マウスコンピューター「全モデル販売停止」の真相 軣社長が語った“想定外の受注急増”と“正直な決断”
PC USERでは、マウスコンピューター 代表取締役社長の軣秀樹さんにインタビューを行い、直近のPC販売状況について率直な思いを聞いた。その詳細をお届けする前に概要をお届けしよう。
PC USERでは、大河原克行さんの連載「IT産業のトレンドリーダーに聞く!」で各社にインタビューを行っており、直近でマウスコンピューター 代表取締役社長の軣秀樹(とどろきひでき)さんにお話を伺った。
その詳細は後日公開予定の連載をご覧いただくとして、2025年末から話題になった半導体を巡るPCの販売状況やアナウンスなどについて、気になる部分を先行してお届けしたい。
社の歴史上初めて「全モデルの販売一時停止」という決断をした理由
PC関連のスポット市場として価格や在庫に敏感な秋葉原では、2025年10月ぐらいからメモリが品薄となり価格も高騰が始まった。それはSSDやHDD、グラフィックスカードなどに飛び火し現在も続いている。
12月にはMicron Technologyの「Crucial」ブランドが「データセンター向けのメモリ/ストレージ製品の供給とサポートを改善するため」にコンシューマー向け製品事業を終息することを発表し、大いに話題を集めた。
このような一連の流れを経て、12月16日にマウスコンピューターがXへの投稿と自社ページでの告知を行い、「受注増加に伴う一部製品の販売停止・出荷遅延と価格改定」を明らかにした。
関係者の間では「対応が早い!」「なんでマウスさんが先陣を切って?」といった声を多く耳にした。そのあたりの経緯を率直に軣さんに確認したところ、驚くべき実情が語られた。
「まずは12月10日のXの投稿から始まりましたが、正直ここまでプラス方向(「PCを買うなら今です」というメッセージが拡散し、マウスコンピューター以外でもPCの受注が急増した)に働くとは全く思っていませんでした。背景としてはこの投稿以降、受注が過去最高の水準まで急増したことがあります。実は11月に受注が落ち込んだため生産調整を行っていたことも重なり、生産体制が追いつかず、大幅な納期遅延が発生しつつありました。
この受注急増により納期が1カ月を超えてしまい、コールセンターも逼迫(ひっぱく)となったことを受けて、当社の歴史上初となる全モデルの販売一時停止という決断を下しました。これは、せっかく注文をいただいたのに1カ月以上もお待たせするわけにはいかないということと、製品の品質を落とすことは絶対に避けなければならないという私の強い思いもあります」(軣さん)
メーカーとしては、年末年始のセールなどでかき入れ時となるタイミングでの受注停止というのは極めて大きな判断だ。その後も、同社はWebページで頻繁に情報の更新を行っている。同時に、部材の価格高騰と継続する円安を受けて2026年1月以降に価格改定を実施する旨もアナウンス済みだ。
これについて、軣さんは「お客さまへの透明性を重視し、『起きていることを正しく、正直に伝える』というのが絶対の方針としてあります。アナウンスもなく1月に価格を変更したら、お客さまにとっても失礼にあたりますので、今起きていることを正しく定期的に伝えていきましょう、と社内では話しています」と明かした。
今後も部材の不足や価格高騰、円安による厳しい状況が続くと予測されているが、マウスコンピューターでは「他社の落ち込みをシェア拡大の好機と捉え、積極的な取り組みを行って今後もプラス成長を目指す」(軣さん)という。
その具体的な戦略や打ち手については、後日公開予定のインタビュー記事で明らかになる。楽しみにしてほしい。
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