タイパの対極にある魅力? 潔いオールインワン・レコードプレーヤー「amadana PR30」とクラフトビールの意外な共通点(1/3 ページ)
音楽も映像も、スマートフォン1つで瞬時に消費できるデジタル全盛の今、あえて手間暇をかける「面倒くささ」に、新たな価値を見いだす人が増えている。現代における“時間と向き合うぜいたくさ”について考えた。
とあるきっかけでアルコールを口にしなくなり、既に11年が経過した。
何か強い決意や決断があったわけではないが、ここまで継続している。最近はノンアルコール勢が増えていますよね、といった話を踏まえた上で、とある人からビールの紹介を受けた。
「六甲ビール」というクラフトビールのこだわり
1997年に誕生したクラフトビールで、有馬温泉にも近い六甲山麓に醸造所を構え、そこでくみ上げた天然水を用い、地元の素材(神戸産の小麦や桃、淡路島産のレモン、兵庫県の酒米「山田錦」など)を使っているという。
その成果は、ビール審査会の「International Brewing Awards IBA 2026」の「スモールパック・クラス3」(エール部門、アルコール度数5.0%〜5.4%)でフラッグシップの「セゾン」(SAISON)が最高賞の金賞(GOLD)を獲得したことに表れている。
それがどれだけすごいことなのか、門外漢だけに正直ピンとこないと伝えたところ、SAISONの缶ビールを手渡された。よく見かける缶ビールと異なり、缶底に賞味期限の表記はなく、パッケージのラベル部分にあるのだが、驚くのはその期間の長さだ。
常温で製造日から450日とあり、これは缶の中に生きた酵母を閉じ込め、じっくりと熟成させる「缶内二次発酵」製法を全ての缶製品に取り入れているおかげだという。
やや不謹慎だが、災害時の息抜きとして役立つのではと頭の片隅で思いつつ、さらに目を引いたのは賞味期限の隣にある、「あなたのお好きな飲み方を見つけてください」という表示だ。
具体的には、下記2つの表示がある。
- 缶を開けてそのまま飲む「スッキリ」スタイル
- 飲む前に缶を5分ほど逆さまにして、缶の底に沈んだ酵母などの「うまみ成分」をビール全体になじませてから飲むスタイル
ということは、
- ソッと注ぎ、スッキリ部分と濃厚なうまみ成分をそれぞれ味わうスタイル
もあっていいだろう。これらについて「面白い!」と感じるか、ビールを飲むだけなのに「面倒だな」と感じるかは人それぞれだ。1つの缶ビールで楽しみ方がたくさんあるのはユニークで非常に興味深いと思うが、面倒だと感じるのも分かる。
缶ビールの醍醐味(だいごみ)の1つは、すぐに「プシュッ」と開けて「ゴクッ」と飲み込む一連の動作と爽快さにあるからだ。
昨今は(いや、いつの時代もなのだが)、この“面倒くささ”に価値を見いだす風潮がある。スマホで簡単に撮影できるのに、あえてフィルムカメラや初期のコンパクトデジカメを使ってエモい写真を撮るのも1つだし、手紙やZINE(個人冊子)の制作、ソロキャンプ、あるいはサウナなどにもそのような側面があるだろう。
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