ここまでは、ハイブリッドワーク環境をローコストかつ素早く立ち上げるという、という観点でDiskStation DS923+とDSMをチェックしてきた。しかし、ハイブリッドワーク環境を継続的に運用する上で、欠かせない観点はまだある。
一般的に、企業や組織の規模が大きくなるほど、環境の運用期間が長くなれば長くなるほど管理すべきデータや端末の量は増えていく。ハイブリッドワーク環境の構築では初期コストに目が向きがちだが、ランニングコストや拡張性もしっかり注視すべきなのだ。
その点、先に少し紹介した通り、DS923+はボディーがコンパクトな割に高い拡張性を備えている。本体を丸ごと買い換えなくても、規模の拡大に合わせた機能拡張を行いやすいことが魅力といえる。
例えば、接続する端末の台数が増えると、ネットワークの帯域がボトルネックとなりスループット(実効アクセス速度)が低下することがある。その点、DS923+の有線LANポートは≪2つを束ねて使うことで実効速度を改善する「リンクアグリゲーション」に対応している。接続先のハブやルーター/スイッチも対応している必要はあるが、機器の換装や増設をすることなくスループットを改善できるのは心強い。
加えて、拡張ポートに「ネットワークアップグレードモジュール E10G22-T1-Mini」を搭載すれば、最大で10Gbpsの有線LAN(10GBASE-T)も利用できる。より高速な有線LANモジュールを内蔵する端末を導入した場合でも、最小限のコストで対応できる。
ストレージの機能強化という側面では、本体底面にある2基のM.2スロットも活用したい。ストレージベイに3.5インチHDDを搭載しつつ、キャッシュとしてNVMe SSDを装着すればコストと性能のバランスを考慮したシステム構築を行える。
「ストレージベイが足りない!」という場合も安心してほしい。DS923+は「拡張ユニット DX517」を使うことでストレージベイを5つ増設し、最大で9ベイ構成にできる。取り付けは簡単で、DX517側にストレージを装着して電源を入れたら、付属の拡張(eSATA)ケーブルでDS923+と装着するだけである。設定が完了すれば、DX517に装着したストレージもDS923+から一括管理できる上、電源のオン/オフも連動可能だ。
加えて、NASで使う機能が増えてきた場合は、ECC機能付きのDDR4 SO-DIMMという縛りはあるが、メモリを最大32GBまで増設できる。メモリを増やせば、特にデータベース関連の処理においてパフォーマンスの改善を期待できる。
「パワーアップしても、OSやアプリはそのまま使えるの……?」と不安に思うかもしれないが、その点は安心してほしい。パワーアップしたり利用者が増えたりしても、ライセンス料の負担増は基本的にはない。
今回紹介したDSMと、アプリのうちSynology DriveとABBは「ライセンスフリー」、つまり対応するSynology NASと共に利用する限りは追加のライセンス料金が発生しない。
一方、SSSについては接続するカメラの種類や台数に応じてライセンス料金が発生するようになっている。DS923+を含むSynology NASには2ライセンス(通常のネットワークカメラ2台分)が標準で付帯し、それを超える台数のデバイスを利用する場合は追加のライセンスを購入する必要があるので注意しよう。
現在の勤務環境が「テレワーク」と「オフィスワーク」のどちらに寄っていくのかは、社会の情勢や会社の意向などによって変わってくる。ハイブリッドワーク環境を考えるにあたって最も重要なことは、どちらによっても迅速に対応できる“柔軟性”だろう。
テレワークとオフィスワークのどちらにしても、利便性とセキュリティを犠牲にせず、ローコストで実現できるソリューションを選択する必要がある。DS923+と各種アプリをうまく活用して「ウィズコロナ」「アフターコロナ」のワーキングスタイルを考えてみてはいかがだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2023年2月6日