KDDIが考えるWiMAXの“役割”:ワイヤレスジャパン2005

» 2005年07月15日 16時26分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 「3Gの補完に使う」としてIEEE802.16e(WiMAX)の実証実験を開始したKDDI。実験結果の概要と、その役割が7月15日のワイヤレスジャパン2005の講演で話された。

無線LAN、WiMAX、そしてCDMA2000

 ウルトラ3Gという名称で、無線から固定まで各種の通信方式を統合するコアネットワークの構想を掲げるKDDI(6月15日の記事参照)。この中で、ワイヤレスの通信方式は大きく3種類に分類される。

 1つは携帯電話の流れ。ここではCDMA2000をベースに、提供済みの1X EV-DO(WIN)、EV-DO Rev.A、Nx EV-DO、次世代CDMA2000という進化を想定する。120キロ以上の高速移動に対応し、瞬時のハンドオーバー(切り替え)が必要とする。

 もう1つは固定系の通信をワイヤレスにした、無線LAN(Wi-Fi)だ。100Mbpsオーバーの速度を持つIEEE802.11nを重要な技術と位置づける。

 そして3つめが、「もっと低価格で常時つながる携帯電話が欲しい」というニーズと、「コードレスの固定通信が欲しい」というニーズを兼ね備えた「ワイヤレスブロードバンド」だ。

 「概ね5年以内に実現できる技術で、移動環境対応と、常時接続、安価という3つの要素を兼ね備えた技術が望まれる」とKDDIのワイヤレスブロードバンド開発部無線システム開発グループリーダーの要海敏和次長は話す。

 現時点で、その最も有力な候補がIEEE802.16e(WiMAX)だ。

 3つの方式の大きな違いは、通信速度よりも継続性・接続性のあり方にある。無線LANはエリア間のハンドオーバーを想定しておらず、携帯電話は瞬時のハンドオーバーが基本。ワイヤレスブロードバンドは、「携帯電話のように物理層での継続性持たないが、IPレイヤーでの継続性を持つ。常時接続を前提としたシステム作り」だと要海氏は言う。

ウルトラ3Gで想定するコアネットワークと併せて試験

 大阪で行われた802.16eの実証実験では、10MHz幅の帯域を使いTDD方式で試験が行われた。符号化率3/4、変調方式に64QAMを使ったテストで下り17.8Mbps、符号化率3/4、変調方式にQPSKを使った場合で下り5.76Mbpsを得たという。

 コアネットワークにはIPv6とMMDを使い、「802.16eとコアネットワークをトータルで使ったシステム」(要海氏)でのテストとなった。


幅広いWiMAX

 WiMAX実験の詳細を細かく記したのには理由がある。

 IEEE802.16は、FWA用途を前提としたオリジナルの802.16(2001年制定)のほかに、OFDMを使うことで見通し外通信も可能になった802.16a(2003年制定)、そして現在802.16-2004と呼ばれる802.16 Rev.d(2004年制定)がある。そして現在規格制定中なのが、携帯電話のようにハンドオーバーを備え、モビリティを確保したIEEE802.16eだ(4月8日の記事参照)。

IEEE802.16系の通信規格の推移

 こちらは2005年の10月に規格が定まる見込みとなっており、「ようやく終結の目処がついたが、非常にオプションが多い規格」(要海氏)なのだ。

 まず、物理層だけ見ても、シングルキャリア(1つの搬送波)方式からOFDM、OFDMAまで選択できる。利用する周波数帯も、6GHz以下というだけでバラバラ。WiMAX Forumでは2.5GHz/3.5GHz/5.8GHzの3つの推奨を出しているが、例えばYOZANは4.95GHz帯を使ってサービスインする予定だ(7月13日の記事参照)。周波数幅も、1.25MHz〜20MHz幅が利用でき、当然通信スピードも周波数帯と周波数幅で代わってくる。

 さらに上り下りの方式としてはFDDもTDDも選べる。そして、アドバンス技術としてアダプティブアンテナや、スペースタイムコーディング、MIMOもサポートしている。「各業者がバラバラにオプションを選ぶと全く互換性のないシステムになってしまう」(要海氏)状況にある。

802.16eの標準化スケジュールとオプション

 こんな中、韓国で商用化されている「WiBro」のスペックが注目を集めている。WiBroは元々は独自規格だったが、802.16eとの統合が進められている(6月7日の記事参照)。

 9MHz幅、TDD方式を使ったWiBroは下り20Mbps、上り5.5Mbpsのスピードを持つ。KDDIも実証実験に当たっては「WiBroをけっこう参考にした」(要海氏)という。

韓WiBroと、各携帯向け無線方式の比較

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