Vista×ワンセグ×新ボディ――富士通「FMV-BIBLO LOOX T50U/V」を試す:新生モバイルノートPCの実力は?(3/3 ページ)
Vistaの登場とともにフルモデルチェンジを果たした富士通「FMV-BIBLO LOOX T」。人気のモバイルノートPCがどのように生まれ変わったのかをチェックした。
ワンセグ機能はチューナー、ソフトウェアともに強化
モバイルノートPCを中心に、PCでも採用例が増えているワンセグ機能は、モデルチェンジにともない大幅に強化された。前述の通り、従来機では外付けのPCカードとして提供されていたワンセグチューナーが本体に内蔵されたほか、視聴・録画のアプリケーションも一新されている。
ワンセグの視聴・録画のアプリケーションは、ピクセラの「StationMobile for FMV」からインタービデオの「Mobile TV」に変更された。視聴中の番組録画はもちろん、番組情報を基にした録画予約、字幕表示、2カ国語の音声切り替えにも対応する(現時点でデータ放送には非対応)。画面サイズは100%(320×180ドット)、200%、フルスクリーンに変更可能だ。
ワンセグの視聴画面は常に前面に表示できるほか、受信感度もまずまずで使い勝手に大きな不満はない。ただし、番組一覧や録画予約の設定画面も小さなワンセグ画面の領域に表示するため、設定時の視認性には難がある。また、前述したパフォーマンスの問題もあり、ワンセグを見ながらWebブラウズをするような「ながら見」は実用的ではないと感じた。
そのほか、AV視聴統合環境の「MyMedia」、Webカメラで写真を撮影したり、動画を保存できる「WebCam Companion」、3D加速度センサーの感度調節を行う「Shock Sensor Utility」、カードスロット、光学ドライブ、有線LANなどへの電源供給をコントロールして消費電力を抑える「省電力ユーティリティ」などの独自ソフトウェアを用意している。Office Personal 2007がプリインストールされているのもポイントだ。
多機能を凝縮しつつ軽量化も果たした新LOOX T、直販モデルにも注目
新しいFMV-BIBLO LOOX Tシリーズは、モバイルノートPCだからといってむやみに機能を削減するのではなく、着脱式の光学ドライブやワンセグチューナー、Webカメラなどの付加機能を盛り込みつつ、さらなる軽量化にも注力した意欲的な製品だ。そのミドルレンジに位置するT50U/Vは、店頭販売向けモデルでは唯一ワンセグチューナーを内蔵する一方、基本スペックをコンパクトにまとめつつ、OSにVista Home Basicを採用することで、多機能ながら手の届きやすい価格を実現している。ワンセグ内蔵のモバイルノートPCを探しているならば、魅力的な選択肢に映るだろう。
ただし、メーカー製PCのプリインストールOSがWindows XPからWindows Vistaに移行したいま、Celeron Mと512Mバイトのメインメモリという構成はそろそろ厳しくなってきた感がある。Windows XPのころは、Core 2 Duo、Core Duo/Solo、Pentium Mに比べてバッテリー駆動時間こそ減ってしまうが、Celeron Mでも処理速度は必要十分といった風潮があった。実際、国内の大手メーカー製PCでは“多機能だがCeleron搭載で低価格”いったモデルが売れている状況で、パフォーマンス面の不満はあまり出なかった。しかし、Windows VistaではCPUやメモリ容量の差がパフォーマンスに明確に現れてくる。デュアルコアCPUを載せられないような小型軽量モバイルPCでも、できるだけハイスペックな構成を選んだほうが、Vistaがストレスなく扱えることを覚えておきたい。
以上を踏まえてFMV-BIBLO LOOX Tシリーズを選ぶ場合、上位モデルのT70U(Core Solo U1400、1Gバイトメモリ、Vista Home Premium)も併せて検討したいところだが、こちらはワンセグチューナーが搭載されていない。そこで注目したいのが、前述した直販サイトWEB MARTのカスタムメイドモデルだ。カスタムメイドモデルならば、Core Solo U1400、Vista Home Premium、ワンセグチューナーといった構成が可能なほか、Office Personal 2007を省いて価格を調整することができる。また、カスタムメイドモデルでは店頭モデルのカラーを含む9色のカラーバリエーションが選べるため、人とは違ったPCが欲しいと考える向きにおすすめしたい(オリジナルカラーは+1万円)。
関連記事
- 2007年春 Vista搭載PC特集
マイクロソフトは1月15日、発売が迫る個人向けWindows Vistaの直前記者発表会を開催した。メーカー各社からVista搭載PCも同時公開され、いよいよ次世代Windowsが離陸する。 - 「妥協ないモバイル」を体現するハイスペックなLOOX T
Windows Vistaの出荷開始とあわせて各メーカーの「Vista」モデルが登場した。新しいOSはノートPCにどのような影響を及ぼすのか。その手がかりを得るために富士通の開発者を訪れた。 - 軽量な新型ボディにワンセグを内蔵したモバイルノートPC――FMV-BIBLO LOOX T
富士通の2007年春モデルで最も劇的な変化を遂げたのがFMV-BIBLO LOOX Tだ。ボディの一新による軽量化とアーキテクチャの刷新に加えて、ワンセグチューナーまで内蔵した。 - 安価なHome Basicモデルと新型PC「FMV-TEO」で攻める――富士通FMVシリーズ
富士通は1月15日、FMV-DESKPOWERとFMV-BIBLOのラインアップを一新し、新コンセプトPCのFMV-TEOも含めたVista搭載モデルを発表。1月下旬より順次発売する。 - Home Basicを搭載した直販専用の薄型軽量モバイルノートPC――FMV-BIBLO LOOX Q
富士通は、直販サイトで取り扱うモバイルノートPCのFMV-BIBLO LOOX Qに、Vista Home Basic採用モデルを投入した。 - Home Premium搭載のコンバーチブル型タブレットPC――FMV-BIBLO LOOX P
コンバーチブル型タブレットPCのFMV-BIBLO LOOX Pは、基本スペックを強化したVista Home Premium搭載モデルが発売される。 - Core 2 Duo搭載モデルや新色が登場した大画面モバイルノートPC――FMV-BIBLO MG
14.1/13.3インチ液晶を採用したモバイルノートのFMV-BIBLO MGは、Core 2 Duo搭載モデルなど4モデルを用意。Home Basic中心のラインアップだ。 - HD DVDからBlu-ray Discに鞍替えしたハイスペックノートPC――FMV-BIBLO NX
17インチワイド液晶を搭載したフラッグシップノートFMV-BIBLO NXは、Blu-ray Discドライブを新採用。録画した地上デジタル放送のムーブとダビングに対応した。 - モデル数を絞り込みつつ、20万円前後の地デジ搭載機を投入――FMV-BIBLO NB
15インチスクエア液晶を備えたFMV-BIBLO NBは、地上デジタルTVチューナー搭載機を投入。Home PremiumモデルとHome Basicモデルを1台ずつ用意する。 - 富士通のリビング本格進出なるか?――HDMI搭載PC「FMV-TEO」の実力を探る
「FMV-TEO」はTVとのHDMI接続を想定したリビングPC。“TEO”というサブブランドを冠しており、今後PCが進むべき1つの道を示す製品として力が入っている。 - リビングのTVにHDMIでつながる新コンセプトPC――FMV-TEO
富士通は、TVにHDMI接続して利用するデスクトップPCのFMV-TEOを発表。OSはVista Home Premiumを採用している。 - フルHD対応の37インチワイド液晶一体型PCがCore 2 Duo採用――FMV-DESKPOWER TX
37インチワイド液晶一体型PCのFMV-DESKPOWER TXは、Core 2 DuoとVista Home Premiumを搭載した2モデルが発売される。 - モデル数を厳選した主力の液晶一体型デスクトップPC――FMV-DESKPOWER LX
富士通は液晶一体型デスクトップPC、FMV-DESKPOWER LXのVista搭載モデルを発表した。ラインアップを大胆に絞り込みつつ、ボディカラーを変更している。 - 下位モデルのボディを一新したセパレート型デスクトップPC――FMV-DESKPOWER CE
富士通のセパレート型デスクトップPC、FMV-DESKPOWER CEにVista搭載モデルが登場。ラインアップを縮小しつつも、新ボディのエントリーモデルを投入した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.