NECのShieldPROは「ここがスゴイのだ」タフネスライター“高橋敏也”がタスネスノートに迫る!(3/3 ページ)

» 2007年07月30日 10時00分 公開
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「防塵防滴ケーブル」の正体は?

 ShieldPROの仕様を見ていて気になる部分は、ほかにもある。「ケーブル接続時も防塵・防滴性を確保」という記述だ。3つあるUSB 2.0をはじめとして、ShieldPROには多様なインタフェースが用意されている。それらのインタフェースにはカバーが設けられており、カバーで覆われている状態でIP54準拠の性能を発揮する。ShieldPROが“偉い”のは、カバーを外してインタフェースにケーブルを接続した状態でもIP54準拠が確保されるところだ。

 ShieldPROをフィールドワークで使うとき、何かしらの周辺機器を本体に接続することが多いと考えられる。そういうユーザーにとってインタフェースカバーを外した状態でもIP54が保証されるのは運用条件の幅を広げることになるが、その一方で、ケーブルの接続状況が気になるところだ。IP54を維持しつつ、どのようにケーブルは接続されるのだろうか。中野氏が取り出したパーツを見て驚いた。それはケーブルというより「アタッチメント」といった雰囲気だったからだ。

「LANケーブルなどは、ユーザーがそれぞれの環境に合わせてさまざまなものを使っています。それをShieldPROに合わせて変更するのは、いかにも使い勝手が悪い。そこでケーブルのコネクタに取り付けるアタッチメントを用意したのです」

 要するにケーブル端のコネクタにアタッチメントを被せ、ShieldPROとピッタリ密着させて接続するのだ。ユーザーが使っているケーブルをそのまま使用できるため、ShieldPROへの移行がスムーズに行える。取材時点で用意されていたのはLAN用、電源コード用、そしてRS-232C用の3種類であったが、USB 2.0用も近々リリースされるという。

 なお、RS-232C用アタッチメントの形状はほかと若干異なり、コネクタ自体をポートに密着させるようにして接続する。余談だが電源用アタッチメントは別として、RS-232C用の防塵防滴ケーブルが用意されるあたりは、さすがFCノートである。コンシューマーユーザーが使用する機会の多いUSB 2.0用のアタッチメントが後回しになったのにも「FC」的な理由がある。

「USB 2.0に対応した一般的なコンシューマー向け周辺機器はShieldPROのように防塵防滴ではないですから、USB 2.0は後回しでいいだろうと。でも、ユーザーの声を聞くと、そうでもないんですよね」

 青柳氏がそう語る背景には、やはりUSB 2.0機器の幅広い普及があるようだ。現在ではUSB 2.0に対応した堅牢外付けHDDなども普及しており(HDD側のコネクタをどう処理するかは別として)、現場でのニーズも広がっているのだろう。

LANケーブル用の防水アタッチメント。この中に通常のLANケーブルを組み込み、カバーをかけてコネクタ部分を密閉する。ほかのアタッチメントも基本的に同じ構造を採用している
「いやー、これなら手持ちのケーブルを流用できるから周辺機器の配置も変える必要もないし、なにより経費が節約できていいですね」と個人事業主でもある高橋敏也はたいそう喜んだ

20年以上を誇るFCシリーズの最先端に

 すでにShieldPROは、さまざまな現場で活躍している。工場などのライン管理や制御はもちろんだが、消防関係の車載用としても採用が始まっているのだという。低温環境に強いということで、低温倉庫で使われたり北海道など厳寒地域での屋外保守作業などで利用されていたりする。

 ちなみに前モデルでは、低温時にヒーターでHDDを予熱して回転可能な温度まで暖まらないと使用可能な状態にできなかった。温まるまでに状況によって20分ほど待たなくてはならなかったという。そこでShieldPROの開発では「ヒーターを使わない」という条件が盛り込まれ、低温耐性の高いHDDの採用などで対応したのだという。また、セレクションメニューに用意されているシリコンディスクを搭載すれば、低温耐性や始動性がさらに向上するという。

NECの府中事業場には環境評価試験室も用意されている。ここで、防滴試験や熱衝撃性能、温度サイクル試験が行われている
防滴試験機は上下に設けられたシャワーから大量の水流を浴びせる。その状況はこちらの動画でチェックされたし(AVI形式:5.72Mバイト)

「熱衝撃試験機」という、インパクトのある名前をつけられたこの機械では、急激な温度差を実現して長期的な信頼性を確める加速テストを行なう
こちらは、堅牢ノートだけではなく、通常のノートPCでも関係してくるキーボード自動打鍵機。キーボードの耐久性能をテストする

 さて、このように興味深い開発ストーリーを持つShieldPROだが、取材中、青柳氏と中野氏は時折、「FCシリーズの持つ歴史と蓄積されたノウハウ」に触れていた。NECのFC開発は、すでに20年以上の歴史があり、このジャンルではトップシェアを誇っている。そんなNECがFCシリーズで積み上げたノウハウを持って挑んだのが、ShieldPROの開発なのだ。

 中野氏は「“こうしたい”というラインがあって、それをギリギリまで追求して実現する」と語っている。それはShieldPROのベルトという一見脇役に思える箇所にも端的に表れている。ShieldPROには合成繊維などから作られたベルトが付属している。しかし最初は、前モデルのようにあたかも工具箱やアタッシュケースと見まがう樹脂で固められたごっつい形状のハンドルにしたかったのだという。

 ここでギリギリのせめぎ合いが始まる。「ハンドルは欲しい」「軽量化が最優先」「ではハンドルも軽量化」という流れである。結果、ハンドルは合成繊維のベルトになり、それによって約100グラムの軽量化が実現したのである。「ローテクなのかも知れませんが、やりながらギリギリを探っていく」という中野氏の言葉が印象的だった。

 ShieldPROというノートPCの開発を通して、堅牢技術を着実に積み重ねる。このようにして、NECのFCは20年間以上に渡って進化を続けてきた。ShieldPROの無骨な外観に似合わない軽さを確かめつつ、願わくばこれをコンシューマー向けにも販売してもらいたいと思いつつ、NECを後にしたのであった。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年8月13日