これからのNASは拡張性で選ぶ! 少ない投資で長く使えるQNAP NASのススメ(3/4 ページ)

» 2022年11月02日 10時00分 公開
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TS-464をさらにパワーアップ!

 元々のパフォーマンスも良いTS-464だが、さらなるパフォーマンスアップを図ることもできる。ボトルネックになりがちな部分を「フェーズ」に分けて、順番に強化してみよう。

フェーズ1:2.5Gbpsネットワークを構築する!

 TS-464の有線LANポートは、2基共に2.5GBASE-Tに対応している。2.5GBASE-Tは、最高速度1Gbps(理論値)となる「1000BASE-T」用のケーブルを流用して2.5Gbps(理論値)の通信を実現した規格だ。

 NASは“1対多”の通信を行うことになるため、NASの通信帯域は複数のクライアント端末で分け合うことになる。少なくともNASとスイッチ(ハブ)との間の通信を2.5Gbpsに引き上げれば、端末1台当たりに割ける帯域(通信速度)は向上する。端末を2.5GBASE-Tに対応させなくても、同時接続台数が増えた場合の速度低下が起こりにくくなるのだ。

 そこでお勧めしたいマネージドスイッチが、QNAPの「QSW-M408-4C」だ。税込みの実売価格は8万円前後と、TS-464をもう1台購入できるような価格帯だが、それに見合った機能を備えている。

QSW-M408-4C QSW-M408-4C

 QSW-M408-4Cは12ポート構成となっており、うち4ポートが10Gbps通信に対応するSFP+(10GBASE-SR)/RJ45(10GBASE-T)のコンボポートで、5GBASE-T/2.5GBASE-Tにも対応している。残りの8ポートは1000BASE-Tポートだ。

 サーバ/NASが高速通信対応で、残りのクライアント機器は1000BASE-T対応――そんな構成のネットワークに最適なスイッチである。

12ポート QSW-M408-4Cは12ポート構成で、ポート1〜8が1000BASE-T対応、9〜12がSFP+とRJ45のコンボ(排他使用)ポートとなっている。なお、左端にあるRJ45ポートは、スイッチのメンテナンスに使うための専用ポートである

 ここで先ほどの読み書きテスト環境に再登場してもらい、スイッチをQSW-M408-4Cに置き換えた上で、TS-464とクライアント端末を10GBASE-Tポートに接続して、読み書きの速度がどのくらい向上するのかチェックしてみよう。シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)の読み書き速度は以下の通りだ。

  • 読み出し:毎秒116.57MB→毎秒286.77MB
  • 書き込み:毎秒112.65MB→毎秒278.32MB

 読み書き共に約2.5倍の速度になった。ネットワークの通信速度向上が読み書き速度へとリニアに反映された格好である。

速度テスト スイッチをQSW-M408-4Cに入れ替え、10GBASE-Tポートにつないで読み書き速度を計測した結果
比較 1000BASE-T環境(1G)と2.5GBASE-T環境(2.5G)の結果を比較する。シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)の読み書き速度は約2.5倍になっており、ネットワークの速度向上とリニアに連動していることが分かる

 ちなみに、QSW-M408-4CとTS-464は共にIEEE 802.3ad規格の「リンクアグリゲーション(ポートトランキング)」に対応している。

 リンクアグリゲーションは複数の物理回線を1つの回線として扱う技術で、束ねた物理回線の数だけ帯域を広げることが可能だ。1台当たりの帯域も広がることになるので、多数の端末が同時接続した場合の通信速度をさらに改善できる

 TS-464の設定でポートトランキングを有効化した上で、2基の2.5GBASE-TポートにLANケーブルをつなぎ、QSW-M408-4Cの2基の10GBASE-Tポートにつなげば、TS-464の通信帯域を5Gbpsに拡張可能だ。

設定 TS-464では、複数方式のリンクアグリゲーションに対応している。IEEE 802.3ad規格のリンクアグリゲーションを使う場合は「管理対象スイッチ(ポートトランキング/LACPをサポート)」を選ぶ必要がある
設定 QSW-M408-4Cでも、リンクアグリゲーションを使う場合は仮画面で束ねて使うポートと接続モードを指定する必要がある

フェーズ2:10GBASE-Tポートを増設しよう!

 1000BASE-T接続を2.5GBASE-T接続にするだけで約2.5倍のパフォーマンス向上を図れるということは、TS-464には“まだ”パフォーマンスの余裕がありそうだ。

 そのポテンシャルを引き出すべく、TS-464に10GBASE-T対応ネットワークカード「QXG-10G1T」を装着して、ピュアな10GBASE-T環境におけるパフォーマンスをチェックしてみよう。

 QXG-10G1TはPCI Express 3.0 x4バスに接続できるカードで、Windows/Linuxで稼働するPC/サーバでの利用はもちろん、PCI Expressスロットを備えるQNAP NASでも利用できる。税込みの実売価格は2万6000円前後だ。

QXG-10G1T QXG-10G1Tを使うと、PCI Expressスロットを備えるQNAP NASに10GBASE-Tポートを1基増設できる
増設完了 TS-464にQXG-10G1Tを組み込んでみたところ。パッケージにはフルサイズのブラケットも付属している

 QXG-10G1Tを組み込んだ後、TS-464とQSW-M408-4Cを10GBASE-Tで接続し、シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)の読み書き速度を計測した所、結果は以下の通りとなった。

  • 読み出し:毎秒286.77MB→毎秒387.82MB
  • 書き込み:毎秒278.32MB→毎秒344.69MB

 2.5GBASE-Tでの計測結果と比べると書き込みで約1.35倍、読み出しで約1.24倍となった。ネットワークの強化による速度アップとしては、十分及第点といえるだろう。

10GBASE-T TS-464にQXG-10G1Tを組み込み、10GBASE-T接続で読み/書き速度を計測した結果
グラフ 先ほどのグラフに10GBASE-T(10G)での計測結果を加えた。伸びが鈍化しているが、さらなる高速化はできるのだろうか……?

フェーズ3:M.2 SSDをキャッシュとして使う!

 先に紹介した通り、TS-464には4基のストレージベイと2基のM.2スロットがあり、M.2スロットにはPCI Express 3.0接続(NVMe規格)のM.2 SSDを装着できる。

 M.2 SSDはNASを構成するストレージとして使うことはもちろん、ストレージベイに装着したストレージに対する「SSDキャッシュ」として利用できる。PCI Express接続のSSDは、ストレージベイに取り付けるSerial ATA規格のストレージよりも高速な読み書きを行える。これをキャッシュとして活用すれば、ストレージにHDDを使った場合でもより高速な読み書きを実現できるのだ。

SSDスロット TS-464にサムスン電子製SSD「970 Evo Plus」の250GBモデルを2枚装着してSSDキャッシュとして活用する

 SSDキャッシュは「読み取り専用」「書き込み専用」「読み取り/書き込み」のいずれかを選択できる。2スロットあるのでSSDキャッシュ自身をRAID構成とすることも可能だ。

 ただし、書き込みキャッシュを利用する場合は、障害の発生を避けるためにRAID 1構成とすることをお勧めする。一方、読み取りキャッシュとしてのみ利用する場合は、RAID 0構成とすることでパフォーマンスをより向上できる。

SSD SSDキャッシュはストレージ&スナップショットの「キャッシュ加速」から設定する。なお、この画像にもあるように、SSDキャッシュはストレージベイに搭載したSSDにも設定可能だが、より高い効果を得るにはPCI Express接続のSSDに対して設定した方がよい
キャッシュタイプの設定 キャッシュタイプの設定画面。SSDキャッシュにもRAIDを構成することは可能だが、書き込みキャッシュを利用する場合はRAID 1で構成することを推奨する

 SSDキャッシュはNASとしてのTS-464のパフォーマンス向上はもちろんなのだが、TS-464で行う内部処理の速度改善にもつながる。具体的には、動画のエンコード、顔認識、仮想マシンの実行、データベースの処理など、システムに負荷が掛かる処理のパフォーマンスを大きく改善してくれる

 実際にどのくらいの速度向上効果があるのか、TS-464にデータベースを構築して処理スピードを比べてみよう。テスト環境は以下の通りだ。

  • サーバ:TS-464(SSDキャッシュ有効時は読み書きの双方で利用)
  • データベースソフトウェア:Maria DB(QTS版:バージョン10.5.8)
  • ネットワーク:10GBASE-T(フェーズ2の構成と同様)
  • クライアント:Ubuntu 20.4.0.5(Windows on Linux経由で実行)
  • ベンチマークソフト:HammerDB(バージョン4.5、8ユーザー)

 その結果は以下の通りである。

  • NOPM(1分当たりの新規発注処理数を計測するテスト)
    • SSDキャッシュなし:1447回
    • SSDキャッシュあり:1万156回
  • TPM(1分当たりのオンライントランザクションの成立回数を計測するテスト)
    • SSDキャッシュなし:3348回
    • SSDキャッシュあり:2万3702回

 いずれもSSDキャッシュを有効にするとおおむね7倍のパフォーマンス向上を確認できた。SSDキャッシュ加速の画面でキャッシュのヒット率を調べてみると、書き込みと読み取りの両方で効果的にキャッシュが働いている様子も伺える。

HammerDB HammerDBの結果
キャッシュのヒット率 キャッシュのヒット率は特に書き込みで高いが、読み取りでもそこそこ高い率を記録した

 M.2 SSDは、QNAP独自のデータ最適化技術「Qtier」にも活用できる。

 Qtierでは、NASに搭載されたストレージを「超高速(SSD)」「高速(SAS:Serial Attached SCSI)」「大容量(SATA/NL-SAS)」の3階層に分けた上で、これらを単一のストレージプールとして利用する。頻繁に利用されるデータは超高速層に配置し、めったにアクセスされないデータは大容量層に移動する。

 仕組みが仕組みだけに定量的なパフォーマンス測定をすることは難しいが、有効化すると全体的な体感速度は確実に向上する。

Qtierアップグレード画面 既に作成されたストレージプールをQtierにアップグレードすることもできる。M.2 SSDを増設(搭載)したらぜひ設定しておきたい
Qtierの階層 Qtierではスピード別にストレージを3階層に分けてプールし、アクセス頻度などを考慮してデータを振り分けるようになっている

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提供:QNAP株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2022年11月8日