プロ絵師がワコムの「MovinkPad Pro 14」を自腹レビュー ついに現れた“クリスタ最強デバイス”か:ある日のペン・ボード・ガジェット(2/6 ページ)
プロ絵師のrefeiaさんがワコムのペンタブレット新モデル「MovinkPad Pro 14」を購入しました。製品発表時に購入を決めたrefeiaさん、触り心地はいかに?
気骨ありすぎる断捨離スペック
ここまで紹介したスペックや、背面写真を見て「あれ?」と思った方もいるでしょう。本機はペン描画にフォーカスした仕様のため、一般的なAndroidタブレットの上位機とは違う、かなりクセの強い仕様になっています。上に挙げた樹脂ボディー以外の主な差は以下のようになります。
- カメラなし
- 生体認証なし
- 普通音質の内蔵スピーカー
「タブレットでカメラなんて使わないよ」は自分も同意するところですが、実際には、Amazonで1万円の爆安タブレットにすらカメラは内蔵されています。そこで起こるのは、「カメラなしデバイスは存在するものとして扱われない」です。
そういった環境では、アプリの中に撮影機能やAR/QRコードログインなどを実装したとして、インストールにはカメラが必須、という設定にしても何も不都合は起こらず、実際にそうなっているアプリも多そうです。
そこで、Google Play ストアでざっと「Galaxy Tab S8+にインストールできて、MovinkPad Pro 14にはインストールできない」アプリを探したところ、XやBlueskyをはじめ、意外と多くのアプリが見つかりました。
11月7日時点のチェックで、全てカメラが原因だったかまでは確認していません。金融などのeKYCや、通話、QRコード、AR、ギフトコードやカードの読み取り、翻訳、メモや記録/報告など、カメラを使う機能は実際とても多いです
Xの閲覧や投稿など、多くのサービスはWebブラウザから問題なく利用できるので、過度の心配は不要です。ですが、ゲームはそうはいきません。せっかく巨大なタブレット買ったから「スマホゲームのかわいいキャラも大画面で見たいな~」と思っていたボクは、ちょっと悲しいです。
また、生体認証なしは、特定の条件でアンロック操作を省略するAndroidの標準機能「ロック解除延長」(旧Smart Lock)を利用すると、多少使い勝手を向上できます。ロックを素通りできてしまう時間ができるため、動作を把握して気を付けながら利用してください。
内蔵スピーカーの音質は悪くはないですが、メディア消費を主要用途としてコスト配分された他のタブレットほどではないです。音声主体のコンテンツは問題ないものの、音楽やエンタメコンテンツを迫力あるサウンドで楽しみたいならば、イヤフォンや外部スピーカーを検討するのがよさそうです。
アンチグレア処理とAR処理の両取りディスプレイ
本機のディスプレイは14型で2880×1800ピクセル表示、リフレッシュレート120HzのOLEDを採用しています。十分精細なだけでなく、表面をマットにするアンチグレア処理と、光の反射自体を減らすAR処理(低反射処理)の両方が施された珍しい仕様です。
この分野はアンチグレア処理の製品が多かったですが、画面に光が当たると黒浮きしやすい弱点がありました。実際に、同社の「Cintiq Pro 17」と見比べても反射量が少なく、照明の工夫をしていない部屋でも画面を見やすいです。
また広色域にも対応していて、sRGBとDCI-P3の色域カバー率が100%(CIE1931)です。広色域(スタンダード)と、カラープロファイルモードが選べるようになっています。今回は細かい挙動までは確認できませんでしたが、カラープロファイルモードに設定して、アプリとドキュメントでsRGB向けの設定をしておけば、sRGB目標の正確な制作もできそうです。
関連記事
まさかの6万円台で上位モデルの描き味! ワコムの一体型Androidタブレット「MovinkPad 11」をプロ目線でレビュー
ワコムが、まさかの価格帯で投入してきた新型ペンタブレット「MovinkPad 11」。標準でPro Pen 3付きと期待が高まる実機をイラストレーターのrefeiaさんが試したよ。「Galaxy Tab S10 FE+」はお絵描き用Androidタブレットの最適解となるか? プロ絵師がガッツリ試したよ
イラストレーターのrefeiaさんが、最新Androidタブ「Galaxy Tab S10 FE」シリーズを試してみました。結果はいかに?ワコムの新型液タブ「Cintiq 16/24」が「Cintiq Pro」キラーな気がしてならない プロ絵師がつぶやいた理由
ワコムが、待望のスタンダードモデル「Chitiq」シリーズを発売します。Cintiq 16と同24をrefeiaさんがネチっこくチェックしたよ。PCいらずで「液タブ」の夢を見たい! HUIONの新型タブレット「Kamvas Slate 13/11」を試して分かった現実
HUIONから、液晶タブレットの新モデル「Kamvas Slate 13」と「Kamvas Slate 11」が発売されました。これ1台でお絵描きが完結できるのか、実機を試してみました。名前に「Pro」を付け忘れた? イラストレーターがHuionの新作液タブ「Kamvas 16(Gen 3)」を試して分かったメリットと気になるところ
Huionから、コストパフォーマンスに優れた液晶ペンタブレットの新モデル「Kamvas 16(Gen 3)」が発売されました。実機をプロイラストレーターのrefeiaさんが試してみました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.