Appleの「激安」クリエイターツールは仕事で使える? 月額1780円という圧倒的コスパと“3つの死角”:打倒Adobe/Microsoftなるか?(2/4 ページ)
「Adobe Creative Cloud Pro」や「Microsoft 365」が支配するクリエイティブ/ビジネスツール市場に、Appleが「月額1780円」という破格の価格設定で一石を投じた。新サービス「Apple Creator Studio」というAppleの新たな挑戦の光と影をまとめた。
Pixelmator Proってどんなアプリ?
そんなApple Creator Studioに含まれるアプリのうち、8つはこれまでにもAppleから提供されていたものだが、画像編集アプリの「Pixelmator Pro」は例外だ。実は2024年11月にAppleが買収したMac/iPad用の人気アプリで、1年強をかけて見た目も使い心地も一新された。これがそもそもどういうアプリかを知らない人も多いと思うので、簡単に解説したい。
Pixelmator Proは、Photoshopのようなビットマップ型編集で画面の解像度や大きさ、色調や明るさを調整することもできれば、Illustratorなどのベクター型編集ソフトのように図形を描き加えたり、さまざまな要素を印刷用にレイアウトしたりといったこともできれば、ビデオも貼り付けられる。かなり多彩な機能を極めて直感的に統合している
画像編集アプリは、大きく2つの系統に分類できる。
1つはピクセル編集型(ラスター型)と言われるもので、写真などの画像をピクセルという色のついた点の集合体として扱い、それらの点の色を加工するアプリだ。AdobeのPhotoshopやApple系OSの「写真」アプリの「編集」機能などがこれに該当する。
もう1つはベクター型と言われるもので、複雑な曲線を含む図形など形状データを扱うタイプのものだ。画面上の要素を再配置したりするのが簡単であり、拡大しても画像が荒れないのが特徴で、チラシなどページデザインのレイアウトにも用いられることが多い。AdobeのIllustratorなどがこれにあたる。
Pixelmator Proではビットマップのイメージの他に、シェイプ/ビデオ/RAW/マスク(絵の部分選択データ)などをレイヤーに加えることができ、それぞれのレイヤーに個別に映像スタイルを適用したり、カラー調整やエフェクトを加えたり、変形させたりもできる
Pixelmator Proは、実はこの両方の特徴を兼ね備えたアプリになっている。
最近、高度な画像編集ソフトの多くが、画像の上に、その画像はそのまま保った状態で、上に別の画像などを重ね合わせ表示する「レイヤー」という概念を取り入れている。Pixelmator Proは、このレイヤーの考え方で、写真の上に別の写真を加えたり、マスクという写真を切り抜くための型を加えたり、シェイプと呼ばれる図形を追加したり、動画まで重ねることができる。
さらには色調整などの変形効果といったエフェクトも重ねたり、一度加えた特殊効果を一時的に外したりと、かなり柔軟な加工が行える。
できることが多いため、こういったツールを初めて使う人には、仕組みを理解するのに時間がかかるかもしれない。しかし、この手のツールを使い慣れた人であれば機能が極めて整理され直感的設計になっており、すぐに自在に使いこなせるようになると思う。
このソフト1本で写真のサイズ加工から角度の微調整、明るさの変更、写真を魅力的に見せる視覚効果を加えることもできれば、それらの写真をうまくレイアウトしてチラシのデザインを作ることもできる。
PhotoshopやIllustratorといったソフトの基本機能しか使っていない人であれば、完全に両ソフトの代替として使える。最近はソーシャルメディア投稿用の画像などを「Canva」というツールで作成している人も多いと思うが、あらかじめ用意されたテンプレートが少なめではあるものの、日頃、Canvaでやっているような作業もほぼ置き換えられてしまう、かなり優れもののアプリだ。
Pixelmator Proは、MacにもiPadにも対応し、Apple Pencilもサポートしている。最近、ソーシャルメディア投稿用の画像制作などではCanvaが人気だが、Canvaの既成コンテンツとの差別化に手描き要素を加えたりするのにも向いている
Pixelmator ProにはiPad版があり、Apple Pencilと組み合わせれば手描きの要素を加えられることや、そのiPadで手描きの要素を加えた絵をiCloud経由でMacにて加工できることも大きな強みだろう。
ビデオ編集も音の加工もそれほどしないという人であっても、Pixelmator Pro1本だけで十分、Apple Creator Studioの価値を感じられる人も少なくないと思われる。
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