第2回 今シーズン注目のプリンタ6モデルをまとめてチェック:ダイレクト/単機能プリンタ06年モデル徹底攻略ガイド(2/2 ページ)
5回に分けてA4ダイレクト/単機能プリンタの最新機種を検証する本特集。第2回は、各メーカー注目の6モデルを紹介する。
予算2万円以下/ミドルレンジクラスのプリンタを狙う
Colorio PM-G850(エプソン) 実売価格1万8000円前後
Colorio PM-G850はPM-G730の後継機にあたるA4単機能プリンタ。かつてはミドルハイ以上の高性能なモデルというイメージがあったPMシリーズの800番台だが、今年は2万円を切る価格帯のレンジまで降りて来た格好だ。とはいえ、800番台を名乗るのにふさわしい性能は備えている。
プリントエンジンはダイレクト機のPM-D870と同様、Advaced-MSDTにより5種のインク滴サイズの打ち分けが可能だ。それも、最小ドロップは1.5ピコリットルという極小サイズで吐出できる。PM-G730の最小3ピコリットルのMSDTとは大きな違いだ。この改良により、粒状感はさらになくなり、階調性も向上した。たとえば、淡い雲が浮いた空のような階調表現の難しい素材でも、違和感なく描写できる。また、Advaced-MSDTの効用により、速度の面でも優れた性能を発揮する。印刷速度の詳細は第4回で取り上げる予定だが、このクラスのカラリオプリンタでは、これまであり得なかった印刷スピードだ。
ボディは飾り気がないデザインで、給紙機構は背面トレイのみを装備する。CD/DVDレーベル印刷は可能だ。機能面で目立つところはないものの、エンジン自体は900番台を名乗ってもおかしくはないほど高性能と言える。それでいて発売時で2万円を切る価格に設定しているのだから、今年のカラリオプリンタは一味違う。
PIXUS iP4300(キヤノン) 実売価格1万8000円前後
PIXUS iP4300は、年末商戦に向けてキヤノンが投入したA4単機能プリンタ3モデルの中では、もっとも上位に位置するモデルだ。iP4200の後継機にあたり、さらなる高速化を図っている。もっとも、昨年発売されたiP7500がハイエンドモデルとして継続販売されるため、同社のA4単機能プリンタとしては上位2番手となる。
プリントエンジンは複合機のMP600と同様、染料4色(CMYBk)と顔料1色(Bk)からなる5色インク構成を採用する。プリントヘッドのカラーノズルは、イエローを中心にシアンとマゼンタがシンメトリーに配列してある高速ヘッドだ。先代のiP4200では、多色機のノズル増加により印刷速度のアドバンテージが損なわれていたが、iP4300は染料インクのノズル数を倍増することでこれを解消している。イエローと染料ブラックは各色512ノズルを装備。シアンとマゼンタのノズルは、1ピコリットルと5ピコリットルのラインそれぞれを倍増し、各色1024ものノズルを実装している。また、顔料ブラックも従来の320ノズルから512ノズルに増えており、テキスト印刷の高速化も図った。
一方、写真画質を考慮すると、4色機としての限界が見え隠れする。高品位の印刷設定ではそれなりに満足できる画質を得られるが、速度が低下してしまう。かといって、印刷品位の設定を下げると、ユーザーによっては粒状が気になるかもしれない。このあたりの仕様は割り切りが必要だ。
写真印刷の画質では少し分が悪いものの、2Way給紙や自動両面印刷の利便性に加えて、CD/DVDレーベル印刷機構も装備するなど、プリンタとしての使い勝手はよい。日本HPのミドルレンジモデルが6色染料インクに移行した現在では、テキストの黒色がシャープに出る顔料ブラックインクを備えているのも大きなセールスポイントになる。
HP Photosmart D7160 Printer(日本HP) 直販価格1万4910円
HP Photosmart D7160 Printerは、日本HPの直販チャンネルHP Directplusで扱われるA4ダイレクトプリンタだ。下位モデルのD5160とD4160が、旧来の4色/6色インク交換式なので、D7160は最も安価に購入できるSPTエンジン搭載機ということになる。無論、エンジン性能は画質、速度とも先に紹介したD7360と変わりない。
ボディのフォルムはD7360と同じだが、操作パネルは大きく異なる。液晶モニタは2.4インチと小さめで、タッチパネルを装備していないため、印刷設定はボタン操作で行う。そのため、D7360ほど直感的な操作性は得られない。液晶モニタは小ぶりだが、もちろん画像のビューワ機能はあり、3×3のサムネイル表示も可能だ。基本的なメニュー操作は十字ボタンとOKボタンで行い、ズームや回転などの特殊操作には専用ボタンを用いる。液晶モニタのメニューは、同社が推進するHP Photosmart Expressを採用する。
自動用紙認識や前面2系統の給紙トレイを持つ前面給排紙機構、オプションで用意される自動両面印刷ユニット、iPod写真プリントなどの機能を備える点もD7360と変わらない。他社が投入したA4単機能プリンタのミドルレンジモデルを下回る価格帯で、一通りの機能が備わったダイレクト機が入手できるとあって、コストパフォーマンスは優秀だ。
次回は、ここで取り上げた6台のA4ダイレクト/単機能プリンタが持つさまざまな機能や、使い勝手を比較する。
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