待っていたぜ!DDR2対応電撃マザー──ASUS「Blitz Formula(Special Edition)」:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
ASUSの最新ハイエンドマザー「Blitz」シリーズでDDR2に対応した「現実的」なモデルがまもなく登場。“CrossLinx”をはじめとする注目機能の効果やいかに。
Blitzが独自にサポートするPC2-8500の効果は
R.O.G.マザーらしく、Blitz Formula SEには、オーバークロックの設定が多数用意されている。BIOSには、自由度の高いオーバークロック設定メニューの「Extreme Tweaker」があるほか、付属ソフトにも「AI NOS」「AI Overclocking」「AI Booster Utility」などのWindows上から設定できるツールが付属する。動作クロックを上げすぎて起動できなくなったときのために、自動的に安全な設定に変更して起動してくれる「ASUS C.P.R」も導入されているので、ギリギリを狙うチューニング作業でも安心だ。バックパネルに用意されたCMOSクリアスイッチも、こういう作業で重宝するだろう。
Blitz Formula SEが、Intel P35 Expressの定格より速い1066MHz動作のDDR2-1066MHzメモリに独自で対応していることも注目したい。同じR.O.G.シリーズでIntel P965 Expressチップセットを搭載するCOMMANDOでも、BIOSのExtreme Tweakerの設定で、1066MHzのメモリクロックを設定できたが、評価作業用に準備したDDR2-1066MHz対応メモリをCOMMANDOに装着してメモリクロックを1066MHzに設定したところ、Windowsは起動したものの、各種ベンチマークテストは完走できなかった。一方、Blitz Formula SEでは、同じメモリを1066MHzに設定した状態でシステムは安定して動作してくれた。
では、Intel P35 Express定格のDDR2-800MHzメモリと独自対応のDDR2-1066MHzメモリで、パフォーマンスにどのくらい差が出るのかを調べてみた。CPUにCore 2 Duo E6700を組み込んだシステムでは、PCMark05のMemoryで、約3%のパフォーマンスアップが確認できたが、そのほかの項目ではほとんど変化が見られない。強いていえば、WMV Video Playbackでメモリと同じ程度のパフォーマンスの改善が見られたぐらいだ。メモリクロックが、800MHzから1066MHzへと33%もアップしていることに比べると、ベンチマーク結果の変化は少ないといえる。念のため、FSBが1333MHzで動作するCore 2 Duo E6750で測定しても、大きな変化は得られなかった。
Core2Duo E6700:DDR2-1066MHz | Core2Duo E6700:DDR2-800MHz | 性能向上比 | |
---|---|---|---|
PCMark05:PCMarks | 6787 | 6704 | 101.2 |
PCMark05:CPU | 6836 | 6839 | 100.0 |
PCMark05:Memory | 5827 | 5637 | 103.4 |
PCMark05:Graphics | 6505 | 6390 | 101.8 |
PCMark05:HDD | 4854 | 4974 | 97.6 |
Core2Duo E6700:DDR2-1066MHz | Core2Duo E6700:DDR2-800MHz | 性能向上比 | |
---|---|---|---|
PCMark05:HDD-XP Startup | 8.828 | 8.901 | 99.2 |
PCMark05:Video Encoding | 485.147 | 483.446 | 100.4 |
PCMark05:Image Decompression | 37.533 | 37.991 | 98.8 |
PCMark05:WMV Video Playback | 64.257 | 62.138 | 103.4 |
Core2Duo E6700:DDR2-1066MHz | Core2Duo E6700:DDR2-800MHz | 性能向上比 | |
---|---|---|---|
3DMark05 | 10381 | 10358 | 100.2 |
FinalFantasy XI Official Benchmark:Low | 8116 | 8063 | 100.7 |
FinalFantasy XI Official Benchmark:High | 10294 | 10198 | 100.9 |
Core2Duo E6750:DDR2-1066MHz | Core2Duo E6750:DDR2-800MHz | 性能向上比 | |
---|---|---|---|
PCMark05:PCMarks | 6836 | 6715 | 101.8 |
PCMark05:CPU | 6861 | 6856 | 100.1 |
PCMark05:Memory | 6107 | 5924 | 103.1 |
PCMark05:Graphics | 6510 | 6475 | 100.5 |
PCMark05:HDD | 4958 | 4825 | 102.8 |
Core2Duo E6750:DDR2-1066MHz | Core2Duo E6750:DDR2-800MHz | 性能向上比 | |
---|---|---|---|
PCMark05:HDD-XP Startup | 8.853 | 8.853 | 100.0 |
PCMark05:Video Encoding | 503.597 | 501.785 | 100.4 |
PCMark05:Image Decompression | 37.939 | 37.923 | 100.0 |
PCMark05:WMV Video Playback | 65.392 | 63.815 | 102.5 |
Core2Duo E6750:DDR2-1066MHz | Core2Duo E6750:DDR2-800MHz | 性能向上比 | |
---|---|---|---|
3DMark05 | 10441 | 10428 | 100.1 |
FinalFantasy XI Official Benchmark:Low | 8296 | 8227 | 100.8 |
FinalFantasy XI Official Benchmark:High | 10431 | 10362 | 100.7 |
CrossFireのボトルネックを解消する「CrossLinx」
Blitz Formula SEは、PCI Express x16スロットを2本備えており、AMD(ATI Technologies)のマルチGPU技術「CrossFire」に対応している。これは、Intel P35 ExpressマザーでPCI Express x16スロットを2本実装するマザーで共通の仕様であるが、Blitz Formula SEには(そして、その上位モデルであるBlitz Extremeでも)、グラフィックスカードを2枚差ししてCrossFireを構築したときに、サウスブリッジとノースブリッジ間のデータ転送で発生するボトルネックを解消できる「CrossLinx Technology」(以下、CrossLinx)を導入している。
Intel P35 ExpressチップセットによるCrossFireでは、通常、レーン構成はPCI Express x16とPCI Express x4となる。マスター側のPCI Express x16スロットは、ノースブリッジと直接接続されているので大量のデータを高速に転送できるが、スレーブ側のPCI Express x16(実際の動作はx4モード)スロットは、サウスブリッジと接続しているため、大量のデータ転送が発生すると、ノースブリッジとサウスブリッジ間のデータ転送がボトルネックとなってしまい、2つのGPUパワーをフルに生かすことができなかった。
Blitz Formula SEに採用されているCrossLinxでは、専用のチップを用意して、CrossFire動作時には、ノースブリッジとつながる16レーンを8レーンずつに分配し、2つのスロットをそれぞれPCI Express x8として動作させる。2枚のグラフィックスカードがノースブリッジに接続することで、ノースブリッジとサウスブリッジ間のボトルネックがなくなり、CrossFire動作におけるパフォーマンスを向上できるというものだ。
では、CrossLinxの導入で、CrossFire動作時の性能はどの程度改善されるのだろうか。Blitz Formula SEでは、組み込まれているグラフックスカードの状況によってCrossLinx機能が「自動的に」有効になるため、「CrossLinxを使用しないCrossFire」という設定ができない。そのため、チップセットが異なるが、CrossFireに対応しているR.O.C.シリーズのCOMMANDOでもCrossFire構成のベンチマークテストを行い、それぞれのパフォーマンスの差がどの程度あるのかを調べてみることにした。
テストでは、3DMark05と3DMark06に加え、市販ゲームのベンチマークとして、FarCryとF.E.A.Rを用いた。なお、ベンチマーク時の設定として、FarCryでは、HardwareOCが配布している専用のベンチマークテストで用意される「HardwareOC River」をMaxmumクオリティで動作させ、F.E.A.R.のベンチマークでは、オプション設定のPerformanceにある「Computer」「Graphices」とも最高に設定し、ゲームで用意しているベンチマークモードを動作させている。
1枚差し構成から2枚差しのCrossFireに移行したときのパフォーマンスアップにおいて、Blitz Formula SEはCOMMANDOを大きく上回る結果を出している。特に、3DMark05と3Dmark06において、Blitz Formula SEはCrossFire構成になるとシングル構成と比べて50〜60%ほどスコアが上昇しているのに対して、COMMANDOでは、35〜45%の上昇にとどまっている。この「CrossFire効率の差」がCrossLinxの効果と考えられる。FarcryやF.E.A.R.のベンチマーク結果でも、Blitz Formula SEで、CrossFireによる性能向上率はCOMMANDOより数%ほど高くなっている。
CrossLinxの効果は、ゲームタイトルによって違いはあるものの、ノーマル仕様のIntel P35 Expressで構築するCrossFireと比べて、少なくとも数%程度は確実にパフォーマンスが上昇する。「x4のボトルネックは許されない」というゲームユーザーで、Intel X38 Expressマザーを待てない(もしくは価格が高いと感じる)なら、CrossLinxは実に有効な機能となるだろう。
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