第5回 複合機8モデルの画質を横並びで検証する:複合機06年モデル徹底攻略ガイド(3/3 ページ)
5回にわたる複合機特集もいよいよ終盤戦。最終回は注目の複合機8モデルにおけるプリント/コピー/スキャンの画質を見比べてみる。
検証を終えて――複合機2006年モデルはどれを買えばいい?
各メーカーが複合機を重視する流れは今年も変わらない。印刷品質や速度は昨年の段階で高止まりに近づきつつあり、たとえば6色印刷と4色印刷の画質差は、モデルの選択を決定付けるほどではなくなった。昨年は上位と下位のモデルによって、写真印刷で色調のブレが大きかったエプソンとキヤノンも、今年は改善が見られる。日本HPは相変わらず安定した画作りだ。選択にあたっては、画質の傾向を踏まえつつ、予算と機能の十分な検討が求められる。第2回の製品ミニレビューで分類した、ハイエンド、ミドルハイ、ミドルレンジというカテゴリ別に、各モデルを総括してまとめとしよう。
ハイエンドクラスのモデルは機能の差が分かれ目
予算が5万円以内のハイエンドクラスに属するのは、PM-A970とMP960だ。両者の性能は甲乙付け難く、画質の差も好みの問題と言えるレベルなので、やはり機能面が選択のよりどころとなる。PM-A970の優位点は、CD-RW/DVD-ROMコンボドライブ、デジカメRAWデータのダイレクト印刷、標準設定のダイレクト印刷速度、広色域で抜群の画質を誇る4.0インチ液晶モニタなどだ。一方のMP960は、顔料Bkインクの搭載、自動両面印刷、コピー品質、フィルムスキャンの最大連続読み取り枚数といったところ。
したがって、PCを接続しないスタンドアロンでの多機能さを重視するならPM-A970、普通紙印刷やコピーの品質、自動両面印刷が欲しいならMP960という図式が浮かぶ。これらの違いを考慮して、利用シーンに合致したほうを選べば間違いないだろう。
ミドルハイクラスのモデルは実力が拮抗、FAXや無線LANで選ぶ?
ミドルハイクラスの予算は3〜4万円で、PM-A920、MP810、C7180が登場する。フィルムスキャン機能が必要なら、このクラス以上のモデルから選択することになるだろう。この中ではPM-A920とMP810が似通っており、いろいろな面で差が小さい。1つのポイントはインク構成で、PM-A920は染料6色、MP810は染料4色+顔料Bkだ。微妙な違いではあるが、写真印刷の品質と標準設定のダイレクト印刷速度はPM-A920が有利で、普通紙印刷/コピーの品質とPCの印刷速度はMP810が勝る。また、自動両面印刷はPM-A920がオプション対応、MP810は標準装備だ。これらの違いが選択の分かれ目になるだろう。
一方、C7180は日本HPらしい実用主義の多機能な複合機で、FAXと有線/無線LANインタフェースの標準装備、iPodダイレクト印刷などが特徴だ。CD/DVDレーベル印刷に非対応だったり、スキャナの性能と使い勝手といったハンディがあるので、やはりFAXとネットワーク機能が最大の選択動機ではないだろうか。
激戦区のミドルレンジクラスは、MP600がトータルバランスでリード
3万円以下のミドルレンジは今年も激戦区だ。今回は、PM-A820、MP600、C5180という3モデルを取り上げた。どれもフィルムスキャンには非対応だが、このクラスを狙うユーザー層でフィルムスキャンが必要な人は少数派だろう。
M-A820は上位モデルと変わらぬ染料6色インクとAdvanced-MSDTのプリントエンジンによる、高画質な写真印刷が最大のアピールポイントだ。機能面では上位モデルほどの華やかさはなく、スタンダードな内容と言える。C5180は、写真印刷の品質や機能面ではPM-A820とMP600に及ばないものの、染料6色のSPTプリントエンジンや小型の本体、有線LANインタフェースの搭載が目を引く。乱暴に言えば、CD/DVDレーベル印刷を諦めて、ネットワーク対応を重視する選択肢だ。最後にMP600だが、このクラスでは最も幅広いユーザーにおすすめできる。カラー印刷が染料4色とはいえ、画質は十分に高く、顔料Bkインクの搭載も利点だ。加えて、2系統給紙と自動両面印刷の標準装備が大きい。画質よし、ハンドリングよしと、トータルバランスで一歩リードする存在だ。
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