なぜMicrosoftはWindows 10→11移行を急ぐのか:Windowsフロントライン(2/3 ページ)
Windows 10の延長サポート終了が目前に迫っているが、次のOSはWindows 12ではなく「Windows 11 バージョン25H2」となる。それらに関する現状をまとめた。
10月14日のWindows 10 EOSとESUを考察する
Windows 10の世界デビューは2015年7月29日で、それから足かけ10年、2025年10月14日でWindows 10は「EOS(End of Support)」を迎えることになる。
この日を境にして、Windows 10ユーザーは(一部のエディションを除いて)セキュリティアップデートなどを受けられなくなるため、新たな脅威に対して無防備になる。基本的には、よりモダンなWindows 11へと移行してもらうことが、OSベンダーであるMicrosoftを筆頭に、PCや周辺機器をリリースする周辺ベンダーにとって望ましい。
一方で諸般の理由ですぐの移行が難しいケースもあると思われ、Windows 10を導入する企業/教育機関ユーザーにはESU(Extended Security Update)プログラムを通してセキュリティアップデートが追加で最大3年間提供される。初年度は1デバイスあたり61ドル(教育機関は1ドル)で、1年経過するごとに費用が倍増していく。サブスクリプション型のWindows 365の場合はこの追加費用はかからない。
ただ、本稿執筆の6月末時点でWindows 10ユーザーはまだかなりの数が存在していることが分かっている。
例えばStatCounterの集計によれば、日本国内で2025年5月時点のWindows 11のシェアが50.84%なのに対し、Windows 10のシェアは47.1%となっている。いまだにWindows 10のシェアが過半数以上を占めている世界全体の数字に比べれば幾分かマシだが、これらのユーザーが残り3カ月半程度で一気にWindows 11にいくとは考えにくい。
同じく5月でのOS別のシェアを見たとき、SteamのプラットフォームではWindows 11のシェアが58.3%と幾分かStatCounterの数字より高い。分析としては、Steamの集計はゲームユーザーが中心であり、StatCounterの数字は企業ユーザーを多く含んでいると考えられる。
つまり、一般のコンシューマーの方が比較的新しい世代のPCを導入しており、Windows 11への移行も比較的容易に進んでいる一方で、企業ユーザーはいまだWindows 10に踏みとどまっている傾向が強いという考えだ。
こうした事情を鑑みて、Microsoftでは2024年10月に個人ユーザー向けのESUを30ドルで提供することを発表している。
個人ユーザー向けでは最初の1年目を過ぎた2~3年目の提供について触れていないが、前段での分析から鑑みて、ESUで延長される期間はあくまで“1年間”に限定されるというのが筆者の考えだ。
TPM 2.0やプロセッサ/SoCの世代など旧デバイスユーザーに対する制限が厳しいWindows 11だが、企業ユーザーが移行に時間がかかると見ている一方で、個人ユーザーの多くはおそらく新デバイスへの買い換えで比較的容易に移行が進むとMicrosoftが判断していると思われ、早期の移行を促すためにも「ESU提供の“ロスタイム”」を考慮することはないと筆者は考えている。
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