6万円台のミニノート「SA5SX04A」は、Eee PCに対抗できるか:“黒船”に反撃(2/2 ページ)
Eee PCの国内販売が始まったが、これに早くも“待った”をかける新製品が登場した。工人舎「SA」シリーズの最新モデルは、「もうEee PC買っちゃったよ……」とつぶやく人たちを涙目にさせてしまうのか。
インタフェースは豊富、見た目はEee PCよりも小さい
SA5SX04Aのフットプリントは、218(幅)×163(奥行き)ミリと、Eee PCよりも幅で7ミリほど小さいだけだが、実際に両モデルを並べてみると、SA5SX04Aのほうが一回り以上も小さい印象を受ける。これは液晶ディスプレイのヒンジ部分の位置が違うためで、ディスプレイ部を垂直に開いたときの高さは、Eee PCのほうが2センチ以上も長い。デザインの優劣は好みの問題と言うしかないが、個人的には机上に置いたときにより小さく見えるSA5SX04Aのほうが、いかにも“ミニPCです”といった感じで好みにあう。
インタフェースは、2基のUSB 2.0とアナログRGB、有線LAN、ヘッドフォンとマイク、SDメモリーカード(SDHCおよびSDIO対応)/メモリースティック/MMC、そしてCFカードスロット(TypeII)を搭載する。Eee PCと比較してUSB 2.0が1基少ないが、CFカードが使えるので汎用性は高い。USBポートも左右側面に振り分けられており、外付け機器を扱いやすいレイアウトだ。ただ、少し気になったのは音声端子の位置だ。着脱頻度が高いという理由からアクセスしやすい前面に配置したのかもしれないが、パームレストの奥行きが狭いために、ヘッドフォンを接続しているとプラグが左の親指のつけ根に触れることがあった。
ベンチマークテストで性能を検証
SA5SX04AとEee PCの比較で一番気になるのがパフォーマンスの差だろう。Intel A100(600MHz)+Intel 945GUのシステムを採用するSHシリーズならともかく、非力なGeode LX 800(500MHz)を搭載するSAシリーズでは、Eee PCに搭載されるCeleron Mと比べてかなり分が悪い。
もっとも、両モデルともにメインPCとして十分な性能を備えているわけではないので、Webブラウズやメールなどの基本的な用途と、軽量小型の本体を生かしたポータブルメディアプレーヤーとしての運用に耐えうるかどうかが焦点になるだろう。なお、今回はSA5SX04Aで性能を評価できる機体がなかっため、テストにはHDD容量が120GバイトのSA5SX12Aを用いた。
HDBENCHを試したところ、ALLのスコアは15367で、EeePCのおよそ80%の性能という結果になった。ただし、CPUのスコアを見ると、Eee PCに比べて整数演算が50%程度、浮動小数点演算では33%ほどと、かなり水を空けられてしまっている。実際この差は、体感での操作性にも出ており、アプリケーションの起動はかなり待たされる印象だ。
一方、CrystalDiskMarkの結果を比べると、リードタイムではSSDを搭載するEee PCが勝っているが、ライトタイムではSA5SX12Aが大きく上回った。評価したモデルは5400rpmの富士通製ドライブ(MHV2120AH)を搭載しており、1.8インチではなく2.5インチHDDを採用していることも性能に貢献していると思われる。
OSの起動時間(電源投入からデスクトップが表示されるまでの時間を手動で計測)もEee PCの約33秒に対して、約40秒とそれほど大きな差はない。「SSD」という単語から受ける先進的なイメージよりは、追加投資なしで40Gバイトのストレージを使えるほうが実用性の面で有利だろう。なお、HDDの換装には本体を分解してマザーボードを露出させる必要があるため、初心者にはややハードルが高い。40Gバイトで不足ならあらかじめ上のモデルを選ぶほうが無難だ。
ニコニコ動画はかなり厳しい
新SAシリーズの基本的なアーキテクチャは初代機を引き継いでいる。そのときレビューでコメントした「割り切りが必要になる」という評価は今回も変わらない。MPEG-2ファイルの再生でもビットレート6Mbpsあたりを分岐点としてコマ落ちなどが発生するため、動画プレーヤー用途では画質に妥協を強いられる部分はある。
試しにYouTubeやニコニコ動画も閲覧してみたが、CPU性能に依存するFLVの再生はかなり厳しいようだ。ソースによるとは言え、ニコニコ動画で“大量の弾幕”が張られるまでもなく、コマ落ちがかなり頻繁に見られた。ちなみに、ニコニコベンチマークでは、某アニメのオープニング映像を使ったベンチ0でもCPU使用率が瞬時に100%に到達し、まともに再生できなかった(Eee PCでは80〜90%で問題なく再生できた)。寝ころんで動画共有サイトをザッピングする、という用途に難があるのは、個人的にも非常に残念なところだ。
とはいえ、液晶ディスプレイの解像度とキーボードという、従来の最も大きな弱点を改善してきた点は素直に評価したい。液晶パネルの変更でバッテリー駆動時間が短くなり、最下位モデルのSA5SX04AではBluetoothが省かれるなどの後退もあるが、改良を重ねてさらに3万円ほど値下げしてきたのは、“元祖”低価格ミニノートとしての意地を感じさせる。
SAシリーズには、タブレットポジションで使える機構や、広く明るい液晶ディスプレイなど、Eee PCにはない魅力もある。これらの特徴が、自分の想定するサブノートの用途にどれだけ合致しているかで、2万円の価格差は大きくも小さくもなるだろう。Eee PCとSA5SX04Aのどちらを選ぶかは悩ましい問題だが、そもそもこの価格帯で頭を悩ます選択肢が増えたということ自体を歓迎したい。
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