PFUの試験設備を歩く 神経網のように張り巡らされる品質の追求と飽くなきこだわり:短期集中連載 その4(2/4 ページ)
世界トップシェアの製品を展開中のPFUだが、製品の開発過程ではさまざまな試験設備が利用されているという。
数百万枚という大規模な給紙/紙送りの試験
本社内には、各種試験設備が設置されている棟がある。
ここでも、PFUならではの過酷な試験がいくつも行われている。これらの各種試験設備は、現場を知っているからこそ、導入されたものばかりだといってもいいだろう。
1つ目は、給紙/紙送り試験だ。
棚に置かれた紙をアームロボットを用いて取り出し、数百万枚という大規模な給紙/紙送りの試験を行う。24時間連続で稼働させても、1台あたりの試験に約1カ月かかる場合もあるという過酷な試験だ。
従来は手作業で試験を行っていたが、これを約10年前にアームロボットに置き換え、人の作業に近い形で再現している。一度に15枚~100枚の規模で紙を供給し、紙詰まりや紙破れなどのエラーが発生した際には、そのログを記録すると共に、アームロボットがフタを開けて、紙を取り除き、さらにフタを閉めて再度検査を開始する。
「深夜にエラーが発生し、社員が出社するまでに8時間程度停止してしまうと、約4万枚の試験時間が無駄になる。ロボットが自己解決して試験を継続することで、停止による無駄な時間を削減できる」という。
また、試験に使用する紙は何度も繰り返して使用すると劣化するため、随時取り換えて新たな紙を給紙し、実際の利用環境に近い実験を行うようにしている。
給紙/紙送り試験では、35度の温度に設定された環境の中で、つなげた紙を繰り返し供給し、耐久性を試験するといったことも行われている。24時間/6カ月間に渡り、休みがない連続給紙と紙送りを行うという極めて過酷なものだ。
2つ目は、開閉試験だ。
これも従来は手作業で行っていたものだが、アームロボットを採用して開閉のために持つ場所を変えながら、開けたり閉めたりする。24時間稼働させており、夜中に異常があって停止した場合には担当者に通知が送信され、翌朝の出社時にすぐに確認できる。
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