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ノジマ傘下入りが決まった「VAIO」の物作りはどうなる? 安曇野の本社工場を見学して分かったこと(2/6 ページ)

2025年1月からノジマグループに参画することが決まったVAIO。ノジマの傘下に入ることで、VAIOの“物作り”はどうなるのだろうか。ノジマグループ入りが発表された直後のVAIO本社を訪れ、工場を見学した感想を交えて考察する。

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基板実装工程

 「基板実装工程」では現在、薄型軽量のモバイルディスプレイ「VAIO Vision+」の基板の他、セキュリティチップ(TPM)、指紋センサーなどを生産している。一方で、VAIO SX14-Rを含むノートPCのマザーボード(基板)は協力工場で生産しているという。

 「せっかく工程があるのに、ノートPCの基板を作らないのはどうして?」と思うかもしれないが、現在の生産規模を鑑みると、自社で基板を生産するよりも、協力工場の生産体制を活用した方が部品調達力やコスト面でのメリットがあると判断しているとのことだ。ただし、工場内に「外観検査機」を設置し、納入された基板を全量検査することでVAIOならではの品質を維持している。

 なお、基板の全量検査はVAIO SX14-Rから新たに導入された。VAIO SX14-Rの海外生産分についても、当地で検査を行った「安曇野品質」が保証された基板を輸出することで品質の維持につなげるとのことだ。

基板たち
協力工場から搬入されたVAIO SX14-Rの基板
外観検査
協力工場で生産した基板は全て外観検査を行う。VAIO SX14-Rから開始した新たな取り組みだ
外観検査機
基板の外観検査機。3D検査により「正しい部品」が「正しい位置」に、「正しい状態」で搭載され、「正しくハンダ付け」されていることを確認している。VAIO SX14-Rの基板には約2000点の部品が搭載されており、これらの全てをチェックする
検査中の様子
検査を行った結果でOKが出たものを組立工程に供給する。問題があった場合には、その内容が協力工場にフィードバックされる

 一方で、VAIO Vision+の基板などの製造など継続/維持しているのは、基板実装工程におけるノウハウの蓄積と、技術者の確保/継承を目的としている。協力工場との対話においても、蓄積してきたノウハウを生かしつつ、品質を高めることにつなげることができているという。

 外部で生産した基板を外観検査機で再検査できるのも、自らが基板製造や検査のノウハウを蓄積しているからこそ実現できるものだと説明する。今後、ノートPCの生産数量が増加すれば、本社工場において再びノートPCのメイン基板の生産することも検討していくことになるだろう。

 基板実装工程では、最新機械への更新が、品質や効率性にも直結することになる。ノジマグループ傘下での新たな体制では、こうした生産設備への投資の拡大にも期待したい。

VAIO Vision+の基板
VAIO Vision+の基板は、4台分を1単位としてまとめて生産している
裏面
基板の裏面には、部品が1つも実装されていない。これは薄型化のために施した工夫の1つだ
TPMチップ
TPMチップの実装基板も本社工場で作っている
指紋センサー
指紋センサーは電源部と一体化したものであり、フレキシブルケーブルを折りたたむ形で組み込むことになる
キャリア
キャリアと呼ばれるアルミプレートに、基板を固定して生産を行う手法を採用している

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