このサイトは安全? を答えてくれる「マカフィー」最新版:検索結果の4%は危険
Web閲覧時に何気なく使っている検索エンジン。しかし、その結果には危険なサイトへのリンクも含まれている。マカフィーの最新版では、サイト評価機能を強化した。
9月13日、マカフィーは個人向けセキュリティ製品の最新版を発表した。ラインアップは「マカフィー・ウイルススキャン プラス with サイトアドバイザ」「マカフィー・インターネットセキュリティスイート with サイトアドバイザ」「マカフィー・トータルプロテクション with サイトアドバイザ プラス」の3製品。9月14日より店頭販売を行う。
契約期間中は常に最新のサービスが受けられる点を強調するため、今回のバージョンでは“2008”の文字が省かれている。また、2007年度版では黒いパッケージを採用していたが、国内版のみ同社のイメージカラー(McAfee Red)である赤いデザインに変更された。
サイトアドバイザでWebサイトの危険性を評価
最新版では、一般ユーザーを取り巻くセキュリティリスクの変化と、低年齢層のインターネット利用者が増加したことにともなう社会的な問題にフォーカスする形で、従来版からの機能強化が施されている。同日行われた発表会では、プロダクトマーケティングマネージャーの葛原卓造氏が登壇し、最新のセキュリティリポートを紹介するとともに、それらの脅威に対応する新製品の特徴的な機能を説明した。
葛原氏は、ユーザーのインターネット利用動向としてWeb閲覧時に検索エンジンの利用頻度が高い半面、検索結果の平均4%に危険なサイトへのリンクが含まれていることや、インスタントメッセンジャーによる脅威が前年比で79%増加している点、毎日4000万通のスパムメールが配信(全体の約80%)されている点などを挙げ、「ユーザーが日常的に使っている機能で危険に遭遇する機会が増えている」と指摘する。
また、82%のソーシャルネットワーカーが不審なファイルをダウンロードした経験があるという報告を紹介し、「SNSは関係性を重視した小さなコミュニティベースであることから、いままで比較的安全だと思われていたが、実はかなり危険であることが分かってきた」と語る(いずれも米国の調査報告)。
こういった状況に対して、同社は2006年4月に買収したSiteAdvisorの技術が有効だと強調する。マカフィー2007で採用したこの機能は、同社がWebクローリングを行って独自にサイトの評価を行い、そのデータベースをもとにインターネット上の危険を警告するというもの。ユーザーからは、検索エンジンの結果に対して安全/注意/警告の3段階で安全性が把握できるようになっている。
このデータベースには、すでに820万を超えるサイトが登録されており、主要検索エンジンの表示結果(1〜2ページめ)に対して約95%をカバーしているという。また、サイトの評価方法が多岐に渡るのも特徴だ。
「(評価対象のサイトに)悪意のあるコードや危険なサイトへのリンクが含まれているかどうかだけでなく、サイトに置かれたファイルを実際にダウンロードしてその挙動を分析したり、メールアドレスを登録してスパムメールが送られてくるかどうかなども調べている。これらはすべて(クローラーが)自動的に行っているが、ユーザーからのフィードバックも受け付けており、こちらは手動でより細かく対応している」(葛原氏)。「この“広くて深い”評価項目は、他社の技術にはない弊社のアドバンテージだ。昨今注目されているWebからの脅威を事前に排除できる」と自信を見せる。
最新版に搭載されるサイトアドバイザ機能は、評価項目の最適化やデータベースの蓄積といった強化点に加えて、従来のWebブラウザのプラグインとしてだけでなく、Eメールやインスタントメッセンジャーに含まれるURLに対しても適用されるようになった。さらにペアレンタルコントロール機能として搭載される「保護モード」により、安全性の警告だけでなく、危険なサイトへのアクセス自体をブロックすることも可能になっている(最上位版のマカフィー・トータルプロテクション with サイトアドバイザ プラスのみ)。
サイトアドバイザ機能を利用できるブラウザはInternet ExplorerとFirefoxで、検索エンジンはGoogle、Yahoo!、MSN、AOL、Askに対応。なお、「McAfee SiteAdvisor Plus」はすでに単体販売されているほか、「McAfee SiteAdvisor」は無償で公開されている。
パフォーマンスを大幅に改善
使い勝手の向上をめざした設計もトピックだ。1つはパフォーマンスの改善で、エンジンや定義ファイルの構成をブラッシュアップし、プロセス数を従来の半分に削減したことで起動時間や手動スキャンの実行時間などが平均で25%ほど短縮したという。また、メモリ使用量も減少した。
もう1つは「Do Not Disturbモード」。これは映画鑑賞やゲームプレイ時などで全画面表示にしている間は、負荷のかかるスキャンや更新、ポップアップを抑制するというもの。「(セキュリティソフトは)黒子であるべきだという観点からアラート表示も最小限にしている」(葛原氏)。
発表会の冒頭に登壇した同社マーケティング本部本部長 久我信之氏は、「2003年から個人向け製品に再参入したが、現在は法人との割合でも50%近いところまで近づき、“孝行息子”に成長した」とビジネスが順調に推移していることを強調。「今回は日本だけのパッケージとして赤いデザインで投入する。日本市場でもさらに力を入れて販売していく」(同氏)と語った。各製品の価格(オンライン/ダウンロード版予価)と機能は以下の通り。
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