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世界初のHD DVD-Rドライブ搭載AVノート――東芝「Qosmio G30/97A」でムーブを試す孤高のHD DVDノート(2/2 ページ)

Qosmio G30/97Aは世界初のHD DVD-Rドライブ搭載ノートPCにして、東芝「Qosmio」ブランドの頂点に立つ最上位モデル。もちろん、録画した地上デジタル放送のHD DVD-Rムーブが可能だ。

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地上デジタル放送のHD DVD-Rムーブは実に簡単

 新機能となる録画した地上デジタル放送のHD DVD-Rメディアへのムーブは、実に簡単だ。見るナビの画面でムーブしたい録画映像を選択し、マウスの右クリックで「クイックメニュー」を表示。メニューから「DVD/HD DVDへ移動」を選択し、メディアに「HD DVD-R」を指定するだけで、HD画質のままHD DVD-VR形式で記録できる。ムーブした映像は、HDDから自動的に削除される仕組みだ。リモコンの場合は、ボタン1つでクイックメニューが起動するため、リモコンでもマウスでも操作に迷うことはない。もちろん、メニューで「DVD-RAM」を選択すれば、720×480ドットのSD画質にダウンコンバートしてDVD-RAMにムーブ可能だ。

 HD DVD-Rメディアは、片面1層で約15Gバイトのデータを保存できる。地上デジタル放送のHD画質で最大約2時間、SD画質で約3時間45分の録画が可能だ。現状では片面1層のHD DVD-Rだけの対応だが、後日配付予定のアップグレードプログラムをインストールすれば、片面2層(約30Gバイト)のHD DVD-Rも使えるようになる。ちなみに、1枚のHD DVD-Rメディアに収まらない映像をムーブする場合、複数のHD DVD-Rメディアに分けて保存する。

マウスモードでのHD DVD-Rムーブの手順。見るナビで任意の番組を選択し、マウスの右クリックで「クイックメニュー」を表示する(写真=左)。メディアの選択ダイアログで「HD DVD-R」を選ぶ(写真=中央)。HD DVD-Rムーブの注意事項と確認画面が表示されるので、これらで「OK」ボタンを押すと、HD DVD-Rへの書き込みが開始される(写真=右)

 HD DVD-Rへのムーブにかかる時間については、今回試した試作機では少々時間がかかったが、製品版では録画時間の約半分が目安になるという。注意したいのは、ムーブ中はTVの視聴や録画を行えない点、ムーブしたHD DVD-Rメディアは自動的にファイナライズされて追記できない点だ。たとえば、HD画質の30分番組をHD DVD-Rにムーブすると、残り約1時間30分の記録領域が無駄になってしまう。画質にこだわらないバラエティー番組などは地上アナログ放送、画質を優先したい映画やドキュメンタリーなどは地上デジタル放送と、放送波を使い分けるのがよいだろう。

 HD DVD-R VR形式でムーブしたHD DVD-Rメディアは、G30/97Aの再生ソフト「TOSHIBA HD DVD PLAYER」やHD DVD-R VR対応の民生用プレーヤーで再生できる。また、G30/97AはHD DVD-Rレコーダーで録画したHD DVD-R VR形式のメディアも再生可能だ。

HD DVDの再生、オーサリング、データ書き込みのソフトも用意

 地上デジタル放送のムーブ以外にも、HD DVDを活用するソフトは複数用意されている。まず、市販のHD DVD-Videoを再生するソフトはTOSHIBA HD DVD PLAYERを用いる。TOSHIBA HD DVD PLAYERは、Media Centerからも起動可能だ。ちなみに、DVD-Videoの再生には別のソフト「WinDVD 8 for TOSHIBA」を使用するので注意したい。

 また、HDVカメラのHD映像をキャプチャし、カット編集やメニュー作成後、HD DVD-RメディアにHD DVD-R Video形式で書き込める「DVD Movie Writer for TOSHIBA」も付属する。書き込んだHD DVD-R Video形式のHD DVD-Rメディアは、TOSHIBA HD DVD PLAYERで再生可能だ。無論、録画した地上デジタル放送を同ソフトで編集することはできない。

 HD DVD-Rにデータを記録するソフトとしては、「TOSHIBA Disc Creator」が用意されている。記録型DVDメディアと同じ要領で、HD DVD-Rメディアにデータを記録することが可能だ。DVDの容量を超えるHDD内の個人データを1枚にまとめてバックアップするなどの用途で役立つだろう。もっとも、HD DVD-Rメディアの量販店での実売価格は片面1層で約1500円前後するため、通常は安価なDVDメディアを使うのが無難だ。

HD DVD-Videoを再生するTOSHIBA HD DVD PLAYER(写真=左)。HD DVD-VideoをHDMIでTVなどに出力することも可能だ。DVDオーサリングソフトのDVD Movie Writer for TOSHIBAを使えば、HDVカメラの映像をキャプチャし、オーサリングしてから、HD DVD-RメディアにHD DVD-R Video形式で書き出せる(写真=中央)。HD DVD-Rに対応したライティングソフトのTOSHIBA Disc Creatorも付属(写真=右)

HD DVD-R対応でAV周りは着実に進化、今後はさらなる機能強化に期待

 G30/97Aは、HD DVD-Rドライブの初採用によって、これまで非対応だったデジタル放送のHD画質でのムーブや、HDVカメラの映像書き込みに対応した点は魅力的だ。地上デジタル放送をフルHDで表示できる17インチワイド液晶ディスプレイの存在も大きい。高価なだけにノートPCとしての仕様もハイエンドモデルとして不満はなく、映像を中心にさまざまな用途で活躍できるポテンシャルを持っている。

 その一方で他社のBlu-ray Disc搭載PCには、書き換え型メディアのBD-REにムーブしたデジタル放送の映像をオンディスクで簡易編集できたり、映像を追記できるものも登場している。HD DVDは、書き換え型メディアのHD DVD-RW/RAMについて仕様策定に時間がかかっており、HD DVDメディアのデータ書き換えについては次期以降の製品投入を待たなければならないだろう。

 とはいえ、他社のPCではTV機能をMedia Centerに統合したり、デジタル放送の機能を別のメーカーに頼っている製品もあるが、Qosmioは自社開発の地上デジタルTVチューナーとレコーダー開発のノウハウを生かしたQosmio AV Centerを組み合わせており、TV機能には統一感と独自性がある。これは、現状でのアピールポイントと言える。今後は、Qosmio AV Centerのさらなる高機能化と、同社が推進するHD DVDの組み合わせによって、他社にない利便性を打ち出すことができるかが、評価の分かれ目になるだろう。


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