ノジマ傘下入りが決まった「VAIO」の物作りはどうなる? 安曇野の本社工場を見学して分かったこと(1/6 ページ)
2025年1月からノジマグループに参画することが決まったVAIO。ノジマの傘下に入ることで、VAIOの“物作り”はどうなるのだろうか。ノジマグループ入りが発表された直後のVAIO本社を訪れ、工場を見学した感想を交えて考察する。
安心してください。VAIOの独立性は尊重され、事業運営方針や商品理念はもちろん、その礎となる長野県安曇野市の本社工場での高品質な物作りは、いままでと何も変わりません――VAIOの山野正樹社長はこう断言する。
既報の通り、VAIOは11月11日、VAIOの発行済株式の約93%にあたる株式をノジマグループが取得する旨を発表した。2025年1月6日には取得(買収)が完了する予定で、VAIOはノジマグループの中で事業成長を目指すことになる。
VAIOは社名やブランド、山野社長を始めとする経営陣、事業運営方針、顧客との関係などには変更がないとした上で、同社のノートPC「VAIO」の品質を維持するための生産体制にも変更がないことを強調している。
株式譲渡の発表直後、筆者は長野県安曇野市のVAIO本社と生産拠点を取材した。本社工場では現在、11月から出荷を開始した「VAIO SX14-R」の生産が急ピッチで進んでいる。本モデル向けに組立工程が一新されただけでなく、搭載する基板の品質向上に向けた新たな取り組みも始まっている。
山野社長の言葉通り、今後も維持されるという安曇野でのVAIOの高品質な物作り。その現状はどうなっているのか。そして、この物作りはどう維持されていくのか。その様子を“弾丸取材”で確認してみよう。
VAIO本社兼工場の概要
VAIOの本社と工場は、長野県安曇野市にある。松本駅から20分ほどJR大糸線に乗車して豊科駅に移動し、そこからおよそ15分歩くと到着する。
この工場は1961年10月に東洋通信工業の豊科工場として開設され、1974年に同地に設立された「長野東洋通信工業」の本社兼工場となり、オーディオ機器を主体とした生産拠点として事業を拡大した。主な生産品として、ソニーのオーディオ製品「ヘリコンポ」などが挙げられる。
1989年、長野東洋通信工業は「ソニーデジタルプロタクツ」に社名を変更。2001年にはソニーイーエムシーエス(現在のソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ)の長野テックとしてモバイルPCや「AIBO」などの生産を手がけてきた。2014年、ソニー(現在のソニーグループ)のPC事業を継承する形でVAIOが独立する際に、本地は同社の本社兼工場として継承されることになった。その後、物作りを進化させながら、現在に至っている。
本社の正面入口にある「VAIOの里」の碑は、、ソニー時代に設置されたものだ。
今回の株式譲渡に関するリリースの中で、VAIOは「2014年に独立して以来、長野県安曇野の本社工場を拠点に、高性能、高品質の製品を数多くお客さまにお届けし、成長を続けてきた。ノジマからの支援を受け、これまで以上に顧客、パートナー、ベンダーのみなさまの期待に応えていけるように邁進する」とのコメントを発表している。
冒頭にも触れたように、今回の生産現場の取材に際して、VAIOの山野社長はVAIOの独立性が今後も維持されることを示しつつ、事業運営方針や商品理念に加えて、その礎となる本社工場での高品質な物作りがこれまでと同様であり、何も変化がないことをコメントしている。
では、安曇野におけるVAIOの“物作り”はどうなっているのだろうか。現場の様子を写真を交えつつ紹介していこう。
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