ThinkPadには開発者の“魂”が注入されている! レノボの濃すぎるユーザーイベント「大和魂の会 2023」潜入レポート(3/4 ページ)

» 2023年12月15日 10時00分 公開
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何があっても「絶対に立ち上がるPC」を目指して

キ・ギエイ氏 UEFIの開発を担当するキ・ギエイ氏

 PCが起動する際、OSが読み込まれる前に「ファームウェア」が読み込まれる。昔であれば「BIOS(Basic Input Output System)」、現在なら「UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)」がそれを担う(注:レノボではUEFIも「BIOS」と称している)。

 大和研究所では、ThinkPadに搭載されるUEFIの機能も開発している。プラットフォームソフトウェアの開発を担当するキ・ギエイ氏は、一部のThinkPadに搭載されている「BIOS Self Healing(自己回復ファームウェア)」の開発を担った1人だ。

 BIOS/UEFIは、PCの各種ハードウェアをチェック/初期化してOSに引き渡す役割を持っている。しかし、ある意味でPCの“最深部”を担っているため、ここが改ざんされてしまうと、データの盗用リスクが非常に高まる。当然、ここのデータが消し飛ばされてしまったら、PCはただの「箱」や「板」になってしまう。

 そこで大和研究所では「何があっても絶対に立ち上がる(=正常に起動できる)PC」を目指すべく、自己回復ファームウェアの開発を進めた。「何とかしてPCを立ち上げられれば、(マルウェアなどによる)攻撃の“痕跡”見つけて分析できる」からだ。

絶対に起動できるBIOS/UEFI 「絶対に立ち上がるPC」を目指して、自己回復ファームウェアの開発を行った

 自己回復ファームウェアは、UEFIを含む各種ファームウェアへの攻撃/改ざん、あるいはアップデートの失敗を自動で検知し、自己回復する。ThinkPadに内蔵されたチップ「ThinkShield Engine」を信頼の起点とし、段階的に検証を行っていくことで、デバイスのファームウェアの安全性を担保しているという。

 また、ギエイ氏はリカバリーの進ちょくをキーボードのLEDランプを点滅させることで、視覚的に確認できるようにしたこともアピールする。新しいUEFIに更新した場合、更新/検証後にバックアップ領域にも新しいUEFIが書き込まれるが、その進み具合もディスプレイで確認できるようにしている。

仕組み 自己回復ファームウェアは、独自のチップ「ThinkShield」を活用して実装されている。ファームウェアデータはThinkShield経由でないとアクセスできないようになっており、ファームウェア以外の部分に悪意のある仕掛けがあったとしても防御できるようになっている
プログレス 自己回復ファームウェアによる回復や正常なファームウェアデータのバックアップは、進ちょくを分かりやすく表示できる

周辺機器にも“開発者魂”が

堀野氏 周辺機器回りを担当する堀野俊和氏

 ThinkPadには、たくさんの純正周辺機器が用意されている。大和研究所では、その動作検証も担っている。堀野俊和氏(イノベーティブ ノートブック デベロップメント)は、その実務担当者の1人だ。

 一口に「周辺機器」といっても、「USB 3.2」「USB4」「Thunderbolt 3/4」など、接続に使われる規格は多岐に渡る。また、ユーザーは必ずしも純正周辺機器を使うとは限らず、最近は「他社製のディスプレイがうまくつながらない」といった問い合わせも少なからず寄せられるという。中には「超ピンポイントだけど、普通なら見つけられない互換性問題」が生じることもあるそうだ。

 そんなこともあり、大和事業所では「自社で設計した自動化ツールなどを使って、発生頻度が非常に低い問題の検知とその解決に力を入れている」という。インタフェース技術のエキスパートが在籍し、特に純正のハブ/ドッグについては開発者を交えて念入りに検証しているという。

いろいろある 同じような端子に見えても、接続規格は多様だ。他社製の周辺機器との組み合わせを考えると、その組み合わせによる問題は決してゼロにすることはできないという
互換性検証 検証の結果、“超レアケース”な互換性の問題が見つかったこともあったという。基本的には自社の純正周辺機器での検証を行うが、ディスプレイについては他社製のものも検証できる体制を整えているという
ドッキングステーション 純正のハブ/ドッグの検証は、特に念入りに行われている

 堀野氏のセッションでは、ThinkPadユーザー必見の「隠れ便利機能」の紹介もあった。例えば、ドックの電源ボタンでThinkPadの電源のオン/オフを切り替えることができ、かつ閉じた状態でも切り替えることが可能だ。ドックのLED がThinkPadのパワーボタンの連動するため、ThinkPadの状態を確認できる。これらはThinkブランドの周辺機器とThinkPadとの組み合わせでこそ使える機能だ。

純正ならでは 純正周辺機器には、純正ならではの便利機能も備わる

 研究者からのプレゼンテーションが終わると、それを聞いた参加者からの「質問コーナー」と「クイズ大会」が行われた。

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