ソニーのVAIO type U VGN-UX50は泣けるか!?:プロフェッサーJOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと」!(5/5 ページ)
「どこでもモバイル」を大前提に小型化、だが意外とズッシリのソニー VAIO type U VGN-UX50を手に入れた。大容量バッテリーは約4万円、キーボードは「堪忍して欲しい」レベルだが、理想のモバイルを目指して四苦八苦。さて、UX50は「泣けるちびパソ」となったのか?
ちびパソのジレンマとその未来
筆者が購入してから、ここしばらく少しづつ値下がりを始めているように感じるUX50だが、ヘビーな旧来のモバイルユーザ以外に「IT新人類」との間を埋める中間ユーザ層が如何にUX50を捉えるかがビジネスとしての将来を決めるだろう。ユーザ認知と利用度促進を獲得するための手段が、「FeliCaポート」や、「モバイルミュージックやムービー」、「ダウンロードマガジン」「能力トレーナー」、「GPSナビゲート機能」等のアプリケーションなのか、まだ明快な解は出ていない。
UX50が、限られたバッテリー容量で、複眼的に多くのセグメントの満足度を獲得しようと多目的化するのは、11年前のPalmTop PC110の頃と殆ど同じだ。新しいテクノロジー基盤や、モバイルスタイルの変化やトレンドをベースに新しいポジションを目指して、標準的なビジネスモバイルPCの常識的なスペック枠を飛び出すことは易しい。しかし、同時にその製品の意義をメーカー企業内で、PCビジネスの世界で、妥当性を論理的に説明することは極めて難しいものだ。
既に、ごく普通の何でも出来るWindowsモバイルPCが8万円前後で販売されている時代に、2倍の値段のUX50は、メーカーの期待通り健闘出来るのだろうか? 今の日本には、従来のWindowsモバイルPCの機能範囲だけを、モビリティの向上により、何時でも何処でも自由自在に使いたいと考えている「旧人類」が未だ草葉の陰で生息している。彼らは、それなりの年齢に達し、プチリッチで、人柱的精神構造を持ち、未だに新しい商品にチャレンジする気迫と経験から種々の改善策やアイデアを併せ持っている。
一方、従来のモバイルPCとは全く異なるモノをUX50に求めるネオ・モバイルユーザも同時に日本には誕生しているだろう。パソコン側からUX50を見る人種では無く、ケータイ電話、やデジタルミュージックププレイヤー、そしてネットワークやその関連インフラからUX50を全く違った眼で見る新しいモバイルユーザ層だ。
これら2方向からUX50を見る全く異なるユーザ層をUX50は、基本的にはたった一つのハードウエアとソフトウエア、周辺機器で受けて立ち、同時に満足させなければいけない極めて難しいポジションにいる。結果、旧人類モバイラーに属する筆者は、製品に対する感動が50%を超えて泣くことは出来なかったが、久しぶりにオタクマインドは十分刺激された。UX50単体でのキー入力が、もしHP200LXか、せめてウィルコムのW-ZERO3クラスだったら、「VAIO type U VGN-UX50 は泣けるちびパソだ!」となっていたのは確実だろう。
もしVAIOのちびパソに次回作の予定があれば、是非ともキーボードの大幅改良に期待したい。しかし、その一方、完全にキーボードを取り去って、旧人類モバイラーを購買対象から除外することもビジネスモデルとしては有効な手段だろう。いずれにせよ、既に殆どのメーカーが撤退した「ちびパソ」の世界に、健全な競争による製品向上を目指し他社の参入を期待したい。超個人的なこの市場は、既に超企業的呪縛から解き放されたLenovoなどの力の見せ所のはずだ。IBM時代と「何も変わらない」では無く、大きく変わったことを示して欲しいのは筆者だけではないだろう。ACアダプターを全面的に換えたくらいではユーザーは納得しない。頑張れLenovo!、頑張れソニー!
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