新型エンジンと新インクを搭載し勝負をかけるエプソン──複合機は全5モデル:今年は「テレ・プリ・パッ」元年
セイコーエプソンが年末商戦に向けて「Colorio」シリーズの新製品8モデルを投入した。内訳は複合機が5モデル、単機能/ダイレクトプリンタが3モデルという構成だ。発売は10月5日から順次行われる。
ハードウェアとソフトウェアで大幅な機能強化
昨年、エプソンは「Epson Color」を前面に打ち出したブランド戦略をとったが、2006年モデルではこのEpson Colorをより進化させた。具体的には、画像処理技術の「オートフォトファイン!EX」が人物補正をさらに強化した「新オートフォトファイン!EX」に、発色性・耐光性・耐オゾン性などを向上させてアルバム保存性寿命を200年に延長した「つよインク200」、そして写真用紙エントリーが追加された「純正写真用紙」の3要素で構成される。これにより、従来機よりも「きれい」「簡単」「はやい」「安心」のおうちプリントが提供できるという。
また、新開発のAdvanced-MSDT(Multi Sized Dot Technology)ヘッドの採用や、印刷プロセスを並列処理する新開発の画像処理エンジン「REALOID(リアロイド)」を搭載することで、さらなるプリント速度の向上を実現。従来機で人気の高かった複合機PM-A890では約32秒かかったL判フチなし印刷速度が、今年のPM-A920では約23秒に、エントリークラスのPM-A750では約38秒だったのが今年のPM-A820では約25秒に高速化している。
新たに5モデルを投入する複合機
ラインアップを一新した複合機では、全5モデルを投入。エントリークラスの顔料インクを採用したPX-A720をのぞき、すべてEpson Colorに対応する。上位モデルのPM-T990とPM-A970は標準で4インチのPhoto Fine Ultra液晶を備え、印刷前に補正内容を確認できる「仕上がりview」を利用できる。また、前面にスロットインタイプのDVD/CD-ROMコンボドライブを搭載しているのも目新しい。
中でも注目なのは最上位のPM-T990のみ実装されたTVプリンティング機能だ。“放送・通信融合時代のエプソンからの提案”というTVプリンティング機能だが、標準装備のネットワーク機能を使って、ネットTV画面やデータ放送画面の印刷、あらかじめ用意されたxHTML-Printデータの出力、TV側に用意されたメモリカードスロットからの印刷などが行えるものだ。現状では対応TVが、2004年から発売されているPanasonicのVIERA(PZ600、PX600/500/300、LX600/500/300シリーズ)に限定されるが、エプソンによれば来春以降発売されるであろう各社のネットTVに対応する予定とのことだ。同社では、このTVプリンティング機能を「テレ・プリ・パッ」の愛称で積極的に推進していくという。
複合機新モデルのラインアップ | |||||
---|---|---|---|---|---|
モデル名 | PM-T990 | PM-A970 | PM-A920 | PM-A820 | PX-A720 |
Epson Color | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
REALOID | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
インク | 染料6色 | 染料6色 | 染料6色 | 染料6色 | 顔料4色 |
最小インク滴 | 1.5ピコ | 1.5ピコ | 1.5ピコ | 1.5ピコ | 3ピコ |
L判最速印刷 | 19秒 | 19秒 | 23秒 | 25秒 | 66秒 |
スキャナ | 4800×9600dpi(CCD) | 4800×9600dpi(CCD | 3200×6400dpi(CCD) | 1200×2400dpi(CIS) | 1200×2400dpi(CIS) |
液晶 | 4インチPFU | 4インチPFU | 3.5インチ | 2.5インチ | 2.0インチ |
コンボドライブ | ○(内蔵) | ○(内蔵) | × | × | × |
DVTプリント | ○ | × | × | × | × |
ネガ・ポジスキャン | ○ | ○ | ○ | × | × |
メモリカードリーダ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
有線LAN | ○ | × | × | × | × |
無線LAN | ○ | × | × | × | × |
2Way給紙 | ○ | ○ | ○ | × | × |
IrSimple | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
予想実売価格 | 5万円台後半 | 4万円台後半 | 3万円台後半 | 2万円台後半 | 1万円台後半 |
発売予定日 | 11月中旬 | 10月5日 | 10月5日 | 10月5日 | 10月5日 |
3モデルが追加された単機能/ダイレクトプリンタ
一方の単機能/ダイレクトプリンタは、A3ノビ対応の「PM-G4500」を筆頭に、A4対応の「PM-G850」、そしてダイレクト機の「PM-D870」が投入された。いずれも染料6色モデルで、Epson Colorをサポートする。ただし、REALOIDエンジンを搭載するのは3.5インチ液晶を備えたPM-D870だけだ。なお、現行のA3機「PX-G5100」と「PM-3700C」、A4機「PX-G930」と「PX-V630」は併売され、ラインアップに残る。
単機能/ダイレクトプリンタ新モデルのラインアップ | |||
---|---|---|---|
モデル名 | PM-G4500 | PM-D870 | PM-G850 |
Epson Color | ○ | ○ | ○ |
REALOID | × | ○ | × |
インク | 6色染料 | 6色染料 | 6色染料 |
最小インク滴 | 1.5ピコ | 1.5ピコ | 1.5ピコ |
L判最速印刷 | 25秒 | − | 25秒 |
最大印刷解像度 | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi |
液晶 | × | 3.5インチ | × |
メモリカードスロット | × | ○ | × |
PictBridge | ○ | × | ○ |
IrSimple | × | ○ | × |
予想実売価格 | 3万円台後半 | 2万円台前半 | 1万円台後半 |
発売予定日 | 11月中旬 | 10月5日 | 10月5日 |
なお、エプソンは詳細は未定としながらも、今回投入した全モデルで次期OSのWindows Vista対応予定をうたっている。
関連記事
- 大ヒットを飛ばした複合機がさらに進化――EPSON「PM-A950」
EPSONの「PM-A950」は、2004年モデル「PM-A900」の後継となるフラッグシップの複合機だ。 - ベストセラーをうかがう多機能な複合機――PM-A890
EPSONの新しい複合機ラインアップの中で、2004年モデルからもっとも大きく進化したのが「PM-A890」だ。 - 操作性と印刷品質に優れたお手ごろ価格の複合機――PM-A750
EPSONの「PM-A750」はエントリークラスの複合機だ。 - セイコーエプソン、新デザイン筐体採用のフォトプリンタ「カラリオ ミー」3製品
セイコーエプソンは、コンパクトフォトプリンタ「カラリオ ミー」シリーズ新モデル3製品「E-700」「E-500」「E-300」を発売する。 - A3ノビの写真プリントがさらに手軽に――「PX-G5100」
光沢顔料インクを採用したA3ノビ対応機「PX-G」シリーズに新モデル「PX-G5100」が登場した。 - エプソン、プロ/写真愛好家向けの高画質プリンタ「エプソンプロセレクション」2製品
セイコーエプソンは、プロフェッショナルおよび写真愛好家向けの高品位印刷に対応するカラーインクジェットプリンタ「エプソンプロセレクション」シリーズ2製品「PX-G5100」「PX-G930」を発売する。 - 「Epson Color」できれいな“おうちプリント”を実現――エプソン発表会
- 「マルチフォトカラリオ」のイメージキャラクターは長澤まさみさん
- エプソン、年末商戦に向けてプリンタ9機種を発表
- ついに2006年インクジェットプリンタ戦線が始動!?――日本HPの動向を占う
米Hewlett-Packardのアジア・パシフィック地域向けコンシューマー製品発表会に登場したプリンタを見ていこう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.