クラウドサーバはスケーラビリティの面で有利という話をしてきたが、可用性を考えるとオンプレミスのサーバやNASにも一定のスケーラビリティが求められる。
NASが必ず備えるべきスケーラビリティは、ずばり「ストレージ容量」と「パフォーマンス」の2点だ。
QNAPのNASは、厳密にいうと「NASキット」というジャンルに属しており、HDDやSSDといったストレージが付属しない。別途ストレージを調達しなければならない点はデメリットだが、見方を変えるとこのことは必要な容量やスペックを備えるストレージを選択できるというメリットにもなる。
例えば「従業員は少ないけれど、大きな容量のデータをたくさん扱う」というなら、容量の大きなHDDを使ってNASを構築できるし、「従業員が多くて、データの読み書きも頻繁」というのであればSSDを使ってNASを構築すればいい。
QNAPでは、NASにおけるHDD/SSDの動作検証を積極的に行っている。互換性リストを確認すれば、動作保証のあるHDD/SSDを調べられるので便利だ。
加えて、NASキットであるためNAS本体とストレージの製品保証が“分離”されることもメリットだ。
ストレージも付属するNASの場合、ストレージも一体となった製品保証となっていることが多い。細かい保証内容はメーカーによって異なるが、故障したストレージを1台だけ交換したいという場合でもメーカーを通して交換(あるいは修理)の依頼を行わないと保証対象外となってしまうことは珍しくない。
その点、QNAPのNASではストレージの故障はストレージに対する保証で対応できる。代替ストレージを自分で調達(購入)して交換することも可能だ。容量が足りなくなった場合も、ストレージを買い換えることで対応できる。
NASの運用においてボトルネックになりうる要素は複数ある。中でも大きなボトルネックになりやすい要素が「ネットワークポート」だ。アクセスが集中した場合、複数のネットワークポートを備えているとスループット(実効通信速度)を向上しやすい。
その点、QNAPのNASはネットワークポート(カード)の増設に対応するモデルも多い。CPUやメモリ容量にある程度の余裕があって、かつネットワークポートを増設できるモデルを購入すると将来性の面で有利だ。
必要なスペックは業務内容や従業員数(クライアントの台数)によって変わるが、SOHO(個人事業主/小規模オフィス)や中小企業での利用であれば、多くのケースで今回紹介するTS-464がピッタリだろう。
今回の主役であるTS-464は、QNAPのSOHO/中小企業向けNASとしてはミドルハイレンジモデルに位置付けられる。税込みの実売価格は8万円程度だ。
CPUはIntelの「Celeron N5105」または「Celeron N5095」(共に2GHz〜2.9GHz/4コア4スレッド)を搭載し、メインメモリは4GB(DDR4規格)を備える。Serial ATA 3.0(6Gbps)規格の2.5/3.5インチストレージを搭載できるフロントベイを4基備える他、PCI Express 3.0規格のM.2スロット2基備えている。
ストレージベイとM.2スロットをフル活用すれば、最大で6台のストレージを搭載可能だ。
ファイルサーバでは「可用性」と「耐障害性」も重要である。TS-464では以下のRAID構成に対応しており、冗長性やパフォーマンスを向上できる。
RAIDを構成すると、NAS全体の保存容量の向上も簡単になる。まず、運用中のストレージを1台抜いてより大容量のストレージに交換する。すると自動的にRAIDのリビルドが始まり、新しいストレージにデータがコピーされる。
リビルドが完了したら次のストレージをより大容量のもの交換し……と繰り返して全てのストレージの交換を完了した後、容量の拡張を行えば「大容量化したNAS」のできあがり、という寸法である(※1)。データ量が多くなっても、NASごと買い換えることなく、より大容量のストレージを購入すれば拡張できるのは楽でよい。
ストレージの容量単価は年々下降する傾向にある。一方で企業におけるストレージの利用量は通常は単調増加(少しずつ右肩上がりしていく)傾向にある。これらを勘案し、ストレージの耐用年数(書き込み容量)をにらみつつ、数年ごとにストレージを交換する算段(予算組みや資材の確保)をしておくと良いだろう。
(※1)本体内部のM.2スロットに装着したSSDの増設/換装は電源を切って行う必要があります(ストレージベイに装着するHDD/SSDはホットスワップ可能です)
「実際、素の状態でどのくらいパフォーマンスが出るの?」と気になる人もいると思うので、以下の構成でデータの読み書き速度をチェックしてみよう。
速度の計測に使ったのは、ストレージのスピードテストでは定番の「CrystalDiskMark 8.0.4」で、アプリの設定はデフォルトのままである。シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)の読み書き速度は以下の通りだ。
この速度は、1000BASE-Tの理論上の最高速度(毎秒125MB)に近い。1000BASE-Tでネットワークを構成している場合は、素の状態のままでもパフォーマンスを発揮できそうだ。
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提供:QNAP株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2022年11月8日