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業績好調なVAIOにノジマ社長は「課題あり」 その心は?

ノジマが2025年度上期の連結業績を発表した。同社傘下のVAIOは好調な推移だが、ノジマの野島社長的には物足りないようだ。なぜなのだろうか?

 ノジマは10月30日、2025年度上期(2025年4月~9月)の連結業績を発表した。そのうち、VAIOのみが属する「プロダクト事業」セグメントの業績は、売上高が342億1400万円、経常利益が31億4100万円となった。

 ノジマがVAIOを子会社したのは2025年1月であるため、前年同期比の指標は明らかにされていないが、2014年にソニーから独立して以降の10年間で過去最高の水準で推移しているという。VAIOでは2024年度の年間売上高が500億円規模とみられており、前年同期実績を大幅に上回っていることが分かる。

 プロダクト事業の経常利益率は9.2%で、2024年度第4四半期の4.8%から大幅に改善している。

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ノジマのプロダクト事業(VAIO)の売上高とセグメント利益(決算短信を一部加工)

好業績の理由は?

 10月14日に「Windows 10」のサポートが終了することに伴い、VAIOにおける2025年度上期のPC販売はスタンダードモデルからハイエンドモデルまで好調に推移したという。また、ノジマでも全店舗でVAIOの展示販売を開始し、顧客ニーズに合わせた「フィットコンサル」を通じた販売の伸長も、好業績の要因となったようだ。

 8月からは、VAIOの独自基準で再生してメーカー保証を付けたリファービッシュPC「Reborn VAIO」の法人向け販売を開始し、環境意識の高い企業から注目を集めているという。既に三菱HCキャピタルグループが280台を導入するなど、複数の企業で導入されている。


8月から自社で再生したリファービッシュPCを「Reborn VAIO」として販売している(手前がRebornモデル、奥がReborn前のモデル)

ノジマの野島社長のVAIOへの評価は?

 だが、ノジマの野島廣司社長(VAIOの取締役を兼務)は、VAIOの業績に対して手厳しい評価をしている。

 野島社長は、VAIOにおけるノジマの理念や考え方の浸透スピードに課題があると指摘した上で、「VAIOは素晴らしい数字を出ているが、実力ではない。(業績の)好調な理由の1つは円安の進展で、為替益(為替による差益)が出ている状況にある。VAIOを買収して感じたのは、製造業でも直せるところがずいぶんあるということ。びっくりする所もあった」と語った。

 また野島社長は「VAIOはコールセンターやサービスを外部委託している部分がある。ノジマの店舗では派遣社員は使わず、自社従業員が接客する“自前主義”の体制としている。これと同様に、VAIOも(コールセンターやサービスを)自らやっていくことになる。ノジマ型の経営にしていく」と述べた。

 VAIOがノジマグループに入ったことのメリットについて、野島社長は「VAIOと顧客との接点が増え、顧客との会話がしやすくなり、さらに顧客からも注目されやすくなっている」と語り、「日本の製造業の手本になる会社にしたい」と改めて中期的な目標をアピールした。


プロダクト事業(≒VAIO)の概況

 今後のPC市場動向については「Windows 10からの買い替えは、大手企業ではほぼ完了している。しかし中小企業の買い替え需要はまだ残っており、コンシューマー市場でも需要が残っている。これまでは(買い換え需要で)ノジマの店舗も忙しく準備が整わず、VAIOに力を入れられる状況ではなかった。今後は(需要が落ち着くことで)力を入れることができる」と述べた。


決算説明に臨むノジマの野島廣司社長

顧客満足度が高まっているVAIO

 VAIOは、先般発表された「日経コンピュータ顧客満足度調査2025-2026」のクライアントパソコン部門で1位を獲得した。特に法人ユーザーから高い評価を得ているという。

 野島社長は「VAIOは質を追いかける企業だ。同じ性能のPCであれば、(他社と比べて)圧倒的に品質が高い。顧客満足度ナンバー1を維持し、2位との差をさらに広げていくことになる」とした。2000台以上を一括納入したある企業において、1台も不具合が発生しなかったこと、別の一括導入した企業ではクレームが発生したものの、その対応力が評価されて追加発注が生まれた事例も紹介した。

 「VAIOについては新たな施策を打っていく。ぜひ楽しみにしていてほしい」とも語った。


 なお、ノジマの連結業績は売上高が前年同期比17.7%増の4627億円、営業利益が同38.6%増の276億円、経常利益は同42.8%増の306億円、EBITDAは同22.1%増の425億円、当期純利益は同36.9%増の194億円となった。

 売上高と営業利益、EBITDAは、上期としては過去最高を更新。経常利益と最終利益も、2020年度に、スルガ銀行などの持分法による投資利益を除くと、過去最高を更新している。野島社長は「(ノジマグループの事業は)お客さまの支持は得られている。だが、これを収益に変える部分に課題がある」と述べた。

 ノジマの“本業”であるデジタル家電専門店運営事業では、売上高は前年同期比9.0%増の1584億5600万円、経常利益は同14.5%増の111億5300万円となり、売上高は過去最高値を更新した。デジタル家電専門店と通信専門店は、合わせて252店舗を出店している。

 キャリアショップ運営(携帯電話代理店)事業の売上高は、前年同期比9.6%増の1825億5400万円、経常利益は同96.6%増の111億5100万円となり、売上高と経常利益が過去最高を更新している。現在、直営店とフランチャイズ店を合わせて925店舗を出店している。

 一方で、2025年度通期(2025年4月~2026年3月)の業績見通しは当初計画を据え置いている。売上高は前年比9.0%増の9300億円、営業利益が同15.8%増の560億円、経常利益は同17.2%増の600億円、EBITDAは同11.8%増の830億円、当期純利益は同23.9%増の400億円としている。

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