Macで、Windowsで、iPhoneで、いつでもどこでも「MobileMe」:WWDC'08基調講演まとめ(中編)(2/2 ページ)
WWDC 2008基調講演の詳報として、ここではアップルの新しいインターネットサービス「MobileMe」を見ていく。
ネイティブアプリのような操作感をWebブラウザで実現
電子メールアプリケーションは、Mac OS X付属のMailのような3ペイン型のインタフェースで、複数のメールを選択して、受信箱にドラッグしたりといった操作もできる。
また、受信したメールに対して、ダイアログボックスを使って「ありがとうございます。」「わかりました。」など1〜2行の短い返事をすばやく書けるQuick Replyという機能なども用意した。
アドレスブックも、検索フィールドに文字を1文字打ち込むごとに該当項目を絞り込んでいく検索ができたり、スケジュール帳では予定を選んで配色を変えたり、写真ギャラリーでは写真のサムネイル一覧の大きさをスライダーを使って自由自在に変更したり、写真の順番をドラッグして入れ替えたり、iDiskと呼ばれるファイルブラウザ機能ではまるでMac OS XのFinderのカラム表示のようなUIでファイル階層を移動できる。
このようにMobileMeでは、これまでWebアプリケーションでは不可能とされていたようなネイティブアプリケーションならではの操作感をWebブラウザ上で実現してしまった。
だがそれだけではない。MobileMeは、iPhoneの各機能とも非常に密接に連携している。シラー氏は、以下のデモを通してMobileMeの便利さを紹介した。
まずはMobileMeのアドレス宛てに、今晩の飲み会をする場所の候補がメールで送られてくる。するとiPhoneでメール受信音が鳴り、メールが届いたことが分かる。
そのメールを開いてみると、メールの本文にGoogle Mapで検索したレストラン情報のURLが書かれている。これをクリックすると、自動的にGoogle Mapが起動し、レストランの情報が表示される。
これを使ってレストランに電話をかけ、席を予約をした後、ついでにレストラン情報をiPhoneのアドレス帳に追加する(「アドレス帳に追加」というボタンをタップするだけで完了)。
その後、パソコンでWebブラウザを起動し、MobileMeのメール機能を開くと、同じメールがそこにもちゃんと表示されている。しかも、iPhoneですでに開いているので「既読」状態になっている。
さらにアドレス帳機能に切り替えると、iPhoneで追加したばかりのレストランの情報がきちんと表示される。これはiPhoneにアドレス情報を追加すると同時に、追加したアドレス情報がMobileMeのサーバにプッシュ送信されたからだ。
このようにMobileMeを使えば、iPhone上の情報とPC上の情報を完全に同一に保つことができる。
この後シラー氏は、Web版MobileMeのカレンダーに追加した予定が、すぐにiPhoneのカレンダーにも反映されることや、さらにiPhoneで撮影した写真を「Send to MobileMe(MobileMeへ送信)」というボタンを押すだけで、MobileMeの写真ギャラリーに追加されることもデモしてみせた。
MobileMeは年間99ドル(日本では9800円)のサービスで、60日間無料で試すことができる。
このサービスの開始にあわせて、アップルの.macのサービスは中止となる。.macのアカウントは、そのまま自動的にMobileMeのアカウントにアップグレードされ、これまで.macで使っていた機能は、引き続きそのまま利用できる。
シラー氏がMobileMeの紹介を終えると、ジョブズは「すばらしいでしょう。我々は数年かけてこれを開発したんだ。今度こそはうまくやれたと思う」と語った。
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