ThinkPadには開発者の“魂”が注入されている! レノボの濃すぎるユーザーイベント「大和魂の会 2023」潜入レポート(1/4 ページ)

レノボ・ジャパンのノートPC「ThinkPad(シンクパッド)」は、日本で生まれ育ったグローバルモデルだ。ThinkPadの企画/研究/開発に携わるスタッフが日本のユーザーに直接語りかけるイベント「大和魂の会 2023」に潜入してきたので、その模様をお伝えしたい。(提供:レノボ・ジャパン合同会社)

» 2023年12月15日 10時00分 公開
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 レノボ・ジャパンは12月1日、ThinkPadユーザーイベント「大和魂 2023」を開催した。このイベントは同社のノートPC「ThinkPad(シンクパッド)」の企画/開発に携わる“中の人”と、一般ユーザーが意見を直接交換するために開催されており、通算すると今回で第6回目となる。

 今回、特別にその様子を取材できたので、暑苦しいほど熱すぎる模様をお伝えしたい。

第6回の開催 大和魂の会は、ThinkPadの企画/開発担当者とユーザーが直接意見を交換できる貴重な機会。通算すると、今回で第6回の開催となる
展示コーナー 会場には最新のThinkPadを始めとするレノボの最新PC/周辺機器も展示されており、製品の担当者や開発者から“直接”説明を受けたり、意見を交換したりできるようになっている

1992年に生まれたThinkPad 変わらず、進化を続けるブランド

大谷さん イベントの司会を務めた大谷光義氏(PC・スマートデバイス事業本部 企画本部 製品企画部長)

 今回のイベントは、レノボ・ジャパンの個人/法人向けメールマガジンの購読者の中から抽選で30人を招待して行われた。集まったユーザーの多くは筋金入りのThinkPadファンだったが、「ThinkPadを持っていないけれど、詳しく知りたい」というユーザーも見受けられた。

 司会/進行を務めた大谷光義氏(PC・スマートデバイス事業本部 企画本部 製品企画部長)は冒頭、「(2023年に)31歳を迎えたThinkPadは、長い歴史の割にユーザーイベントをすることが少なかった」という反省の意味を込めつつ、「今回(第6回)は楽しんでいってほしい」と参加者に呼びかけた。

集まったユーザーは30人 抽選で集まった参加者は30人。その多くはThinkPadファンだったが、ThinkPadについて詳しく知りたいという初心者(?)も参加していた
元嶋氏 ThinkPadの歴史とコンセプトを語る元嶋亮太氏(製品企画部マネージャー)

 大谷氏のあいさつの後、元嶋亮太氏(製品企画部マネージャー)がThinkPadのコアバリュー(中核的価値)に関する話を行った。

 大谷氏のあいさつにもあった通り、ThinkPadは31年前の1992年に生まれた。初代の「ThinkPad 700C」(※1)から、中核となるコンセプトは「顧客(ユーザー)の成功」で不変だ。それを踏まえて、元嶋氏は「時代時代でPCの使われ方が変わっているため、しっかりと(時代に合わせて)中身を変えて開発している」と語る。

 ThinkPadの累計出荷台数は、全世界で2億台を超えた。たゆまぬ進化の結果、日本で生まれたThinkPadは、その人口を大きく上回る台数を出荷できたのだ。

(※1)日本では「PS/55note C52 486SLC」という名称で販売された

1992年から 1992年に日本で生まれたThinkPadは、現在に至るまで「顧客の成功」につながるツールとして進化を遂げてきた
歴代ThinkPad 31年の歴史を刻んできたThinkPadの“マイルストーン”たち。気付いたら「IBM ThinkPad」よりも「Lenovo ThinkPad」である期間の方が長くなったが、IBM時代から受け継いできたコンセプトは貫かれている

ThinkPadのコアバリュー

 元嶋氏は、ThinkPadの進化を支える「コアバリュー(中核的価値)」は大きく3つあると語る。

 1つ目はデザインだ。一見するとデザインに大きな変化のないように見えるThinkPadだが、実際にはトレンド踏まえて新基軸を取り入れたり、見た目以上の大胆な変更を行ったりすることもある。しかし、むやみやたらと変更するわけではなく、デザインの変更が“生産性の向上”につながるかどうかが基準となるという。

 2つ目は品質だ。オフィスでの利用にとどまらず、あらゆる場所へ持ち運べる“相棒”のような存在であるためには、本体の頑丈さは欠かせない。「開発段階の試験を含め、満足のいく品質を追い求めている」という。

 そして3つ目は、新機能を提案することを含めたイノベーションである。「お客さまがPCを使う環境にあわせて、声(意見)を聞きながら新しいイノベーションを起こしている」と元嶋氏は語る。

ThinkPad ThinkPadが31年間受け継いできたコアバリュー

急激に変わるPCへのニーズにも対応

 先述の通り、ThinkPadは時代に合わせて中身を進化させている。「働き方改革」が進みつつある中で「新型コロナウイルス」が猛威を振るったこともあり、この数年はPCに求められること(≒ニーズ)の変化は従来よりも大きいという。

 そのこともあり、昨今のThinkPadは「モダナイズデザイン」「従業員体験」「AI(人工知能)」「持続可能性(サステナビリティー)」の4点に重点を置いて開発されているという。

 その一例として、元嶋氏は「ThinkPad X13s Gen 1」を挙げた。このモデルはQualcomm製のSoC「Snapdragon 8cx Gen 3」を搭載しており、同SoCに統合された「人間の脳を模した」処理が得意なNPUを統合している。このNPUがAI処理を高速で行うことで、消費電力を抑えつつカメラの写りを改善している。

 また、ThinkPadのフラグシップモデルである「ThinkPad X1 Carbon」では、2019年モデル(Gen 7)からビデオ会議(Web会議)時に自分の声をよりきれいに拾えるようにすべく、内蔵マイクを2基から4基へと増強し、2021年モデル(Gen 9)からはAIを活用してノイズ除去機能を強化した。2022年モデル(Gen 10)からは、高画質かつセキュリティを強化した「MIPI(Mobile Industry Processor Interface)」接続のWebカメラも選択できるようになっている。

 これらは「スペックシートでは分からない部分」(元嶋氏)だが、生産性の向上につながるからこそ、こだわっているのだという。

フォーカスエリア 昨今のThinkPadの開発において重点を置いているポイント
進化 ビデオ会議の“品質”に関するニーズが高まることを見越して、ThinkPad X1 Carbonは2019年モデルから順次、オーディオやカメラに関する機能を強化している

 元嶋氏が挙げた内容は一例に過ぎないが、このイベントでThinkPadへのこだわりを語るのは、レノボ・ジャパンが「体験して分かるThinkPadの真価」を広くアピールしたい意図もあるようだ。

 続けて、ThinkPadの研究/開発の実務を担う大和研究所のエンジニア6人がそれぞれの担務に関わるプレゼンテーションを行った……のだが、その内容は一般的なメディアに行う説明と比べても“濃い”ものだった

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2023年12月21日