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Apple Siliconはなぜ「オンデバイスAI」に強いのか? NVIDIA「RTX Spark」との比較で読み解くシリコン設計の哲学本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/5 ページ)

WWDC 2026が迫る中、AppleでApple Silicon(自社設計半導体)担当のシニアプロダクトマネージャーを務めるダグ・ブルックス氏に話を聞く機会を得た。

「全演算ユニットが同じメモリを参照すること」が共有メモリの強み

 ブルックス氏は「Apple Siliconが複数の処理モジュールのバランスの上に成り立っている」という点を繰り返し強調していた。

 強力なCPUコア、強力なGPUコア、そしてNeural Engineがあり、これらは高帯域の(高速な)共有メモリを通して同じ“空間”を共有する――これがApple Siliconの基本的な考え方だ。「特定の演算ユニットだけを強化するのではなく、それぞれのユニットが得意とする演算能力を、同一のメモリ空間で結び付ける」という発想自体は、M1チップ以前からあるのだが、結果的にこれがAIの処理にも適していたということになる。

 共有メモリアーキテクチャでは、全ての演算ユニットが同じメモリ領域全体にアクセスできるため、「GPUが比較的大きなAIモデルを動かしつつ、Neural EngineがCore MLを用いた日常的なタスクを処理する」といったシナリオでも同じメモリ空間を参照できる。比較的軽い機械学習処理なら、CPUでも効率的に演算できる。

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 「演算ユニット間でデータを移動させる必要がない」と、ブルックス氏は共有メモリアーキテクチャのメリットを語る。CPUとGPUが別々のメモリを持つ構成を取る場合、両者間でのデータコピー処理が常につきまとう。この処理を避けられる共有メモリアーキテクチャは「速度」「応答性」「電力効率」の全てにおいて前向きな効果を得られるということだ。

 ブルックス氏は「この思想は、昨今台頭しつつあるエージェント型のワークフローでとりわけ生きる」ともいう。

 CPUがタスクのオーケストレーションを担い、GPUがLLM(大規模言語モデル)を実行する。その間をつなぐのが、高帯域の共有メモリだ。

 さらに、iPhoneからiPad、そして最も強力なMacに至るまで、全ての製品カテゴリーで同様のアーキテクチャを採用しているため、どのプラットフォームにもスケールできる。

 このことを、高い電力効率の中で実現できるのもApple Siliconの強みだ。

 「iPhone」という出荷規模の面で強力な製品がもたらすスケールメリットも、Apple Siliconでは有利に働いている。ブルックス氏も「ポケットの中のiPhoneでも、持ち歩くMacBook Proでも、長時間のバッテリー駆動時間を保ったまま、世代ごとにAIの能力を高めてきた」と語る。

 その先には、「Mac Studio」のようにコンパクトながら強力な推論能力を持つAIワークステーションも連なっている。

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