コラム

タイパの対極にある魅力? 潔いオールインワン・レコードプレーヤー「amadana PR30」とクラフトビールの意外な共通点(2/3 ページ)

音楽も映像も、スマートフォン1つで瞬時に消費できるデジタル全盛の今、あえて手間暇をかける「面倒くささ」に、新たな価値を見いだす人が増えている。現代における“時間と向き合うぜいたくさ”について考えた。

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消えゆく物理メディアと復活を遂げたアナログレコード

 そのような中で代表格の1つが、アナログレコードだ。この手の“円盤”ものは、その命脈について語られることが実に多い中で、ほぼ唯一、世界的にシェアや生産量が回復している円盤(一般社団法人 日本レコード協会「アナログディスク 生産数量・金額推移」)ものでもある。

 今や、デジタルネイティブ世代を中心にアナログレコードのブームがすっかり定着した感がある。定額制の音楽配信サービスで世界中の楽曲を瞬時に聞くことができる現代において、あえて手間をかけて盤のホコリを取り、針を落として音を楽しむ体験が「新鮮なもの」として受け止められているのだろう。

 また、約30cm四方の大きなジャケットがもたらすアートワークとしての所有欲や、インテリアとしての魅力も人気を後押ししている。

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 しかし、これからレコードのある暮らしを始めたいと考えている初心者にとって、プレーヤーやアンプ、スピーカーといった「機材選び」と「配線」は最初のハードルになりがちだ。

 その点、amadanaのスピーカー内蔵レコードプレーヤー「PR30」は、そういった悩みをすっ飛ばして手軽にレコード再生を楽しめる1台だ。見た目も、スピーカーやアンプを内蔵しながらスマートにまとまっている。


amadanaの「PR30」。ベルトドライブ式のレコードプレーヤーだ。サイズは約420(幅)×370(奥行き)×141(高さ)mm、重量は約4.4kgとなっている

今、amadanaが「PR30」を発売する意味

 PR30の実売価格は4万6200円だ。この価格帯でamadanaが提示したのは、「レコードプレーヤーに必要なものを全て1台にまとめた、潔いオールインワンモデル」という最適解である。

 さまざまな同類のモデルがあふれている中でPR30を挙げたのは、Bluetooth機能を内蔵してワイヤレスイヤフォンで聞いたり、アナログ音源をデジタルファイルに変換したりといった、現代におけるデジタル環境での機能性をバッサリとカットしていることに共感したからだ。

 一方で、スマートフォンからの再生も可能なAUX IN端子や、アンプにつなげるRCA出力端子を備え、“PR30で音を楽しむ”という部分を解放しているところに、六甲ビールに近しいこだわりを感じる。

 いわば、面倒くささは残しつつも、ピッチコントロール(回転数調整)やオートストップ機能を用意する他、オーディオテクニカ製のVM型カートリッジを採用するなど、カスタマイズの余地も残している。


PR30は箱から出してすぐに使えるわけではない。簡単ではあるが、組み立て工程が必要だ。これも愛着がわく1つの行為だろう

最初(といってもこれが全てではあるが)に、ターンテーブル(プラッター)のベルト位置を調整する

プラッターの裏にあるベルトをプーリーに引っ掛ける

組み立てマニュアルが付属する

スリップマットとダストカバーを取り付ければ完成だ。トーンアームコントロールと再生終了時のオートストップ機能も搭載しているが、オートストップは回転が止まるだけで、やや時間がかかるタイプだ。amadanaロゴ入りのスリップマットも付属する

前面のネットを外すと、出力10Wの2インチのスピーカーが4基(Bass×2/Treble×2)現れる

電源スイッチを兼ねた音量調整、回転切り替え、ピッチ調整のダイヤルと3.5mmのヘッドフォン端子がある。ただし、ヘッドフォンケーブルはダストカバーを閉じると挟まれる形だ

オーディオテクニカのカートリッジ「ATN3600LC」が装着されており、互換性のあるカートリッジと交換することで、サウンドをカスタマイズできる

背面にRCA出力とAUX入力端子(3.5mm)がある。電源はACアダプターだ

底面のゴム足。それなりに重量があるので、操作していてもボディーががたつくことはない

 オーディオ機器特有の「メカメカしい」デザインが苦手な人や、普段はスマホで音楽を聞くが自宅ではリラックスできる音響空間を求めているといった人の要望に応えつつ、自らの主張も忘れていないというプロダクトに仕上がっているわけだ。

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