“AIR”と“SaaS”で勝ちに行く――アドビが事業戦略を説明:第2四半期の業績は過去最高
アドビシステムズは、本社社長兼COOの来日に合わせて事業説明会を開催。AIR(開発コード名Apollo)で開発したアプリケーションやSaaSのデモを行った。
アドビシステムズは7月27日、2007年度第2四半期の事業内容を振り返るとともに、今後同社が注力する新製品や新技術について紹介する記者説明会を開催した。米アドビシステムズの第2四半期(2007年3月3日から6月1日)の売上げは7億4560万ドルで、前年同期比で17%増を記録。四半期の売上げとしては過去最高となっている。
米アドビシステムズ社長兼COOのシャンタヌ・ナラヤン氏は、会見で直接売上げの数字について言及しなかったものの、ブログなど個人の創作活動を含むWebサイトの増大、PC環境のアップグレード、ビデオや携帯電話の成長といった市場動向が追い風となり、2007年第2四半期は「Creative Suite 3」や「Acrobat」シリーズが好調なセールスを記録したことを強調。Creative Suite 3に搭載されたモバイルコンテンツ開発環境の「Device Central CS3」や、特殊業務向けの機能を盛り込んだ「Photoshop CS3 Extended」、携帯端末向けFlashプレーヤーの「Flash Lite」、PDF作成用の「Acrobat」、オンライン会議用の「Acrobat Connect」といった製品を改めてアピールした。
同氏は以上の事業に加えて、新たに注力している「ダイナミックメディア」と「Adobe Integrated Runtime」(AIR)の2つが収益をもたらすと述べた。
ダイナミックメディアに関しては、Creative Suite 3やFlash、AIRによるリッチメディアコンテンツの作成、「Flash Media Server」によるコンテンツの配信、「Adobe Media Player」によるコンテンツの再生といった全般的なプラットフォームを提供していく。
現在パブリックβ版を配布中のAIRについては「HTML、Ajax、Flash、PDFといった標準的なWeb技術のみで魅力的なデスクトップアプリケーションを開発できるプラットフォーム。Webとデスクトップの長所を融合しており、オンライン、オフラインを問わず、またWindowsやMac OS、Linux、携帯電話、セットトップボックスなどもカバーするクロスプラットフォームとして、Web 2.0アプリケーションの開発環境を強力にサポートする。現状でAIRによる数百のアプリケーションが開発されている」と述べた。
また、今後はパッケージ製品だけでなく、インターネット上のサービスとしてソフトウェアを提供するSaaS(Software as a Service)が新たな収益源になると予測した。現状のSaaSモデルの展開としては、オンライン会議に用いるAcrobat Connectのほか、Webブラウザ上で動画編集が行える「Adobe Premiere Express」をYouTubeやMTVのサイトに提供している例を挙げた。これらに限らず、さまざまなソフトウェアをSaaSモデルで提供できるという。
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