新世代ミドルレンジ「GeForce 8600GTS」を「GeForce 7950GT」「GeForce 7900GS」と比較する:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
新世代のミドルレンジGPUは、“8800”のように画期的な違いを見せてくれるのだろうか。オーバークロック版とあわせて従来モデルとベンチマーク結果を比べてみる。
ベンチマークテスト結果の傾向は3DMark系と市販ゲーム系でフィルタリング設定の「軽負荷条件」「重負荷条件」ごとの結果が対照的となっている。ただし、負荷が重いか軽いかの違いはあれど、新旧GPUの結果における優劣についてはほぼ同じ傾向がみられる。
GeForce 8600 GTSの定格動作版とオーバークロック版において、すべてのベンチマーク結果は動作クロックの差となって表れている。オーバークロック版はすべてにおいて定格動作を上回っているが、その差はほぼ10パーセント前後とクロックの違いに近い。気になる動作の安定性については、評価期間という限られた時間の中ではあるが、ベンチマーク測定中に「おかしな挙動」を見せることは皆無であった。
GeForce 8600 GTSと従来のGeForce 7950 GT、GeForce 7900 GSの結果を比較すると、3DMark系ベンチマークにおいてGeForce 8600 GTSはGeForce 7900 GSに常に優勢であるが、GeForce 7950 GTに対しては軽負荷時に何とか上回るものの、負荷が重くなるととたんにかなわなくなる。この状況は、オーバークロック版でも変わらない。また、軽負荷時の優勢もほんのわずかの差であって、はっきりと差がついているとはいいがたい。
市販ゲームのベンチマーク結果になるとGeForce 8600 GTSは苦戦する。3DMark系ベンチマークと異なり、重負荷条件においてGeForce 8600 GTSはGeForce 7950 GTを押さえ込むものの、軽負荷条件になるとGeForce 7950 GTはおろか、GeForce 7900 GSに対してもGeForce 8600 GTSは圧倒されてしまう。これは、オーバークロック版でも同じことだ。
このベンチマーク結果を見る限り、GeForce 8600 GTSは非常に評価が難しいGPUといえる。3DMark系のベンチマークでGeForce 8600 GTS向けのチューニングとかが特になされていないならば、「負荷条件を軽くして、とにかくベンチマークで高い値を叩き出したい」と思うユーザーにはGeForce 7950 GTを超える価値があるといえる(当然、ハイエンドGPU以外でこのような需要がどれだけあるかは考慮しなければならない)。
ゲームユーザー、とくにハードウェアコストの優先順位がそれほど高くないユーザーは負荷を軽くしてゲームプレイをする場合が多いため、そういうユーザーにもGeForce 8600 GTSに移行するだけの価値は見出せる。もちろん、DirectX 10への対応や統合型シェーダユニットといった最新技術の実装は製品の延命性をある程度保証してくれる。また、ゲームもHDコンテンツの再生も行うという汎用性を求めるならば、世代が新しくなったPureVideo HDは上位モデルのGeForce 8800 GTS/GTSを上回るメリットをユーザーにもたらしてくれるだろう。
ただ、これからの3Dゲームで重要なコンセプトとなるだろう「高品位な3D描画」をゲームユーザーが求める場合、GeForce 8600 GTSはGeForce 8800 GTXが見せてくれた「新世代GPUらしい画期的なパフォーマンス」は発揮してくれない。そういうところに喜びを見出すユーザーにとって、ここで紹介したGeForce 8600GTSのベンチマーク結果は期待に十分応えているとはいえないだろう。ちなみに、電力消費においても、GeForce 7950 GT、GeForce 7900 GS程度の値を示している。
今回、評価作業のためにGeForce 8600 GTS搭載カードは、先ほど紹介したようにXFXの定格動作版とオーバークロック版をそれぞれ1枚ずつ用意した。GPUとしては同じであるが製品としての設定が異なるため、本来ならば2枚を組み合わせてNVIDIA SLIを構築することは(ベンダーとして)出来ないのだが、オーバークロック版を定格クロックに設定した上でNVIDIA SLIを構築してベンチマークを動かしてみた。最後に参考として市販ゲームを用いたベンチマークの結果を掲載するが、あくまでも「保証外の構成による測定結果」として扱っていただきたい。単体構成を100とした場合のとNVIDIA SLI構成における相対性能は、ほぼすべての条件において180から200程度を出している。
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