容易になることを意味している。実際、個別のコンポーネント交換がしやすくなり、特にバッテリーやディスプレイの交換がしやすくなっているという。また背面ガラスの構造も見直され、従来よりも簡単に交換できるようになった。
ちなみに、いずれは地球上の資源の新たな採掘に頼らず新製品を作ろうとしているAppleだが、iPhone 16e部材のリサイクル比率はおよそ30%だ。カメラのワイヤーやプリント回路基板のメッキ部分、プリント回路基板や電磁誘導充電器、Taptic Engineのタングステンと銅線、全てのマグネットは100%リサイクル素材となる。
バッテリーは再生コバルトこそ100%のリサイクル率だがリチウムは95%、ボディーのアルミは85%となっている。ただ、ここに挙げていない部材はまだリサイクル方法が確立できていないのかもしれない。
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