正々堂々!LeopardでBoot Campを試す:元麻布春男のWatchTower(2/2 ページ)
「Leopard」で晴れて正式版となった「Boot Camp」は、β版から何が変わって何が変わらなかったのか。
正式版でもキーボード回りは要注意
Boot CampパーティションにWindowsをインストールする際に、最も注意が必要なのはキーボードの扱いだ。おそらく大半の人は、Apple日本語キーボードのMacを使っていると思うのでそれを前提に話を進めるが、Macで使われているApple純正の日本語キーボードは、Windows PC用の日本語キーボードとは似て非なるものである。「カナ」キーのレイアウトは同じでも、「半角/全角」、「無変換」、「変換」、「カタカナ/ひらがな」といった日本語に関連した特殊キーに互換性はない。Apple日本語キーボードに類似したキーがあっても、それは別物である。
もちろん、日本語キーボードである以上、Macの日本語キーボードで日本語のWindowsを利用する場合は、これを日本語キーボードとして利用することになる。Windows Vistaの場合、日本語版のインストールでは日本語キーボードがデフォルトで選択されているし、マウスのクリックで簡単にキーボードレイアウトを変更できる。
キーボードに関するトラブルが生じやすいのは、Windows XPだ。Windows XPではインストールするキーボードの選択時に、「半角/全角」キーを押すよう求められる。ところが、Macの日本語キーボードにそのようなキーはないため、多くの人がとまどうことになる。この場合の正解は、Sキーを押すこと。するとキーボードの選択が可能になるから、「106 Japanese Keyboard(Including USB)」を選べばよい。ここで日本語キーボードを選択しておかないと、「@」や「_」のような記号が入力できないなどとあわてることになる。
キーボード設定さえちゃんとできれば、Windowsのインストールと設定は難しくないのだが、困ったことが1つある。それはWindowsでの日本語入力だ。上で述べたように、Apple日本語キーボードには「半角/全角」キーが存在しない。WindowsのデフォルトではAlt +「半角/全角」に日本語IMEのオン/オフ切り替えという、重要な役割が割り当てられている。マウスでIMEの言語バーを操作してもよいのだが、それでは効率が悪い。
実は、MS IMEでは日本語キーボードの場合、英数キーで入力モードの切り替えが可能になっている。英数キーは、日本語106キーボードのCaps Lockキーを単独で押した時のキーであり、Caps LockキーはApple日本語キーボードでも同じだから、Apple日本語キーボードのCaps LockキーでMS IMEのオン/オフを切り替えることができる。
さらにBoot Campでは、デバイスドライバを組み込むことで、Apple日本語キーボードが備える日本語関連の特殊キーである英数キー(スペースバーの左側)をWindowsで使われる日本語106キーボードの無変換キーとして、Apple日本語キーボードのカナ/かなキー(スペースバーの右側)を日本語106キーボードのひらがなキーとして、それぞれ利用することが可能になる。Appleのオンラインドキュメントのキーボードマッピングのページには、なぜか日本語キーボードに関する説明がないが、上のマッピングを覚えておいてIMEのカスタマイズを行うことが、Windows上の日本語環境を使いやすくするポイントだ。というよりも、この2つのキーを使わないのであれば、ハードウェアとして英語キーボードを選択したほうが使い勝手がよいのではないかと思う。
次回はVMware FusionやParallels Desktop for Macといった仮想化ソフトウェアの現状を見ていきたい。
Boot CampドライバによるApple日本語キーボードの日本語関連特殊キーのマッピング | |
---|---|
Mac OS X環境 | Boot Camp下 |
英数 | 無変換 |
カナ/かな | カタカナ/ひらがな |
caps lock | 英数(Caps LockはShift+Caps Lock) |
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