なんで“ネット動画”がここまでキレイなの?――新次元エンタメ液晶「FORIS FS2332」の秘密「ニコ動」で人気の3D CGクリエイターも食い付いた(3/3 ページ)

» 2011年07月04日 10時00分 公開
[ITmedia]
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超解像だけじゃない、幅広く活用できるFS2332のエンタメ性能

10ビットLUTにより、グラデーションの表示も安定している

 IKEDA氏がもう1つ、FS2332で気に入ったのはベースになる画質という。FS2332は何も超解像技術だけがウリの液晶ディスプレイではなく、視野角による色味の変化が小さいIPS方式液晶パネルの採用をはじめ、10ビットLUTによる滑らかな階調表現、使用時に周囲の映り込みがなく視認性の高いノングレア(非光沢)の表面処理、オーバードライブ回路による中間階調の応答速度改善、2系統のHDMI入力など、動画を美しく表示するための下地ができている。

 そのうえで、用途別のカラーモードを備えているのもポイントだ。動画向けには、ゲームやアニメに向いたメリハリある表示となる「Game」モードと、暗部の表現力を重視した表示となる「Cinema」モードを用意。ゲーム向けの機能としては、「Power Gamma」としてゲーム向けに専用のガンマ設定を2種類(コントラスト感を強調してメリハリある映像にするPower 1、暗部を明るく補正して暗いシーンの視認性を高めるPower 2)備えるほか、遅延1フレーム以下のハイレスポンスにも対応する。

 ゲームもプレイするというIKEDA氏だが、「ちょっと質のよくないテレビなんかでホラーゲームをプレイすると、暗くてよく分からない間に攻撃されてゲームオーバーになり、あれっ、そこにいたの? ってなることがあるので、ゲーム用途としては、この機能もいいですね」とのこと。

 そのほか、FS2332は電子書籍やオフィス文書の閲覧向けに印刷物に近い見え方を再現する「Paper」モードと、WebコンテンツやWindows標準の色域となる「sRGB」モードを備えているが、IKEDA氏はクリエイターとしてsRGBモードの搭載も興味を引かれたという。

 「いろいろな環境でCGを制作するのですが、Macだったり、Windowsだったり、ノートPCだったりと、使うマシンのディスプレイによって色は結構違います。なので、やはり作品の微妙な色を何を見てどう決めるのかは難しい問題の1つです。一応、自分の中でこのディスプレイを見て決める、というものはあるのですが、結構古い液晶だったりするので、そろそろ、きちんとした色規格で表示できる環境はあったほうがいいと感じますね」と、IKEDA氏は制作環境のカラーマネジメントも気になってきているようだ。

 ちなみにFS2332は、EIZO純正のカラーマッチングツール「EIZO EasyPIX」にも対応しており、Web動画に適した表示や印刷物との色合わせが簡単に行える。2011年春のバージョンアップでは、数値での目標を設定してのキャリブレーションも可能になったため、簡易的なsRGB環境のカラーマネジメントならば、FS2332とEasyPIXの組み合わせだけで十分だろう。

映像入力は2基のHDMI、HDCP対応DVI-D、D-Subの計4系統を備える(写真=左)。標準でレッド、ブルー、グレーのカラーシートが付属し、画面下に走る横のラインを好みの色にカスタマイズできる(写真=右)

“ネット動画に強い”は本当! 新タイプのエンタメ液晶が誕生

 以上、Smart Resolutionの効果をはじめ、IKEDA氏にFS2332を一通りチェックしてもらった。基本的にIKEDA氏は、CG作品を高解像度で利用できるように細部まで作り込んでいるそうだが、ネット上の動画共有サービスなどに投稿する場合は画像サイズを小さくして、圧縮することが多く、そういった場合はメカのテクスチャーに付けた細かい傷や、人物の衣装に追加した縫い目や編み目などが、つぶれてしまいがちで、ネット動画の視聴ではそこが気になっていたという。

 しかし、Smart Resolutionを適用すれば、動画領域だけをきちんと自動判別したうえで、つぶれてしまったと思っていた元映像のディテールが再現されることが多く、その点に最も感心したそうだ。「こうしたディテールは作品の迫力を出す重要なポイントなので、そこが超解像で浮き上がってくると、見るほうの印象もだいぶ違ってくると思います。もちろん、作り手としてもありがたいですね。こうして制作したキャラの衣装を改めて見て、オレっていい素材を作ってるな、と思いましたから。やっぱり、これ(FS2332)欲しいなあ」と笑う。

 FS2332は、FS2331で好評だった2基のHDMI入力とDVI-D、D-Subによる計4系統入力をはじめ、フルHDの解像度、動画向けのカラーモードやガンマといった特徴を継承しつつ、液晶パネルをより広視野角なIPSに、バックライトをより省電力な白色LEDに切り替え、さらにSmart Resolutionという非常に効果の高い独自技術も盛り込んできた。それでいて、EIZOダイレクトでの直販価格は3万9800円と、なんとFS2331の発売時より5000円も値下がりしており、コストパフォーマンスはさらに高まった。

 プロのCGクリエイターにして“ネット動画の達人”をもうならせたFS2332。ネット動画を日常的に見るというユーザーならば、とりわけ高い満足度が得られる新タイプのエンターテインメント液晶ディスプレイといえる。

動画領域の自動認識と、とにかくディテールの描画性能には驚きました、とIKEDA氏

IKEDA氏も愛用する3D CGソフト「Shade 12」

 イーフロンティアの「Shade」シリーズは、26年の歴史を持つ国産3D CG作成ソフトの代表的存在だ。これまで16回のメジャーバージョンアップを重ね、累計出荷本数は55万本に上る。

 2010年12月に発売された最新版の「Shade 12」シリーズは、Basic/Standard/Professionalのグレードが用意され、標準パッケージの価格はそれぞれ1万2800円/4万2000円/8万4000円だ。ちょっと3D CGに興味がある一般ユーザーにも手の届きやすい価格帯になっている(IKEDA氏も「3D CGに興味があって、安かったから」という理由でShadeを導入したそうだ)。

 最新版はBasicを含むすべてのグレードで3D立体視映像の作成機能を備えた点、ほかの3DCGソフトとの連携機能の強化、シンプルで分かりやすい新しいユーザーインタフェースの採用などが特徴となる。

 また2011年7月1日には、新パッケージの「Shade 12 Basic feat. 巡音ルカ」(1万4800円)が発売された点にも注目したい。こちらはShade 12 Basicと、商品化された映像作品のBlu-ray Disc版「CORRUPTION GARDEN featuring 巡音ルカ」、そしてIKEDA氏が制作・監修した「Shadeデータ集 巡音ルカ」をセットにしたもの。3D CG制作とネット動画での公開をこれから始めたい人向けの“メガ盛り”パッケージだ。

「Shade 12」シリーズのラインアップ。左から、Basic、Standard、Professional、そしてBasic feat. 巡音ルカだ


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