“本家”もHD再生に対応――挑戦者「Movie Tank III」を試す:メディアプレイヤーキット検証 その3(3/3 ページ)
挑戦者ブランドからHD再生に対応したメディアプレイヤーキットが登場した。先に取り上げた「MOVIE COWBOY」に先行を許したかたちだが、“後出し”だけに完成度は高い。
実表示能力も高いHD再生機能
さて、今回の目玉の1つであるHD再生機能を検証してみた。サンプルファイルはHDカムで撮影したMPEG-2 TS、Windows Mediaの公式サイトでダウンロードしたWMV HD、DivXの公式サイトからダウンロードしたDivX HDの3ファイル。基本的には先にレビューを行なった「MOVIE COWBOY」の2製品と同一で、TV環境も含めて同一の条件で再生テストを行なっている(参考記事:DC-MC35UL2、DC-MC50U2)
当然ながらMPEG-2 TS、WMV HDファイルに関しては再生可能。また、発表時点で非公式対応となっているDivX HDファイルもなんら問題なく再生できた。WMV HDファイルでは1920×1080ドットのフルHD解像度のファイルも試してみたが、再生および一時停止、巻き戻し/早送り再生などもしっかりと動作した。
また実表示能力も高そうだ。1080i(1920×1080ドット)と720p(1280×720ドット)出力を切り替えながら比較を行なってみたが、1080iのほうが明らかに細部の再現性に優れている。もちろんフルHD対応パネルのTVを所有している人はまだごく一部だろうが、30インチ以上の薄型TVでは今後フルHD化が本格的に進むと見られており、実表示能力もしっかりとフルHD対応となっている点はうれしいポイントだろう。
なおHD表示ではないが、少し気になったのでポータブルプレイヤー向けのMPEG-4ファイルも試してみたところ、QuickTime 7で作成したMPEG-4と、同社のTVチューナーカードに付属する「GV Encoder」で作成したipod、およびPSP向けのMPEG-4ファイルはいずれも再生できた。H.264ファイルは無理だったが、これは競合製品でもほぼ同じ状況だ。
便利なUSBホスト機能も“公式対応”
競合製品の最新モデル同様に、本製品でもUSBホスト機能が追加されている。マスストレージクラスとして認識できるUSBストレージデバイスに対して、内蔵HDDと同様にアクセスでき、保存したファイルの再生が行える。USBハブを併用すれば4台までのUSBストレージデバイスを接続可能だ。もちろんさまざまなUSBストレージデバイスの個別動作が保証されているわけではないものの、機能の1つとして公式対応をうたい、制限などもしっかりと公開されている点は購入時には安心感がある。
こちらの機能も「MOVIE COWBOY」の2製品とほぼ同様の条件でテストを行なってみたが、最大4台のUSBストレージデバイスを問題なく認識した。内蔵HDDと同じくNTFSおよびマルチパーティションにも対応しているため、PCで利用中の外付けHDDをそのまま接続して認識させることができる。なお、パーティションとして拡張区画は認識できないので、HDDを接続するさいには注意が必要だ。
ちなみにUSBメモリ、カードリーダー、1インチHDDだけでなく、2.5インチUSB HDD(80Gバイト/5400rpm)もバスパワーでの動作が確認できた。高ビットレートのMPEG-2 TSファイルやWMV HDファイルの再生も問題なく行なえたので、転送速度やバスパワー供給能力には十分余裕がありそうだ。「お気に入りのライブラリは内蔵HDDに、PCで録画したTV動画ファイルや最新音楽ファイルは2.5インチ外付けHDDに」と保存先を使い分けて本機で再生するスタイルはなかなかスマートではないだろうか。
独自の魅力はそのままにHD対応を果たした完成度の高さがウリ
HD再生対応のHDDメディアプレイヤーとしては「MOVIE COWBOY」の2製品が先行する中、老舗の「Movie Tank」は少々遅れた登場となった。HD再生能力などはデコードチップが同じである以上大きな差はないわけだが、だからこそ旧モデルから継承したコンパクトデザインや、前面の液晶ディスプレイが実現した本体のみでの操作機能が大きな魅力となる。
また、本製品は外付けUSBデバイスからのファイルコピー機能(ただしFAT32時のみ)や、ファイル削除機能なども備えている。これらの機能があれば、本体をPCと接続しなくても外付けストレージを媒介にすることで内蔵HDDの内容を更新できる。すでに触れたように、USB接続の2.5インチHDDもバスパワーで問題なく利用できたため、単体でのファイルコピー/削除は、HDDメディアプレイヤーの中で異彩を放つ強力な魅力となるかもしれない。
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