レビュー

攻めの構造と98%レイアウトの賛否はいかに? ロジクールの“コトコト”キーボード「Alto Keys K98M」を試す(4/5 ページ)

ロジクールから、新たなメカニカルキーボード「Alto Keys K98M」が発売される。同社初となる「UniCushionガスケット」を採用した意欲作を徹底レビューする。

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98%レイアウトは誰のため?

 タイピングにあたって、入力感と並んで重要な要素がレイアウトだ。Alto Keysの98%というレイアウトは、フルキーよりも横幅を抑えつつ、機能キーを整理してテンキーと矢印キーを残した「合理的な折衷案」という位置付けだ。

 一般的なレイアウトバリエーションがフルキー、フルキーからテンキーを外したテンキーレス、さらに機能キーを外した75%レイアウト、矢印キーまで外した60%レイアウト、というように右端から削っていくのに対して、ややイレギュラーな優先順位付けとなっている。

 Alto Keysは内蔵しているUniCushionが厚いため、さらにそれを収めるボトムケースとトップケースも大きくなる。その影響からか、98%レイアウトと言えどデスク上の占有面積が劇的に改善したという印象は薄い。

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 個人的には、Alto Keysのレイアウトはテンキー派、機能キー派両方に沿いつつ、両方に妥協を求めるものになっていると感じた。

 両派、そしてフルキー派にとってのメリットとしては、矢印キー、テンキー、そして機能キーの中でも利用頻度の高いHome/End/Page Up/Page Downの4キーを残したことだ。一方、デメリットは各派によって異なる。

 テンキー派にとっての不満となりそうな点はゼロキーが従来の2U幅から1Uに縮小され、その左隣に→キーが配置されていることだ。2U幅のゼロキーは親指で押すことが多いと思うが、その場合は自然にキーの左側へかかる運指になる。

 従来のフルサイズや一般的なテンキー配置に慣れたユーザーほど、Alto Keysでは無意識のうちに→キーへ触れてしまう可能性がある。テンキーを残すという判断自体は理解できるが、その内部レイアウトまで含めて従来の操作感を維持しているとは言い難い。

 テンキー優先の思想を掲げるのであれば、ゼロキーの扱いにはもう一段の配慮があってもよかったのではないだろうか。


テンキー上の4つのキーはアクションキーとして自由に割り当てできる

 一方、機能キー派にとっては、矢印キーの真上に機能キーがないという点にやや慣れを必要とするかもしれない。Home/End、Page Up/Page Downはある意味、矢印キーの高速移動版だ。そのため、矢印キーを押している最中に機能キーに切り替えるという使い方が筆者の場合は多かった。矢印キーが一般キー側に配置されていることと合わせて、その1つの間には意外に距離がある。

 であれば、せっかくNum Lockキーがあるのだから、Numモードを解除して2/4/6/8キーを矢印キーとして使うという手もある。意外とこれが最適解なのかもしれない。

ロジクールらしさは健在

 接続はBluetoothとLogi Boltの両対応だ。最大3台までEasy-Switchで即座に切り替えられる仕様はロジクール製品ではおなじみだが、本機でもきちんと踏襲されている。ノートPC/デスクトップ/タブレットを併用する環境では依然として強力な利点だ。


F1~F3(もしくはFn+F1~F3)がEasy-Switchキーに割り当てられている

添付のLogi BoltレシーバーはUSB Standard-A端子だ。ケーブルもUSB Standard-A→USB Type-Cタイプが付属する

Logi Boltレシーバーは本体底面に収納可能で、スタンドは1段階のみとなる

 Logi Boltは混雑した無線環境でも安定性が高く、オフィス利用を想定するならBluetoothよりも安心感がある。また、レシーバーとデバイス間でペアリングが保持されるため、USB切り替え器などでも利用できる、PC側でペアリングを行わなくてもレシーバーを挿せば即利用可能というメリットもある。

 バッテリー持続時間も、バックライトオフなら12カ月の使用が可能な省電力設計だ。有線でのデータ接続には対応していないが、USB Type-Cコネクターから充電しながらの使用はできる。そのため、実質的には常時給電状態でバッテリーを気にせずに使い続けられる。この柔軟性は実務用途では重要だろう。


天面にあるUSB Type-C端子は充電専用だ。有線データ接続には対応していない

 さまざまなカスタマイズはユーティリティーの「Logi Options+」から行うが、変更可能な設定は多くない。設定変更が可能なキーはF4~F12とアクションキーのみだ。

 アクションキーはテンキー上にある4つのキーのうち、左端のdel/homeキーを除いた3つのキーのことで、左から○/end、◇/pg▲、☆/pg▼が印字されている。工場出荷時はFnキーを押したときのキー(end/page up/page down)がバインドされているが、設定できるのは機能キーの一部、AI Prompt Builder、Smart Actions、その他OS標準のシステムアクションなどになる。

 自作界隈で利用されるQMK/VIAなどのようなキーマッピングの変更を行うものではなく、あくまでキーボードに付属するショートカットキーの動作を設定するもの、と割り切られている。このあたりは「自由度より管理しやすさ」を優先するメーカーらしいところといえる。


ユーティリティーの「Logi Options+」画面。設定変更可能なキーはF4~F12とテンキー上の3つのアクションキーのみだ

アクションキーに割り当てられる「AI Prompt Builder」は、定型的なAIプロンプトを即座に立ち上げてくれる

バックライトは白色のみなので、設定もシンプルだ

 また、キースイッチには互換性があると思われるが、公式にはホットスワップ対応とはアナウンスされていない。この点も含め、本機は自作派向けの拡張性よりも、完成品としての安定性と保証範囲を重視していることが分かる。

 ガスケットという構造的挑戦を行いながら、管理や接続性はあくまでロジクール流の枠内にとどめている。その「攻めと守りのバランス」こそが、本機の立ち位置を物語っているといえるだろう。

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