目指せ“自己チュー”PC──NVIDIAの環境制御技術「ESA」発表
NVIDIAがエンスージアストPCのために開発した自動制御技術。将来的には「自己チューニングができるSmart PC」の実現を目指すという。
NVIDIAは11月5日に、電源ユニットとクーラーユニットを制御してPCケース内部の温度管理を行う技術「ESA」(ENTHUSIAST SYSTEM ARCHITECTURE)を発表した。この技術は、PCケース、電源ユニット、クーラーユニットの状態を監視し、それぞれの動きを制御するためにマザーボードと接続して情報をやり取りする接続形態とプロトコルを規定するもので、接続インタフェースの物理的条件にはUSBを採用するものの、データ通信にはNVIDIAが定めるESA専用のプロトコルを使用する。
ESAでは、PCケース内部の複数のポイントで温度を測定し、クーラーユニットのファン回転数(空冷ユニットの場合)、冷却水の温度と冷却水の水位(水冷ユニットの場合)などをリアルタイムで監視する。PCケース内部の温度は単に温度をチェックするだけでなく、測定した場所をX軸/Y軸/Z軸といった3次元座標で把握するのがESAの特徴であると、NVIDIAプラットフォームプロダクト部門テクニカルマーケティングマネージャーのワリード・ザメル氏は説明する。
ESAでは、監視している温度に合わせて、クーラーユニットの動き(空冷ならファンの回転数、水冷ならポンプの吐出量)や電源ユニットの動き(出力電圧など)を変更して、PCケース内部の温度を下げるようにする。
PCがESAを利用して、PC内部の温度を把握したり冷却機構の動きを制御したりするには、マザーボード(チップセット)、PCケース、電源ユニット、クーラーユニットにESA対応したデバイスを搭載し、ESAをサポートするソフトウェアが導入されている必要がある。システムに組み込めるESA対応デバイスの数は、接続に使われるマザーボード上の「空きUSBポート」によって制約される。
NVIDIAの計画では、2007年の段階で電源ユニット、クーラーユニット、PCケースといった基本的な部分の動的制御からESAを立ち上げ、2008年ではESAとPCをコントロールするスクリプト言語によってシステムのパフォーマンスチューニングを可能にし、2009年には、“プレOS”ともいうべきエージェント機能を持たせて、PCが状態を把握して自分でチューニングを行える「Smart PC」の実現を目指すという。
先に説明したように、ESAを利用するにはデバイスがこの規格をサポートしていなければならない。ザメル氏は具体的な製品名を挙げなかったものの、ESAの発表時点で15社ほどのパートナー企業が存在し、これから先も数を増やしていくと説明している。パートナー企業のジャンルはマザーボードベンダーやPCケース、クーラーユニットベンダー、そしてヒューレット・パッカードにデルといったPCメーカーも名を連ねている。
関連記事
- これぞ真の“ド級”GPU──GeForce 8800 GTで「Crysis」ベンチマークを動かす
「ド級」「超ド級」と聞くと、強烈にパワフルな最強GPUを連想するかもしれないが、それは「ド級=ドレッドノート級」本来の意味でない。“G92”は、まさに「ド級」なGPUなのだ。 - 「GeForce 7-Series for Intel」マザーはゲームでどこまで使えるか
「MCP73」の開発コード名のほうが知られている(そして言いやすい)NVIDIAの統合型チップセット。その組み込まれたグラフィックスコアの性能を検証してみた。 - NVIDIA、初のインテル向け統合型チップセット「GeForce 7-Series for Intel」発表
インテルプラットフォームユーザーから、「あれはどうなった?」といわれていた、NVIDIAの統合型チップセットがようやく登場。「謎」だった“あの”スペックを詳しく紹介しよう。 - 人気の“AMD690”強力対抗となるか──「nForce 7050PV」「nForce 7025」マザーまもなく出荷開始
NVIDIAの新しい統合型チップセットを搭載したマザーがまもなく出荷を開始する。HDMIインタフェースとGeForce 7世代のグラフィックスコアの組み合わせが特徴だ。 - NVIDIA、HPC向け新GPUブランド「Tesla」発表
NVIDIAは「GeForce」「Quadro」に続く新しいGPUブランド「Tesla」を発表した。TeslaはHPC向けの「演算処理」プロセッサとしても活躍する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.