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シリコン飢餓とデバイスに忍び込むAIの幻影――不惑を迎えたWindowsと、AIに飲み込まれた2025年のPC業界を振り返る(6/6 ページ)

2025年11月、Windowsが誕生から40年を迎えた。この年は、Windowsを含めてPC業界を取り巻く環境は“激動”した。振り返ってみたい。

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2026年に向けて――我々は何を考えるべきか?

 最後に、2025年を振り返って総括するならば、それは「ハードウェアの物理的制約」と「ソフトウェアの無限の野望」が激しく衝突することで、PC市場にゆがみをもたらした年だったといえるだろう。

 NVIDIAとTSMCが到達した“技術的な高み”は、人類全体の資産ともいえる。一方である種の「AIゴールドラッシュ」によってリソースが偏在している現状は、一般PCユーザーに「高コスト」「入手難」という痛みを強いている。

 IDCの予測によれば、2026年のPC平均販売価格はメモリ不足の影響で最大8%上昇する見通しだという。この傾向は当面継続すると見られており、PCの買い替えや自作には、これまで以上に慎重な計画や予算に対する柔軟性が求められそうだ。

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 一方で、ソフトウェアの世界におけるパラダイムシフトは既に始まっている。Windowsの40周年は、GUIによる「ユーザーが操作するOS」から、AIエージェントによる「ユーザーのために操作するOS」への転換の幕開けとなった。リコール機能のセキュリティ強化に見られるように、技術は「できること」を増やす段階から、「安全に使う」ための基盤整備へと移行しつつある。

 そしてPC業界は「絶対性能」を競う時代から「AIエージェントでどれだけ自分の時間を節約してくれるか」を評価する時代へと変化した。その体験は「まるで魔法のよう」ではあるが、その対価として支払うハードウェアコストは、かつてなく高いものとなる覚悟も必要である。

 「シリコン飢餓」の時代は、当面終わりそうにない。そしてAIの幻影は、次第に実体を帯びて僕らの使う道具に入り込みつつある。

 2026年、我々が「パーソナルなコンピュータ」を購入するときに見極めるべきは性能の多寡ではない。次の買い替えで問うべきは、コア数でもメモリ容量でもない。どのようなニーズのために最適化されたAIエージェントが動くのか――その1点になるだろう。

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