3Gでは需要充たせず。WiMAX導入が急務とNRI

» 2005年07月26日 15時16分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 「スーパー3Gなどの3Gサービスに、新しい周波数を20MHz割り当てても、既存ユーザーの増速対応で飽和してしまう。携帯に帯域を与えても、非携帯の需要は収容できない。WiMAXにコミットしなくてはならない」

 野村総合研究所(NRI)の情報・通信コンサルティング二部上席コンサルタントの桑津浩太郎氏は7月26日、このように話し、WiMAXの利用を検討することが急務であるとした。

携帯分野以外に広がる、無線ブロードバンド需要

 理由の1つは、携帯電話以外に無線ブロードバンド接続の需要が大きく見込まれる点だ。

 桑津氏は2008年の段階で、ノートPCやPDAなどの汎用データ通信向け機器が770万台、携帯AVプレーヤー、デジタルカメラ、携帯ゲーム機などエンターテインメント用途で680万台、宅内にあるPCやビデオレコーダー、ゲーム機、大型テレビなどの宅内無線接続の需要が700万台──合計で約2150万台の需要が見込まれると話す。

端末カテゴリー 2006年 2007年 2008年
PC系モバイル 180万 420万 770万
エンタメ系 120万 380万 680万
宅内無線接続 30万 450万 700万
合計 330万 1250万 2150万
潜在需要予測(NRI)

 こうした2000万強の需要に対し、「(携帯電話のような)FDDマクロセルでは、この需要を収容できない。(WiMAXなどに)80MHzくらいあれば、2000万の携帯電話以外のものも収容できる」(桑津氏)とした。

定額制に対応できない3G

 携帯電話サービスでは対応が難しい理由は、高速かつ定額・常時接続への対応が厳しいためだ。NRIの試算では、速度10Mbps級の定額制を3Gサービスで提供した場合、17M〜38MHzの周波数が既存ユーザー向けに必要になる。

 NRIの調査によると、10Mbps級定額サービスを月額6000円で提供した場合、ユーザーの採用意向は15%。追加の帯域が17MHz必要となる。また月額3000円で提供した場合、採用意向は60%となり、必要な追加帯域は38MHzとなってしまう。

 これに対し、高速・常時接続を前提としたWiMAXを使えば、2000万強の需要に対し、速度10M〜30Mbpsのサービスを80MHzの周波数(TDD方式の場合)で提供できるという計算だ。

 郊外など広いエリアをカバーすることを前提に作られたマクロセルの3Gに対し、Wi-FiやWiMAXは狭い範囲をカバーするマイクロセルに適する。NRIでは、飽和の可能性があるのは都市部だと見ており、都市部でWiMAXを効果的に導入することで問題を解決できるとする。

次世代PHSをWiMAXで

 高速・常時接続を実現する技術の中でもWiMAXを推す理由は、諸外国との整合性・互換性だ。

 韓国では2006年に2.3GHz帯で、米国では2005年から一部地域を皮切りに2.5GHz帯でのWiMAX導入が予定されている。韓国はそもそもWiBroという独自の通信方式として導入を進めてきたが、2004年からはWiMAXの1つとしてグローバル標準化を推進し始めた。

 日本では平成電電YOZANKDDIイー・アクセスなどがWiMAXの実験を始めているが、利用周波数帯などは不透明なまま。世界的に標準化が進む中で日本は立ち後れている。

各国の状況 日本 韓国 台湾 米国
商用化時期 2.5GHz帯は不透明。3GHz帯超は2006年から順次 2006年商用化へ 2007年商用化見込み 2006年本格商用化
想定帯域 2.5G/3.3G/3.5G/5.7GHz等 2.3GHz帯 2.5GHz帯想定 主に2.5GHz帯
補足 WiMAXとのハーモナイゼーションを国策化 北米WiMAXとの一体化を予想
各国のWiMAXの状況(NRI資料より)

 「世界マーケットのハーモナイゼーションを前提とするとWiMAXはやらざるを得ない。TDD換算で80MHzの帯域を用意しなくてはならない」と話す桑津氏は、日本側が世界に向けてイニシアティブを取れる方法がまだあると話す。次世代PHSをWiMAXとして推進していく方法だ。

 「日本側がイニシアティブを残し得るのが、PHSの1.9GHz帯、TDDの2GHz帯。周波数が低くより使い勝手がいいバンドにWiMAXを移していく。次世代PHSはOFDM系TDD。WiMAXではないが、WiMAXとのハーモナイゼーションは図れるのではないか」

 「PHS over WiMAXという議論を、まじめに検討する時期に来ている」(桑津氏)とした。

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