アキバに流れる“第2の地デジ解禁”を待つ空気:5分で分かった気になる、5月のアキバ事情(2/2 ページ)
自作PC市場において、今年最大の起爆剤とも言われるPC向け地デジチューナーカードが発売された5月。ブームの火はいまだくすぶり続けているようだ。
5月の大健闘パーツはHDD――主流からニッチまで目玉製品が続々
5月のアキバで主役を張ったのはよくも悪くも地デジチューナーだったが、レジ前に限定すれば、1カ月を通してHDDのヒットが目立っていた。4月に激しかった大容量HDDの低価格化はとりあえず落ち着いたものの、価格が上昇することもなく、500Gバイトの3.5インチモデルがメーカーによっては8000円前後で買える状況が続いている。
メインストリームのモデルが売れる中、ややニッチなジャンルの新製品も売れ行きが好調だった。5月第4週に登場したのは、サムスンの「HM500LI」。2.5インチHDDで一般的な、9.5ミリ厚のドライブとしては最大となる500Gバイトの容量を誇り、2万5000円前後と高価ながらも初日から好調に売れていた。BLESS秋葉原本店は「2.5インチHDDは、多少高くても最大容量のモデルがよく売れます。ノートPCは、どうしてもデスクトップに比べてストレージ容量が少なくなりますからね」と語る。
また第5週には、Serial ATA接続のHDDで現行最速となるWestern Digitalの「VelociRaptor WD3000GLFS」が登場。入荷数が少なかったこともあり、初日から売り切れる店舗が続出した。VelociRaptor WD3000GLFSは、300Gバイトの2.5インチHDDだが、ドライブの周囲にヒートシンクを配置しており、実質的なサイズは3.5インチとなる。T-ZONE.PC DIY SHOPは「4万円前後の高価なモデルですが、ブートドライブ用に狙っていた人が多いですね。次回入荷はまったく見えていません」という。
省電力の分野で強さを発揮するPhenomとAthlon X2
CPUに関しては大きな動きは見られなかったが、その中ではAMD製の省電力モデルの存在感が大きかった。4月末に登場した省電力版クアッドコアCPUの「Phenom X4 9100e」が好調に売れるかたわら、5月第4週にはデュアルコアで省電力の「Athlon X2 4000eシリーズ」を2モデル拡充している。
新モデルは、動作クロック2.3GHzの「4450e」と2.1GHzの「4050e」の2種類。それぞれTDP 45ワットで動作するのが特徴だ。TSUKUMO eX.は「ブック型やキューブ型など、小型マシンのユーザーに注目されていますね。特に人気を集めているのは4450eです。省電力の分野では、まだまだAMD人気は根強いですよ。この流れがメインストリームまで波及すればいいのですが……」と語る。
なお、シリーズ最上位の「4850e」は一足早く出回っているが、今回登場した2モデルからリテールボックスのパッケージが変更されている。とはいえ、4050eは旧パッケージ版も混ざって流通していた。「このヘンの詰めの甘さがAMDっぽいですね。まあ、ウチは旧パッケージですが、おそらく初回だけなので、レアモノを探しているならお早めにどうぞ」(フェイス パーツ館)とのこと。
街の変動はひとやすみ?――USER'S SIDE秋葉原本店の名残を残すフェイス PC館がオープン
有力ショップの閉店や開店が連発した4月から一転して、5月の街の動きは比較的静かだった。目立ったのは5月3日に、USER'S SIDE秋葉原本店の跡地に移転した「フェイス PC館」だ。即納PCを中心に並べていた、旧じゃんじゃん亭に店舗を構えていた頃と異なり、新しいフェイス PC館はワークステーション系パーツや、洋モノのゲーミングデバイスなども数多くそろえており、コンセプトの変更が見られた。
その品ぞろえは、USER'S SIDE秋葉原本店とよく似ており、店員さんもそれを認めている。「店内のレイアウトの一部は、USER'S SIDEさんのものをそのまま残しています。これまでUSER'S SIDE秋葉原本店を愛用していた方にも来店してもらえるように、品ぞろえも意識的に増やしています。メインストリームは地下一階にあるフェイス パーツ館にまかせて、ウチはそれ以外をフォローするといったカタチですね」とのことだ。
なお、USER'S SIDEは、これまでサポート窓口を置いていた神田石川ビルの4階に「USER SIDE Muti Space」を設置。同店ならではのハイエンドPCパーツやサーバー向け機器などの展示や販売を行っている。ちなみに神田石川ビルの隣には、フェイス カスタム館がある。
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