FX2301TVに備わったゲーム向けの性能と機能を一通りチェックしたところで、実際のゲーム映像にそれがどのように生かされるのかをPS3用ゲームで試してみた。今回プレイしたのは「ロスト プラネット 2」と「GOD OF WAR III(ゴッド・オブ・ウォー III)」の2タイトルだ。ロスト プラネット 2はXbox 360版もあるが、今回はPS3版での試用となる。FX2301TVとPS3はHDMIで接続した。
まずはロスト プラネット 2だが、密林の描き込まれたグラフィックスが23型フルHDの画面へ緻密(ちみつ)に表示され、それだけでも大いに満足感がある。
また、動きの激しい三人称視点のシューティングゲーム(TPS)とあって、バーチャル5.1chサラウンドの設定が実に効果的だ。設定を「ゲーム1」にすると、音の反響がなく、敵や見方の足音、銃声などがはっきり伝わるため、自分からの距離や位置が把握しやすくなり、視点をキョロキョロと動かさなくても直感的なアクションが可能になる。ステレオ音声でのプレイとは大きく違う点だ。また、ムービーシーンなどで航空機のごう音が周囲をグルグル回るのも体感でき、ゲームの臨場感も確実に高める印象を受けた。
映像の設定に関しては、やはりレスポンスが高速なスルーモードが最適だ。倍速補間による動きの滑らかさは得られないものの、中間階調域で3msと高速な応答速度によって、ゲームプレイ時に動画ブレが気になることはほとんどない。液晶ディスプレイとしては、ゲーム映像のぼんやり感が非常に少ない部類といえる。遅延0.5フレームの高速反応は見事で、まさにストレスフリーの操作感だ。
カラーモードの設定は迷うところだが、パンチの効いた「Power」は積極的なプレイを力強い表示で盛り上げてくれて心地よい。ただし、長時間画面を集中して見続けると、コントラスト感が強いことから疲労感も出やすくなってくる。適度に輪郭が強調されて全体敵に画面が明るい「ゲーム」を選んでもいいだろう。
GOD OF WAR IIIも美麗なグラフィックスと高音質なサウンドで知られるタイトルだ。ギリシア神話を題材にした圧倒的な世界観とバイオレンス描写が特徴で、FX2301TVで出力するその映像と音は実に鮮烈な印象。大人のヘビーゲーマーにぜひ体験してほしいハイクオリティだ。
バーチャル5.1chサラウンドの設定は、音の反響が耳を包み込む「ゲーム2」が神話の世界にマッチしているように思う。GOD OF WAR IIIは見下ろす視点での3Dアクションアドベンチャーゲームなので、視野が狭いFPSやTPSとは異なり、基本的に敵の位置を音で判断する必要はない。そのため、演出効果の高いゲーム2設定のほうが、プレイに没頭していける。攻撃による衝撃音の迫力はなかなかのもので、通路脇で燃える炎や風の音など細かい効果音がきちんと横から聞こえて通り過ぎるなど、バーチャル5.1chサラウンドの魅力が存分に堪能できた。
映像の設定はやはりスルーモードが基本になる。敵が次から次へと沸いてきて、激しいアクションを繰り広げるシーンが多いため、アクションアドベンチャーゲームといえど、レスポンスは高速なほうがいい。カラーモードについては、主人公のクレイトスからあふれ出る攻撃性を具現化したような「Power」が魅力的だが、前述のように暴力描写も多いことから、少し直接的すぎる描写にも思えてくる。暗部階調を重視しつつ、色温度がぐっと下がる「シネマ」を選ぶと、大作映画のような重厚さが出てくるので、あえてこうした設定でプレイしてみるのも一興だ。
以上、FX2301TVのゲーム向け機能にフォーカスしてきたが、最後にそのほかの特徴も触れておきたい。
まずは新デザインのボディだ。正面から見ても側面から見ても左右対称のシンメトリーデザインを採用しており、EIZOのディスプレイらしくシャシーはしっかりした作りで上質さがある。スタンド自体はチルト機構のみに対応した簡素な作りだが、VESA規格準拠のフリーマウントアームなどを装着することも可能だ。
デザインのアクセントになっているスピーカーカバーは「サウンドジャケット」と呼ばれ、全5色ものカラーバリエーションが用意されている点に注目したい。標準のカラーとして販売されるフィーバーレッドとワンダーブラックの2色に加えて、アクティブブルー、ディライトイエロー、ディアブラウンの3色のサウンドジャケットがオプションとして購入できる(各2980円)。各オプションは、EIZOの直販WebサイトであるEIZOダイレクトにて取り扱う。
使用しているカラーモードに合わせて、画面下にあるインジケーターのカラーが変化する「モードインジケーター」機能もユニークだ。イルミネーションの明るさは外光に応じて3段階に自動調整されるため、部屋が暗くなっても光がまぶしくて困るようなことはない。赤(電源オフ)とアンバー(入力信号なし)以外の5色はユーザーの好みで自由に設定することもできる。これほど凝った外装のゲーミングディスプレイは、そうはないだろう。
基本仕様については下表にまとめた通りだ。輝度は300カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1000:1(コントラスト拡張時2000:1)、最大表示色は10ビットガンマ補正による約1677万色と、不満のないスペックを備える。設置環境の明るさと映像に応じて画面輝度を自動調整することで、目の負担を減らす「Auto EcoView」機能まで搭載しており、PCの汎用液晶ディスプレイとしても十分活用できる。
液晶パネルがTN方式であることに懸念を覚えるユーザーもいるだろうが、ゲーム映像を表示する場合、正面から表示を見ていれば、視野角の狭さが気になることはなかった。TN方式の液晶パネルは上下方向の視野角がどうしても狭くなるが、FX2301TVに採用された「リラックスモード」を利用すれば、画面を少し上や下から見ても正面から見たときと近い状態になるように、5段階の視野角補正が行えるので、ソファにもたれかかったり、寝ころんで画面を見上げるような視聴シーンにも対応できる。
そもそも、PC向けに製造されている(つまりは、この価格帯のゲーミングディスプレイに使われるような)倍速駆動のフルHD液晶パネルは、現状でTN方式しかなく、VA方式やIPS方式のPC向け液晶パネルではFX2301TVほどの動画表示性能が達成できない。視野角の狭さと動画表示性能の高さを天秤(てんびん)にかけ、後者を優先してゲームに特化させたディスプレイがFX2301TVというわけだ。
実際、これほど豊富な機能を上質なデザインのボディに凝縮した高級ゲーミングディスプレイは他に類を見ない。EIZOダイレクトでの直販価格は9万9800円となり、単純に画面サイズや解像度だけで判断すると高額に思えるが、ヘッドフォン向けのバーチャル5.1サラウンド、多彩な倍速モード、遅延時間が非常に短いスルーモード、豊富な入力端子と使い勝手のいいリモコン、地デジチューナー、そしてボディの見栄えなど、総合的に考えると、十分に元は取れるハズだ。2010年4月1日からの新エコポイントに適合し、購入時には7000点のエコポイントが付与されることも覚えておきたい。
とりわけゲームに関する機能は数あるゲーミングディスプレイの中でもトップクラスの充実度を誇るため、ゲームの映像と音声、そしてレスポンスをとことん追求したいヘビーゲーマーに強くおすすめできる1台だ。
「FORIS FX2301TV」の主なスペック | ||
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型番(カラー) | FX2301TV-RD(フィーバーレッド)、FX2301TV-BK(ワンダーブラック) | |
画面サイズ | 23型ワイド(58センチ) | |
デジタルテレビチューナー | 地上デジタル(CATVパススルー対応) | |
液晶パネル種類 | TN(ノングレア) | |
画面解像度 | 1920×1080ドット | |
標準表示面積(横×縦) | 509.7×286.7ミリ | |
画素ピッチ | 0.266×0.266ミリ | |
視野角 | 上下160度/左右160度 | |
輝度 | 300カンデラ/平方メートル | |
コントラスト比 | 1000:1(コントラスト拡張時2000:1) | |
応答速度:中間階調域 | 3ms | |
最大表示色 | 約1677万色:8ビット対応 | |
内部演算処理/ガンマ補正 | 約10億6433万色中/10ビットLUT | |
走査周波数(PCデジタル映像入力) | 水平:31.5〜67.5kHz、垂直:59〜61Hz | |
走査周波数(PCアナログ映像入力) | 水平:31〜81kHz、垂直:55〜76Hz | |
PCデジタル映像入力 | DVI-D×1(HDCP対応)、HDMI×2(AV入力と共用) | |
PCアナログ映像入力 | D-Sub×1 | |
AVデジタル映像入力 | HDMI×2 | |
AVアナログ映像入力 | D5×2、コンポジット×1(D5優先) | |
テレビアンテナ入力 | 地上デジタル×1 | |
PC音声入力 | ステレオミニ×2、HDMI×2(AV入力/映像入力と共用) | |
AV/テレビ音声入力 | HDMI×2、RCA×2(コンポジット、D5専用)、地上デジタル×1 | |
PC/AV/テレビ音声出力 | ラインアウト(ステレオミニ)×1、ヘッドフォン(ステレオミニ)×1 | |
スタンド機構 | チルト:上20度/下5度 | |
フリーマウント穴ピッチ(VESA規格) | 100×100ミリ | |
内蔵スピーカー | 2ワット+2ワット | |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 547×275×445ミリ | |
重量 | 約9キロ | |
保証期間 | 5年間 | |
EIZOダイレクト価格(税込) | 9万9800円 | |
今回プレイしたゲームタイトル | |||
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製品名 | ロスト プラネット 2 | GOD OF WAR III | |
発売元 | カプコン | ソニー・コンピュータエンタテインメント | |
ジャンル | アクションシューティング | アクションアドベンチャー | |
映像/音声 | 720p/Dolby Digital | 1080p/Dolby Digital | |
対応機種 | PS3/Xbox 360 | PS3 | |
CEROレーティング | C(15歳以上) | Z(18歳以上) | |
価格 | 7990円 | 5980円 | |
発売日 | 2010年5月20日 | 2010年3月25日 | |
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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月31日