モバイルWiMAXは「速い」。この「速い」の理由を解説しよう。
モバイルWiMAXを採用するUQ WiMAXの通信速度は、下り最大40Mbps、上り最大10Mbps(2010年7月現在 ※表記の通信速度はモバイルWiMAXシステム上の最大速度であり、お客様の実利用速度を示すものではありません)で、広域で利用できるワイヤレスインターネットサービスとしては圧倒的に速い。ワイヤレスなので、3G携帯電話網によるデータ通信サービス(以下、3Gサービス)と同様に電波状況によって通信速度は変化するが、実利用時で下り20Mbpsを越えて利用できることも珍しいことではないほど「高速」だ。
その高速な通信速度を支えているのは、周波数帯域を細分化して細分化した電波に高速なデータを並列に乗せて送受信する「OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式で実現する点にある。
電波の特徴として一般には、異なる周波数の電波を近接させて発射すると、それぞれが干渉する特徴を持つ。OFDMAは電波を細分化して干渉が生じない関係の周波数の電波だけを選んで使うことで、電波を近接して利用することを可能とする技術だ。現在、国内の3Gサービスで採用するCDMA(Code-division Multiple Access:符号分割多元接続)より周波数の利用効率がよい特徴がある。
また、WiMAXでは基地局と通信端末に複数本のアンテナを実装することでデータ速度を倍増するMIMO(Multiple Input Multiple Output)の技術を標準搭載していることも挙げられる。
さらに、受信と送信の多元接続を時分割する「TDD」(Time Division Duplex:時分割複信)方式が用いられ、1つの周波数帯を時間で区切って受信/送信を切り替えて使用している。理想は受信速度も送信速度も高速なほどよいのだが、インターネットの利用においては受信データ量の方が圧倒的に多いので、限りある速度幅の中では一般的に受信速度がより高速である方が快適に利用できる。TDDは1つの周波数で受信速度と送信速度のバランスを調整できるため、電波の利用効率がよいわけだ。
対して国内の3Gサービスは受信と送信に2つの周波数帯を使うので、受信と送信ともに同じ周波数幅となる。送受信のデータ量がほぼ均一に発生する音声通話に利用する都合があるためだが、データ通信においては上記の理由で周波数利用効率のバランスがやや悪いのだ。
ワイヤレスインターネットで先行する3Gサービスに対して、最大通信速度だけでは分かりにくい「実利用時の速度」におけるメリットもある。3Gサービスは段階的に新しい通信規格を導入して最大通信速度を向上させてきた。国内では2010年現在下り最大21Mbpsのサービスが展開されるが、これは基地局側の対応が必要となるため、実際に最大21Mbpsのサービスが利用できるエリアはごく一部にとどまるのが現状だ(つまり、全国における3Gサービスの最大通信速度は、下り最大7.2Mbp程度ともいえる)。
ユーザーが使用する3G端末も、最大通信速度の異なる新旧規格の端末が混在している。これらが1つの基地局に接続することで、基地局あたりの通信速度の低下を招きやすい。同じデータ量を送受信する場合でも、最新端末より最大速度の遅い旧端末の方が時間を要してしまうためだ(例えば家庭内の無線LANにおいても同様で、最大300MbpsのIEEE802.11n対応無線LANルータを使っていても、最大11MbpsのIEEE802.11bの旧クライアントがひんぱんに通信すると、IEEE802.11nのクライアントの実行通信速度が低下してしまう)。
この点、モバイルWiMAX(IEEE802.16e)は最初から下り最大40Mbps/下り最大10Mbpsで規格化され、全国の基地局すべてが対応、かつ端末側も準じている。複数のユーザーが1つの基地局と効率よく通信できるため、実行速度が低下にしくいわけだ。
……やや専門的な話となったが、“最大”スペックだけでは分からない「速さの理由」がきちんと存在することを理解してもらいたかったので、この章でじっくり解説することにした。
下り最大40Mbpsと、ワイヤレスインターネットサービスとしては群を抜いて高速なモバイルWiMAXだが、もちろん今後も速度向上を図っていく。
2010年現在、基地局側のチューニングで実効通信速度を向上させている。開業時は最大で下り15Mbps程度だった実効通信速度は、2010年3月に施した基地局のチューニングで最大受信速度は約20Mbpsに上昇。さらに2010年8月には再度のチューニングで最大30Mbpsまで実効通信速度を向上させる予定だ。
これは、規格の変更で通信速度の向上を重ねる3Gサービスとは異なる点である。旧機種では高速な新サービスを利用できない3Gサービスと違い、モバイルWiMAXユーザーすべてに「より高速」が提供されるのだ。
なお、2010年12月には、基地局のさらなるチューニングに加えて送信側の変調方式に「64QAM」(64 Quadrature Amplitude Modulation)を追加することで、最大上り速度を15Mbpsまで上昇、下りの実効通信速度も40Mbpsまで引き上げられる。
そして次世代ワイヤレスインターネットと呼ばれるモバイルWiMAXは、最大330Mbpsにまで達するさらに新世代の「モバイルWiMAX Relase2.0(IEEE802.16m)」を2012年にも導入する計画だ。モバイルWiMAX Relase2.0は現在のモバイルWiMAXを大幅に変更した無線通信を採用するものの基地局は共用可能としているので、カバーエリアはほぼそのままに新たな規格にもシームレスに移行できるようだ。
「スピード」──。通信の速さはもちろん、サービスエリア拡充の早さ、革新の早さも含め、固定インターネットのADSLクラスに達したモバイルWiMAXは、ごく近未来には光ファイバークラスに匹敵するスピードをも手にすることになる。
モバイルWiMAXの「速さの理由」が分かっていただけただろうか。
UQコミュニケーションズは、WiMAXサービスを北米やハワイでそのまま利用できる無料トライアルサービスを実施する。実施期間は2011年3月末まで。
無料トライアルは、UQ WiMAXあるいは日本国内のWiMAXサービス提供会社に契約中で、Intel WiMAX/WiFi Link 5150あるいはIntel Centrino Advanced-N + WiMAX 6250モジュールを内蔵する「WiMAX内蔵PC」ユーザーが対象となる(データ通信端末やWiMAXルータでは利用できない)。利用可能エリアは米CLEARが提供するアメリカの各都市(アトランタ、シアトル、シカゴ、ダラス、ヒューストン、フィラデルフィア、ホノルル、ラスベガス、ワシントンDCなど)。
詳細は以下の通り。
サービス名 | World WiMAX 無料トライアル |
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実施期間 | 〜2011年3月末 |
利用可能サービス | 米CLEARの提供する1日利用サービスを期間中何度でも利用可能 |
料金 | 無料 |
利用可能エリア | アメリカの主要都市(アトランタ、シアトル、シカゴ、ダラス、ヒューストン、フィラデルフィア、ホノルル、ラスベガス、ワシントンDCなど) |
利用可能な機器とユーザー条件 | Intel Centrino Advanced-N + WiMAX 6250モジュールを内蔵した「WiMAX内蔵PC」を利用する、UQ WiMAXおよび国内WiMAXサービス提供会社で契約中のユーザー (USB接続型のWiMAXモジュールやWiMAXルータなどでは利用できない) |
海外利用までの流れ | 1:(海外の)エリア内でWiMAX内蔵PCを起動 2:ネットワークの検索・接続 3:ブラウザ起動 4:オンライン加入手続き(海外WiMAX提供会社との契約) サービス利用開始 |
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提供:インテル株式会社、マイクロソフト株式会社、UQコミュニケーションズ株式会社(50音順)
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2010年9月30日