冒頭で触れた通り、今回レビューするQNAPのTS-AI642は、同社製NASとしては初の“AI”を型番に持つモデルで、ハイスペックな製品を求める個人ユーザーや中小企業向けと位置付けられている。NASとしての基本性能をしっかりと確保した上で、アプリによる各種AI処理を高速に行えることを重視した設計が特徴だ。
他のQNAP製NASと同じく、本製品は厳密にいうとストレージが別売の「NASキット」と呼ばれる製品で、2.5インチHDD/HDDまたは3.5インチHDDを6基まで搭載できるようになっている。
AIの処理性能だが、本機のSoCに統合されたNPUのピーク性能は6TOPSとされている。TOPSは「Terra Operations Per Second」、つまり1秒あたりに何兆回の推論処理ができるのかを示す単位である。6TOPSということは1秒間に6兆回の推論処理を行えるということだ。
スマホ/タブレット向けSoCと比較した場合、性能のイメージとしてはAppleの「A12 Bionic」に搭載されているNPUの約1.2倍の性能を備えている、と考えればよい。
本機のSoCは、Armアーキテクチャを採用している。そう聞くと、今までの同社製NASをよく知っている人からすると「エントリーモデルなのかな?」と思うかもしれない。しかし、本体カラーからも分かる通り、本機はハイエンドコンシューマーや中小企業向けモデルという位置付けで、従来のArm SoCモデルと比べるとスペックは非常に高い。
まず、CPUはパフォーマンス重視の「Cortex-A76」を4基(最大2.2GHz)、消費電力重視の「Cortex-A55」を4基(最大1.8GHz)の8コア構成とかなりパワフルで、GPUは「Mali-G610 MC4」だ。メモリは8GB(増設/換装不可)となる。
ストレージは、2.5インチ/3.5インチのSerial ATA接続のものを最大6基搭載できる。2.5インチSSDを使った「SSDキャッシュアクセラレーション」にも対応している。
ネットワークインタフェースは、2.5Gbps対応のLANポート(2.5GBASE-T)を2基搭載している。2.5GBASE-Tは、現在広く普及している1Gbps対応のLANポート(1000BASE-T)用のケーブルをそのまま流用できるので、将来的に家庭内のネットワークをアップグレードした際にも柔軟に対応可能だ。
本機のLANポートは「ポートトランキング(リンクアグリゲーション)」にも対応しており、2つのポートを束ねることで通信速度を最大5Gbps(2.5Gbps×2)まで引き上げることも可能だ(※1)。
「もっと高速なLANポートが欲しい!」という場合は、本体のPCI Express 3.0 x2バスに別売の拡張カードを装着することで、5GBASE-T(5Gbps対応)や10GBASE-T(10Gbps対応)の有線LANにも対応できる。将来に向けた拡張性が確保されているのも、ポイントが高い。
(※1)ポートトランキングに対応する有線LANハブ/スイッチ/ルーターが必要です。
次のページからは、このTS-AI642を使って写真を整理する方法を紹介しよう。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2023年9月13日