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「世界を大きく変える」と予測してはや29年──シーゲイトの歴史を振り返る (2/2 ページ)
日本シーゲイトは5月30日に総出荷数10億台を突破したことを記念し、「1B&Beyond - Celebrating One Billion Hard Drives」と題した発表会を行った。
記憶密度との戦いだったシーゲイトHDD開発の歴史
1987年には線密度を内周と外周でほぼ均一にすることで容量を増すZBR(Zone Bit Recording)を採用した。それまでのHDDはフロッピーディスクのように内側から外側まで同じセクタ数だった
1995年から1998年にかけて、信号の微弱化に対処するために従来のPD(Peak Detect)からPRML(Partial Response Maximum Likelihood)という信号処理方式に変更している。PRMLは探査衛星が発する微弱な送信電波に対応するための技術だった
1994年ごろから、ヘッドの位置決めを行うサーボ信号を専用の面に書き込む“Servo面サーボ”から記録面の入れ込む“Data面サーボに移行した。DSP技術で可能となったこの技術のおかげで、サーボのデジタル化とコントロールロジックの簡略化が実現している
1996年ごろから、HDDの回転モーター軸受けがボールベアリングからFDB(流体軸受けモーター)に移行していく。長らく使われたボールベアリングも信頼性が高かったが、経年劣化と点接触による対衝撃性の悪さ、そして微小な偏芯が問題になったほか。FDBでHDDの回転音が静かになるというメリットもユーザーから支持された
1999年ごろのモデルに搭載されていたドライブヘッドの拡大画像。ヘッドそのものは数ミリあるが、記録に必要なのは1500倍に拡大した中央の突起部分だけだ。他の部分は滑らかに記録面から浮き上がるための「そり」の役目を持つ
そして、現在開発が進んでいる「熱アシスト磁気記録」の模式図だ。磁化されにくい「硬い」物体をレーザーで磁化されやすくして記録し、冷めるとまた硬くなるという。この技術で5Tバイト/平方インチの記憶密度が研究室レベルで実現しているそうだ
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